映画まるごと「幽霊目線」! 主演ルーシー・リューが語る新感覚エモーショナルホラーのススメ
映画全編「幽霊目線」という、監督スティーヴン・ソダーバーグ&脚本デヴィッド・コープによる新感覚エモーショナルホラー『プレゼンス 存在』。全米でスマッシュ・ヒットとなっている本作の日本公開を目前に控え、主演のルーシー・リューが本作やソダーバーグ監督の魅力を語るインタビュー映像が公開された。
・心霊現象が頻発する屋敷の内部へ! 身近な人を亡くした少女の独白、何かの存在に気付いた家族たち
観客が自然と映画の一部になる、新感覚ホラー
“それ”は、一家が引っ越してくる前からそこにいる。“それ”は人に見られたくない家族の秘密を目撃する。母親にも兄にも好かれていない10代の少女クロエに異常なまでに親近感を持つ。彼女に何かを求めているのか、いや、必要としているのか。家族と一緒に過ごしていくうちに、“その存在”は目的を果たすために行動に出る。
本作はロサンゼルスのソダーバーグ邸で実際に起きた出来事(以前、誰かがその家で亡くなっていて、噂によると母が娘に殺されたという……)をきっかけに生まれ、全編「幽霊目線」の一人称カメラワークが最大の特徴となる。
脚本を読んだルーシー・リューは「複雑でありながらシンプル、隠れた緊迫感がある」と感じた。そのうえで、その時点ですでに脚本自体が「幽霊目線」の一人称で書かれているものであったことを明かした。
本作を見た観客が映画に没入する感覚について「まさに脚本に書かれていることに似ている」とルーシーは言う。さらに「カメラがいつ反対側の人物や存在を映すのか無意識に待っている」と付け加えた。つまり、観客の心理の逆をいく、その不安定さからくる没入感が魅力である、ということだ。
ソダーバーグは、多種多様なテーマを巧みに描ききる監督としてキャリアを重ねてきた。コロナ禍を予言したと言われる傑作『コンテイジョン』(11年)や『サイド・エフェクト』(13年)などの医療系スリラー、アカデミー賞を受賞した『トラフィック』(00年)や『オーシャンズ』シリーズ(01~07年)のようなクライム群像劇もの、『エリン・ブロコビッチ』(00年)や『チェ』二部作(08年)などの社会派映画、さらには本物の格闘家を起用したスパイ・アクション『エージェント・マロリー』(12年)……。
一方、ルーシーも『チャーリーズ・エンジェル』(00年)や『キル・ビル』(03〜04年)以降、多様なジャンルのヒット作品に出演してきた。
ソダーバーグ監督との仕事を熱望していたルーシーが、実際に現場に入ってみると「常に新しいことを実験しながら何か違うものを生み出そうとする」という彼の姿勢に感心し、「彼の作品はすべて彼自身が試行錯誤して遊ぶように作り上げているように感じる」とその経験がいかに刺激的だったかを語る。
そのうえで、監督自身が俳優を信頼していて「現場ではほとんど何も言わない」のだという。ゆえに俳優たちの責任感と一体感が生まれるのではないかと振り返った。
そして、「本作を3つの言葉で表すなら?」と聞かれたルーシーは「緊張感、予測不能、覗き見」のキーワードを挙げた。これらを劇場でさまざまな人と体験することで生まれる“意味”がある、という。
だからこそ、一人称の撮影方法によって観客が自然と映画の一部になる本作を「観客自身がこの映画に自分の“存在”を持ち込むことによって、それが特別な体験を生み出す」と言を重ねた。
異様で不穏、そしてエモーショナル。五感のすべてを刺激する新感覚ホラーとして、必ず劇場で見るべき作品であると力説した。
映画『プレゼンス 存在』は現在公開中。
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