1964年9月2日生まれ、レバノンで生まれカナダのトロントで育つ。『スピード』(94年)で世界的にブレイク。主な出演作は『ビルとテッドの大冒険』(89年)、『ハートブルー』(91年)、『ビルとテッドの地獄旅行』(91年)、『マイ・プライベート・アイダホ』(91年)、『マトリックス』シリーズ(99年、03年)、『スウィート・ノベンバー』(01年)、『50歳の恋愛白書』(09年)など。
いつの世も日本人の心を熱く震わせる物語「忠臣蔵」をハリウッドが映画化した『47RONIN』は、キアヌ・リーヴスが主演し、真田広之、浅野忠信、菊地凛子、柴咲コウ、赤西仁らが脇を固める型破りなアクションエンターテインメントだ。
リーヴスが演じるのは、剣術の達人であること以外はすべてが謎めいた異端のRONINカイ。剣術を駆使したアクションシーンや日本人俳優と共演した感想などについてリーヴスに話を聞いた。
リーヴス:何と言えばいいんだろう。真田さんは兄のようだね。新しく兄弟ができた気分だ。まさにそんな感じなんだよ。彼は親切に力になってくれる。この企画への意気込みもハンパじゃないんだ。責任感が強いんだ。いや、ほんとに真田さんはすごい人なんだよ。役の大石も彼も音を上げない。言うこともやることも真っ当なんだ。
コウとのからみでは、いいものが出せた。トップシーンを後に撮るのは映画界ではよくあるけど、おかしなもんでそれがぴたりとハマったんだ。ああいうのが映画のおもしろいところだね。すごく自然な最高のカップルになったと思う。彼女は、 ロックもやり女優でもあり、ほんとに何でもできる人だね。でも演技のほうは傷つきやすさと優美が出てる。それに、きれいだね。あのお姫様役でも気位と凛とした気性を出してる。かと思うと弱い面もにじませる。人を愛し、人の愛を受け入れるわけだからね。 僕たちがやったシーンにはそれがある。気がつくと彼女の演技にほれぼれと見とれちゃうんだ。
リーヴス:からみのシーンはなかったけど、彼もすばらしいね。 ほんとに憎々しい悪役だ。すばらしい役者だ。
リーヴス:この映画に関わったのは2年前かな。製作のS・ステューバーと会ったとき脚本を渡されたんだ。この映画が作り出す世界に魅かれてね。西部劇っぽいよね。スケールが大きいという印象も受けた。信義、復讐、そして愛もある世界観に惹かれた。物語のテーマもすごく大きい。
僕が演じてるのはカイという孤児みたいな役だ。「忠臣蔵」をもとにしているけれど、かなり脚色された世界というか、再創造、再想像と言ってもいい。神話的な人物が登場したり、実話にない要素がかなり盛り込まれてる。カイというキャラも実話には存在しない役だ。
彼は孤児で よそ者でね。物語が進むにつれて姫と恋に落ちる。だが道ならぬ恋だ、彼はよそ者だからね。だが徐々に呑み込まれ、受け入れられるのがいいね。一種の移民なわけだから共感を呼ぶだろう。どこの国にもよそ者は存在する。懸命になじもうとするけれど、いつしか地金がはがれていってしまうんだ。
リーヴス:この役には影がある。一夜の過ちで生まれた子でね。母親にはそれが負い目となる。母はカイを“天狗”に預ける。“天狗”のもとを去って、やがて成長したカイは、藩主・浅野の目に留まり、召し上げられることになる。浅野の後ろ盾のおかげで彼は受け入れられるんだ。そこに浅野への恩義が生じる。自分の生まれ育ちというものが分かっているからこそ、表だったことはしないように努めるんだ。浅野は大恩ある人だからね。自分を拾ってくれた人への恩義に応えようとするんだ。
リーヴス:なんと言えばいいのかよく分からないんだけど、切腹は理解に苦しむ。でも、我々西欧人にも兵士がよりよき善のために一命を捧げる例はないわけじゃないし、それと似たようなものではないかと考えればいいと思う。犠牲的精神というのかな。そういう自己犠牲が名誉というならば切腹も自己犠牲のひとつの形として、ありではないかとね。
主君に対する忠義であれ、良くも悪くも刑罰のひとつだったとしても自分なりの形で筋を通すということは名誉ではないかと思うんだ。
リーヴス:みんな英語で話してくれたよ。僕も日本語を少し勉強したんだ。絶好のチャンスだからね。外国語で演技するなんてすばらしい経験だよ。
リーヴス:この映画にはファンタジーの要素がある。幽霊とかゾンビのような輪廻転生の部分もあるんだけど、どこの国にもある“良いストーリー”的な万国共通の要素がある。国や文化や肌の色が違っても分かりあえる要素があるんだ。
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