追悼/海外編 アラン・ドロン、ジーナ・ローランズら2024年に亡くなった映画人を偲ぶ
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2024年はハリウッドをはじめ、海外で息の長い活躍を続けてきた名優の大往生が相次いだ。名作を世に送り出した映画人たちの偉業を紹介し、その功績を振り返る。
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『ロッキー』のカール・ウェザース、『ハリー・ポッター』シリーズのマギー・スミスも永遠の眠りに
カール・ウェザース
2月1日/享年76
映画『ロッキー』シリーズで、主人公ロッキーのライバルであるボクサーのアポロ・クリードを演じた。プロフットボール選手としてオークランド・レイダースで活躍した後に俳優に転じ、『ロッキー』シリーズに出演。他に『プレデター』(87年)、『トイ・ストーリー4』(19年)、近年は『スター・ウォーズ』のスピンオフ・シリーズ『マンダロリアン』にも出演し、2エピソードで監督も務めた。ウェザースの家族は声明で、就寝中の安らかな最期だったと発表した。
ルイス・ゴセット・ジュニア
3月29日/享年87
『愛と青春の旅だち』(82年)や1977年のTVシリーズ『ルーツ』で知られる性格俳優。舞台俳優からキャリアをスタートさせ、ブロードウェイなどで活躍した後に『ルーツ』でバイオリン弾きのフィドラーを演じてプライムタイム・エミー賞主演男優賞を受賞した。1982 年、『愛と青春の旅だち』でエミル・フォーリー軍曹を演じてアカデミー助演男優賞を受賞、黒人俳優として初の助演賞受賞者となり、シドニー・ポワチエに続いて、黒人として2人目のオスカー男優賞受賞者となった。映画、TV、舞台で活躍し続け、近年はHBOのTVシリーズ『ウォッチメン』(19年)や映画では『カラーパープル』(23年)、『ブルー きみは大丈夫』(24年/声の出演)に出演するなど生涯現役だった。
O・J・シンプソン
4月10日/享年76
アメリカン・フットボールNFLのスター選手として活躍した後、俳優に転身したが、1994年に起きた元妻の殺害事件の被告人となったことでも知られる。選手として現役中から映画『タワーリング・インフェルノ』(74年)やTVシリーズ『ルーツ』(77年)などに出演し、1980年の引退を機に『裸の銃を持つ男』(88年)などに出演する俳優業やTVのスポーツ解説、コメンテーターとして人気を博す。
1994年、元妻とその友人を殺害した容疑で逮捕される。その際にロサンゼルスのフリーウェイで警察とカーチェイスを展開し、TVで生中継される騒動になった。人種問題も絡んだ「世紀の裁判」では実力ある弁護士を揃えたドリームチームで法廷に臨み、刑事裁判では無罪となったが、民事裁判では妻の友人への殺人が認められた。裁判については2016年、TVシリーズ『アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件』でドラマ化された。
シンプソンは2007年にラスベガスで強盗で逮捕、懲役刑となり、2017年に仮釈放された。家族は死去の翌日、シンプソンはがんのために亡くなったとSNSで発表した。
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フランソワーズ・アルディ
6月11日/享年80
1960年代から活躍したフランスのシンガーソングライター。セルジュ・ゲンズブール作詞の「さよならを教えて」や1979年のテレビドラマ『沿線地図』(TBS)の主題歌「もう森へなんか行かない」などが日本でもヒットした。イヴ・サンローランなど多くのデザイナーのモデルを務めたほか、俳優としてジャン=リュック・ゴダール監督の『男性・女性』(66年)や『グラン・プリ』(66年)などにも出演。
アヌーク・エメ
6月18日/享年92
フランス映画の不朽の名作『男と女』(66年)などで知られる。同作でアカデミー主演女優賞にノミネートされ、ゴールデングローブ賞主演女優賞、英国アカデミー賞外国女優賞を受賞。フェデリコ・フェリーに監督の『甘い生活』(60年)や『8 1/2』(63年)、ジャック・ドゥミ監督の『ローラ』(61年)などに出演。2019年には『男と女』の続編『男と女 人生最良の日々』にジャン・ルイトランティニャンとともにオリジナルと同じ役で主演した。
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ドナルド・サザーランド
6月20日/享年88
カナダ出身で1960年代から活躍し続けてきた名優。『特攻大作戦』(67年)、『M★A★S★H マッシュ』(70年)、『赤い影』(73年)、『SF/ボディ・スナッチャー』(78年)、『普通の人々』(80年)、『バックドラフト』(91年)、『スペース カウボーイ』(00年)などに出演し、近年は『ハンガー・ゲーム』シリーズ(12年〜23年)のスノー大統領役で知られる。息子のキーファー・サザーランドによると、長年闘病生活を送っていたというが、仕事も続けており、2023年にはTVシリーズ『法執行人:バス・リーブス』に出演した。2017年にアカデミー賞名誉賞を受賞している。
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シェリー・デュヴァル
7月11日/享年75
ロバート・アルトマン監督の映画に数多く出演し、スタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』(80年)でジャック・ニコルソンの妻を演じた。俳優業と並行して、1980年代に子ども番組『フェアリーテール・シアター』の製作総指揮とナレーターを務めた。『ある貴婦人の肖像』(96年)やTVドラマ出演などを続けていたが、2002年に俳優を引退。2016年にTV出演し、精神疾患を患っていることを公表した。2023年に『The Forest Hills(原題)』で俳優復帰したばかりだったが、糖尿病の合併症で死去した。
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シャナン・ドハーティ
7月13日/享年53
1990年代にヒットしたテレビドラマ『ビバリーヒルズ高校白書』と『ビバリーヒルズ青春白書』で主要キャラクターの1人、ブレンダを演じた。子役として『大草原の小さな家』にも出演している。TVシリーズ『チャームド〜魔女3姉妹』(98年〜01年)、映画では『ヘザース/ベロニカの熱い日』(89年)や『モール・ラッツ』(95年)、『ノーウェア』(97年)に出演。2015年、乳がんを患っていることを公表し、闘病生活をSNSなどで綴った。2017年に化学療法を終えたが、2020年に再発し、ステージ4であることを明らかにした。2023年から始めたポッドキャストの対談番組「Let’s Be Clear With Shannen Doherty」は彼女の死後も家族や友人が引き継いで配信が続いている。
ジーナ・ローランズ
8月14日/享年94
アカデミー主演女優賞にノミネートされた『こわれゆく女』(74年)と『グロリア』(80年)をはじめ、インディペンデント映画の父とも呼ばれる夫ジョン・カサヴェテス監督の作品を中心に活躍。1988年に夫と死別後も『私の中のもうひとりの私』(89年)、『ナイト・オン・ザ・プラネット』(91年)などに出演し、息子ニック・カサヴェテスの監督作『きみに読む物語』(04年)、娘ゾエ・カサヴェテスの監督作『ブロークン・イングリッシュ』(07年)にも出演。2015年にアカデミー名誉賞を受賞した。
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アラン・ドロン
8月18日/享年88
『太陽がいっぱい』(60年)で、裕福な青年を殺して彼になりすます野望に満ちた青年役で大ブレイクし、フランス映画界の大スターとして君臨。『山猫』(63年)『地下室のメロディー』(63年)、『サムライ』(67年)、『ボルサリーノ』(70年)『パリの灯は遠く』(76年)、『ヌーヴェルヴァーグ』(90年)など、娯楽作品から芸術映画まで幅広く出演した。2017年に俳優引退の意向を発表したが、引退作品が具体化されないまま、2019年に脳卒中を発症して療養生活に入った。最晩年は生活をともにしていた日本人女性とドロンの実子3人の対立、さらには子どもたち同士の争いが世間を騒がせたが、フランス中部の自宅で最期を迎えた。
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ジェームズ・アール・ジョーンズ
9月9日/享年93
『スター・ウォーズ』シリーズのダース・ベイダー、『ライオン・キング』の主人公の父親ムファサの声で知られる。幼少期に吃音に苦しんだが、克服するために受けた演技のレッスンがきっかけとなり、軍隊を経て俳優を志す。舞台出演でトニー賞を受賞した作品の映画化『ボクサー』(70年)でアカデミー賞主演男優賞候補になる。映画は『フィールド・オブ・ドリームス』(89年)、『今そこにある危機』(94年)などに出演。2022年のTVシリーズ『オビ=ワン・ケノービ』でダース・ベイダーの声として引退、人工知能による声の再現への同意書に署名している。2011年にアカデミー名誉賞を受賞。
マギー・スミス
9月27日/享年89
『ハリー・ポッター』シリーズのミネルバ・マクゴナガル役、TVシリーズ『ダウントン・アビー』のバイオレット・クローリーで知られるイギリスの名優。オクスフォード大学で演劇を学び、1950年台から映画や舞台で活躍。1969年に『ミス・ブロディの青春』でアカデミー賞主演女優賞、1978年に『カリフォルニア・スイート』でアカデミー賞助演女優賞を受賞。映画では『天使にラブ・ソングを…』シリーズ(92年、93年)の修道院長役でも人気を博した。生涯現役で、遺作は2023年の『The Miracle Club(原題)』。ロンドンの病院で死去したという親族の発表を受けて、チャールズ国王も追悼の声明を発表している。
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クリス・クリストファーソン
9月28日/享年88
カントリー歌手であり、俳優としてもマーティン・スコセッシ監督の『アリスの恋』(74年)、ゴールデン・グローブ賞ミュージカル・コメディ部門主演男優賞受賞の『スター誕生』(76年)、マイケル・チミノ監督の『天国の門』(80年)、『ブレイド』シリーズ(98年、02年、04年)などに出演。シンガーソングライターとしてグラミー賞を3度受賞している。
ミシェル・ブラン
10月4日/享年72
『仕立て屋の恋』(89年)、監督・脚本も兼ねた『他人のそら似』(94年)などで知られるフランスの俳優。近年はセザール賞助演男優賞を受賞した『大臣と影の男』(11年)、『マダム・マロリーと魔法のスパイス』(14年)などに出演していた。心臓病によりパリの病院で死去。
テリー・ガー
10月29日/享年79
『トッツィー』(82年)でアカデミー賞助演女優賞候補になったほか、フランシス・フォード・コッポラ監督の『カンバセーション…盗聴…』(74年)と『ワン・フロム・ザ・ハート』、スティーヴン・スピルバーグ監督の『未知との遭遇』(77年)などに出演。1990年代には大人気のTVシリーズ『フレンズ』でリサ・クドローが演じるフィービーの母フェルプス役で新たな人気を得た。2002年に多発性硬化症であることを公表し、以降は仕事量をセーブしていた。
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ソン・ジェリム
11月12日/享年39
TVシリーズ『太陽を抱く月』(12年)で人気を博し、多くのドラマや映画に出演、ミュージカルなど舞台出演も多く、今年7月から10月まで公演のミュージカル「ベルサイユのばら」にも出演していた。11月12日にソウルの自宅で亡くなっているのが発見され、現場には遺書があった。
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