1967年10月3日生まれ、カナダのケベック州出身。いくつかの短編を経て『Un 32 aoA{t sur terre』(98年)で長編監督デビュー。罪を犯した女性の心の葛藤に迫った長編第2作『渦』(00年)がカナダ・ジニー賞で5部門制覇するなど高く評価された。その後、長いブランクを経て、短編『Next Floor』(08年)で復帰。長編『Polytechnique』(09年)でジニー賞9部門に輝いた。『灼熱の魂』(10年)でアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、ハリウッドに進出。
幸せな日常を送っていた家族。だが、6歳の娘が親友と失踪したことから、良き父親であった主人公が狂気の淵へと堕ちていく様子を描いたのが、傑作サスペンス『プリズナーズ』だ。半狂乱の父親は、証拠不十分で釈放された容疑者を拉致監禁し、娘たちの居場所を吐かせるために拷問する。
観客は、子どもを救うためなら手段を彼に共感しつつも、狂気を帯びた行動に戸惑いを覚えるだろう。一筋縄ではいかない作品だ。
監督は、前作の衝撃ミステリー『灼熱の魂』(10年)でアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされたカナダ人監督、ドゥニ・ヴィルヌーヴ。7月にはノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの原作を映画化した心理ミステリー『複製された男』が日本公開される(製作自体は『複製された男』が先)。今後、ハリウッドでのさらなる活躍も期待されるヴィルヌーヴ監督に『プリズナーズ』について語ってもらった。
監督:いや そういった望みはなかった。私が常に自分の作品に望んでいることは、その作品の方から私を選んでくれることだ。自分の好みで選ぶんじゃない。(実際の銃乱射事件をもとにした)『Polytechnique』(09年)と『灼熱の魂』の後は、コメディやミュージカルなど楽しい作品を撮りたかった。だが、なぜか常に暗い題材の作品に引かれるんだ。『プリズナーズ』は私たちが生きる現在の世界を描いてる。それも、すごく正確にね。
監督:監督の仕事は、俳優たちを厳しい戦場に送り出しているようなもので、それが私の仕事だ。私にも子どもがいるから、本作の恐怖や怒りは理解できる。道徳的に葛藤しながらも誰もが持つ感情だから興味深い。見る人すべてが共感できるんだ。だから この作品を撮りたいと思った。
悲しいが、世界のどこでも起こり得る物語だ。私は、誰もが身近なことのように感じられる物語が好きなんだ。政治的にリアルな題材を扱う場合も、それは変わらない。社会を政治的な視点から描く作品でも物語を身近なものとして共感することはできる。それこそが最高の物語だ。
監督:ヒューは本当に素晴らしい俳優だと思う。人としてもとても成熟しているしね。ものすごくパワフルな俳優だよ。それに彼は型にはまらない俳優でもあると思う。一般的な範囲に収まらないんだ。この役を演じるには素晴らしすぎる人だという点も気に入った。彼は“いい人”ではない役も演じる頃だと思ってたんだ。人徳者の役以外の役も見てみたいと思った。彼にはその能力が十分あると思っていたしね。それから毎日こう感じてた、彼と仕事ができて本当に幸運だってね。
監督:理由はたくさんあるよ。彼は多彩な才能の持ち主で、様々な創造性を内に秘めている俳優なんだ。彼は脚本を読むとき、独自の視点で作品世界をとらえるんだ。その世界に入り込む。無から芸術的なものを生み出せるし、十分な肉付けもしてくれる。ジェイクが演じる役は、脚本の時点では何かが欠けてた。だから その役に深く入り込んでいって人間らしくする必要があった。ジェイクと一緒に『複製された男』を撮ったことで、俳優と協力する新たな方法で作品を作るようになった。それが 今回の作品にピッタリな方法だった。俳優が役や作品を広げてくれたんだ。
ジェイクとはアドリブもたくさん考えた。彼は撮影中にもいろいろ思いついてくれて、それがすごく気に入ったんだ。特に素晴らしいシーンは、多くがアドリブにより生まれた。とはいえ、ヒューとジェイクが出ていれば全て最高のシーンになるけどね。
監督:この映画を見た人には自分に問いかけてほしい。
私は何日も何週間も頭から離れない映画が好きだ。素晴らしい映画とはずっと印象に残る映画だと思う。感情を揺さぶり考えさせる映画だ。家に帰った後も現実を忘れ作品世界のことを考える。私は、そんな映画が好きだからそういう映画を作っていきたいね。
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