貧困にあえぐお針子が堕ちた闇──クローネンバーグ監督も絶賛の北欧ゴシックミステリー
#ガール・ウィズ・ニードル#ケイト・ブランシェット#ゴシック#デヴィッド・クローネンバーグ#ミステリー#実話
かつて実際に起こった連続殺人事件をもとにしたゴシック・ミステリー『ガール・ウィズ・ニードル』。今年の米アカデミー賞国際長編映画賞にもノミネートされた本作の場面写真が公開され、話題となっている。
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100年前に起こった連続殺人事件から描き出される社会の闇とは?
第一次世界大戦後のデンマーク・コペンハーゲン。家賃の支払いが滞るほどの貧困にあえいでいたお針子のカロリーネは、勤め先の工場長と恋に落ちた果て、妊娠する。残念だが、子どもを育てることはできない……カロリーネは望まれない子どもたちの里親探しを支援する女性ダウマと出会う。これが、悪夢のはじまりだった──。
戦後の混沌を迎えていたデンマークで、7年間に自身の子を含む9人(25人を殺したとの疑いもある)の子どもを殺害したとされる連続殺人事件。そんな実話をモデルとしたのが、映画『ガール・ウィズ・ニードル』である。
この忌まわしき物語を、モノクロームで描いたのが、ポーランドをホームとするスウェーデン人監督マグヌス・フォン・ホーン。『スウェット』(20年)でSNSの闇を描き、カンヌ国際映画祭でも話題となった新鋭監督の最新作だ。
そんな本作は、この3月11日に開催されたポーランドのアカデミー賞と称される「イーグル賞」で、『聖なる犯罪者』(19年)と並ぶ同映画祭史上最多受賞となる作品賞、主演&助演女優賞、監督賞、脚本賞、撮影賞を含む11部門を獲得した。
イーグル賞、とくに作品賞では『戦場のピアニスト』(02年)や『カティンの森』(07年)、『COLD WAR あの歌、2つの心』(18年)や『EO イーオー』(22年)といった話題作・問題作が受賞しており、この『ガール・ウィズ・ニードル』の評価も高いことがうかがえる。
本作を見たケイト・ブランシェットは「息もできないほどの緊張感」を持つとし、デヴィッド・クローネンバーグ監督も「ファンタスティック! 強くお薦めする」と絶賛したという。
今回公開された場面写真では、貧困下で必死で奮闘する主人公・カロリーネ(ヴィク・カーメン・ソネ)の白い帽子をかぶったお針子姿や、かすみがかった道にたたずむ幻想的な様子、お菓子屋を営みながら育てられない子を持つ母親に寄り添うダウマ(トリーネ・デュアホルム)の無表情で赤ん坊を抱く姿、また、突如戦地から帰還するもひどい傷を負うカロリーネの夫(ベシーア・セシーリ)の姿などがうかがえる。
この町ではいったい何が起こっているのか。そして、ホーン監督は本作でどのような社会の闇を描き出そうとしているのだろうか。
映画『ガール・ウィズ・ニードル』は5月16日より全国公開。
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