1978年5月16日にロンドンに生まれる。1994年に映画デビューし、『アクロス・ザ・ユニバース』(07年)、『ラスベガスをぶっつぶせ』(08年)で注目を集める。主な出演作は『ウェイバック−脱出6500km−』(10年)、『クラウド アトラス』(12年)など。
二重に引力が作用する双子の惑星。「下の世界」には貧困層が、「上の世界」には富裕層が住み、交流すら禁じられたなかで出会ってしまったアダムとエデン。住む世界が違うだけではなく反重力によって引っ張られる運命の恋人たちの姿を描いたSFファンタジーが『アップサイドダウン 重力の恋人』だ。
本作で貧しい青年アダムを演じたのはジム・スタージェス。知的で繊細な雰囲気と確かな演技力で映画好きの人々に支持されているイギリス人俳優だ。禁断の恋に落ちる青年を熱演した彼に、映画について話を聞いた。
スタージェス:まず脚本が送られてきて読んだんだけど、とても奇妙な作品で驚いたよ。素晴らしいアイデアだと思って、びっくりしたのを覚えてる。でもどうやって実現するのか想像もつかなかった。それでまず監督のフアンに会った。会った瞬間に、この作品に出て彼と一緒に作りたいと思ったよ。彼が作り出す世界は、とてもワクワクするものになるだろうと感じた。
スタージェス:最初に会ったとき、彼はとても興奮していた。そして、いかにこの作品に情熱を持っているかが分かったよ。すべてが夢から始まったアイデアなんだと話してくれて、ストーリーに関するビジュアル素材を見せてくれた。最初の2つほど見ただけで、彼のすごさが分かった。フアンの頭のなかにあるのはとてもユニークな世界だから文字だけで伝えるのは難しいんだ。
彼はとてもイキイキした人なんだ。そして、本人も言っているけれど、とても極端な人だ。一緒にいてとても楽しい人だよ。毎日笑わせてくれる。彼も毎日よく笑っていた。撮影は技術的で大変だったから、彼にとってもきつい仕事が多かったと思う。監督が彼じゃなかったら、僕にはこの役はつとまらなかっただろうね。
スタージェス:彼女はワイヤーを使った撮影の経験が豊富で、僕がこの撮影で経験することを前もって分かっていた。彼女とは撮影が始まる数ヵ月前にニューヨークで会ったんだけど、そのときすでに一緒にいて楽しめる女性だと分かったし、スタッフもいい人ばかりだと分かった。彼女以上にエデンに適した人はいない。素晴らしい女優で、とても楽しい人だ。一緒に何時間もワイヤーにつるされるわけだから、相手とは本当に仲良くやっていかなくてはならない。彼女とは、いい友だちになれたからよかったよ。
スタージェス:数メートル先のグリーンバックを見つめて、目の前に広がる信じられない光景を想像しなくちゃならないんだ。そして、壁の×印やつるされたテニスボールに向かって話しかける。目線だけのために実際の人間をつるすわけにはいかないからね。相手は上にいるという設定だし。だから、相手が動く場面では、目線を次の印に移す。次はテニスボールのところに相手が座ったなどと想像してね。さらに相手が机に動いたら、今度は向こうの印だという感じ。だから相手が1人でも、部屋を動き回る場面では、5つの目線を考える必要があった。すごく複雑だったよ。普通はグリーンバックのなかで相手を見つめて撮影するんだけど、今回はまったく別物だった。こっちに演技を返してくれる人がいないんだ。
スタージェス:そうなんだ。もしもう一方の重力の影響を受けて、これをやったらどうなるか、こちらの世界のこの物体はどうなるか、どう動くか、飛び上がって向こうに戻るのかなどを、常に考えていなくてはならなかった。スタッフも僕自身も、演技中、どちらの重力の影響を受けているのかずっと考えなくてはならないんだ。服の動きはどうなるのか……なんてことをね。
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