1953年1月22日生まれ、アメリカ、オハイオ州出身。1984年に長編2作目の『ストレンジャー・ザン・パラダイス』で、カンヌ国際映画祭カメラ・ドールを受賞し、一躍脚光を浴びる。その後も『ミステリー・トレイン』(89年)や『コーヒー&シガレッツ』(03年)など話題作を次々と発表。2005年には『ブロークン・フラワーズ』でカンヌ国際映画祭審査員特別グランプリを受賞する。近年の代表作は、『パターソン』(16年)、『ギミー・デンジャー』(16年)など。インディペンデント映画界において、唯一無二の存在として世界中の映画ファンを魅了し続けている。
『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』ジム・ジャームッシュ監督インタビュー
オフビートな吸血鬼映画を監督したインディペンデント映画の巨匠
『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(84年)、『コーヒー&シガレッツ』(03年)、『ブロークン・フラワーズ』(05年)などでお馴染みのオフビートなユーモアと独特の映像センスでコアなファンをもつ鬼才ジム・ジャームッシュ監督。米インディペンデント映画界の最大の巨匠とも呼ばれる彼が7年間温めた集大成が『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』だ。
21世紀に生きる吸血鬼を主人公にした作品で、世紀を超えて愛し合うアダムとイヴ、そしてイヴの破天荒な妹エヴァの3人の姿が描かれていく。
永遠の命を持つ吸血鬼たちの孤独を、ユーモラスで且つシニカルに描いたスタイリッシュな本作について、ジャームッシュ監督に話を聞いた。
監督:この種の映画は金が儲かるぞ、と聞いたからです。
監督:誰も僕らにお金をくれなかったからです!(資金集めは)とても難しかったですし、作り上げるのにとても時間がかかりました。現在、映画を作るのは、(以前より)さらに難しくなっています。おそらく少し特殊だとか、予想できないだとか、人々の何かに対する期待を満たしていないだとか。とにかく、僕らがこの映画を作るのに、手助けしたいと言ってくれる人々が十分にいなかったから長い時間がかかってしまったんです。
監督:僕はヴァンパイアでラブ・ストーリーを作りたかったんです。僕は現代のコマーシャルなヴァンパイア映画をあまり見たことがありません。でも、ヴァンパイア映画の歴史全体に愛情を持っていますし、たくさんの素晴らしい映画があります。それで実際、(イヴを演じた)ティルダ(・スウィントン)と僕はこの件に関して話をしていて、7年前から脚本はあって、実際に制作するのは非常に難しかったけれども、でもティルダは物事がうまく行かないときもけっして諦めず、常に「つまり、この映画を作るのに時期が熟してないということよ、それはいいことだわ」と言っていました。僕はそれがいいことなのか分からなかったけれども、でも最終的にはそういうことだったんだと思います。
監督:僕は、(僕の)映画を分析する方々を切り捨てたいわけではありません。ただ皆さんに、僕にそれをしてくれと言ってほしくないだけです。
僕にとって音楽は非常に、非常に重要です。第一に音楽の核となるのは、ジョセフ・ヴァン・ヴィセムです。彼は作曲家であり、ルート奏者であり、ギター奏者であり、アヴァンギャルドな作曲家であり、そしてまたアヴァンギャルドな、ロックンローラーな側面も持っております。本当にたくさんの才能の持ち主です。
彼は音楽の中心です。映画の音楽のうちのいくつかは、彼がリーダーとなり、我々と共に作ったものです。そしてまた、(歌手の)ヤスミン・ハムダンによる、素晴らしいオリジナル・ソングもありました。僕は彼女に多大な敬意を抱いています。
数年前にモロッコで彼女の演奏を見て、僕は彼女の音楽の大ファンになったのですが、僕はただ、この素晴らしい生き物を、このミュージシャンを知ったとき、信じられない思いでした。音楽はいつも僕にとって、とても、とても重要なものですし、この映画においても大変重要です。もちろん、僕らがオープニングのトラック使用した、リミックスバージョンのワンダ・ジャクソンの“Funnel of Love”があります。だいぶ変えてはありますが、オリジナルのトラックもなかにはいくつかあります。
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