『マエストロ!』松坂桃李&miwa インタビュー

意外な組み合わせの2人がお互いの印象を語る!

#miwa#松坂桃李

格好良さと可愛らしさのギャップが印象的だった(松坂)

若手人気俳優・松坂桃李とシンガーソングライターmiwaの共演が話題になっている映画『マエストロ!』。名門オーケストラの再結成をめぐり、様々な人間模様が展開される本作で、松坂はヴァイオリニストにしてコンサートマスターの香坂真一、miwaはフルート奏者・橘あまねを演じている。

俳優とアーティスト、身長差35センチ……。一見すると共通点がないような2人だが、インタビュー中、松坂は演技初挑戦となったmiwaを常に気遣い、場を和ませるなど息はぴったり。そんな2人に、お互いの印象や撮影を振り返ってもらった。

──意外な組み合わせに感じましたが、お互いどんな印象を持っていたのですか?

松坂:歌っている時、むちゃくちゃ格好いいのに、歌い終わると可愛らしい感じになる。そのギャップがすごい印象的だったのですが、初めてお会いしたときは、ライブで歌っている時のような輝きを放っていました。
miwa:いやいやそんな(笑)。
松坂:実際、一緒に演じてみて凄い人だなって思いました。僕は初めて演技をした時は、自分でも見ることが出来ないぐらい酷かったので……。miwaちゃんの初めてのお芝居を間近で見ていて、スポンジのような人だなって。監督の言うことや細かいニュアンスをどんどん吸収していくんですよ。

miwa:松坂さんは、すごく穏やかで落ち着いていて、同世代とは思えないぐらい達観している方だなって印象を持ちました。私は初めてのお芝居だったのですが、足を引っ張ってばかりで、撮影も夜中になってしまうこともあったんです。それでも松坂さんは顔色一つ変えず、穏やかに見守ってくださって「大丈夫だよ」って励ましてくれるんです。本当に素晴らしい方です! 他の共演者もそう感じていたようで、皆さんが松坂さんのこと「ブッダ」って呼んでいたんです(笑)。

──撮影中は和気あいあいとした感じだったのですか?

松坂:それが、そんなに楽しい感じではなかったんです。みんなそれぞれの楽器に向き合って、意外と殺伐とした感じでした(笑)。でも逆に本物のオーケストラのような臨場感が出たと思います。
miwa:松坂さんがバイオリンの先生についていたので、撮影中はあまり会話をしなかったんです。だから、こうしてインタビューとかでお会いして、冗談を言ったり、笑っていたりするのを見ると、凄く新鮮な感じがします。映画の時は、集中している姿ばっかりだったので(笑)。

松坂桃李(右)とmiwa(左)

──松坂さんはコンサートマスターを務めるバイオリニスト、miwaさんは初めてのお芝居でしたが、どんな気持ちで臨んだのでしょうか?

松坂:最初はアニメ「耳をすませば」の天沢聖司みたいで格好いいなって安易に考えていたんです(笑)。でも実際、練習するにつれて、バイオリンの大変さを実感しました。ただ、コンサートマスターにも色々なタイプの方がいて、話を聞かせていただくうちに、魅力にはまっていきました。
miwa:最初は驚いたし不安で悩みました。私が演技出来ると思っている人がいるのか!? ってね(笑)。でも、私が演じた橘あまねは、天真爛漫で音楽を純粋に愛しているという役柄。演技力よりも音楽を体現できる人として選んでいただいたとお聞きして、光栄だなって思ったんです。あとは一生懸命頑張るのみ! という気持ちで臨みました。

下北沢での弾き語りが私にとっての最初の一歩(miwa)
松坂桃李

──あまねとmiwaさんは似ている?

miwa:あまねちゃんは思ったことをすぐ言っちゃうタイプで、そういう部分や、あまり深く考えず、ただただ音楽が好きというところは似ていると思います。

──松坂さんからみて、女優miwaはいかがでしたか?

松坂:僕は、初めての現場は辛くてトラウマでしかなかったから、miwaちゃんがとても楽しんで演じているのをみて、すごいなって思いました。他の役も見てみたいです。打ち上げでギターを弾いてもらったのですが、歌っている姿がとても魅力的だったので、ゴリゴリのロックバンドの女の子の役とかいいですね。

miwa
──山のような存在感の西田敏行さんとの共演はいかがでしたか?

松坂:西田さんは、最初対立する役柄だったので、現場では僕らと距離を置いている感じがありました。でも撮影が終わると、みんなをご飯に連れて行ってくれたりしたので、役との関係性をすごく大事にされる方なんだなって思いました。普段の西田さんは、とても穏やかで、優しい空気を身にまとっている感じ。でも指揮者として舞台に立つと、圧倒的なパフォーマンスを見せる。目が離せないんです。
miwa:あまねは、西田さん演じる天道徹三郎と仲良しの役だったので、和気あいあいと接していただけました! 初めての演技が、天道さんからお好み焼き屋さんでスカウトされる場面だったのですが「初めてなんだよね? 失敗しても、もう1回やればいいんだよ」みたいな感じで和ませていただきました。

──香坂やあまねはオーケストラ再結成によって、人生が変わっていきましたが、お2人にとって人生を変える出来事や出会いは?

松坂:僕はこの仕事を始めるきっかけとなったオーディションです。当時大学生だったのですが、20歳の時に興味本位でモデルのオーディションを受けて、今の事務所に所属することになったんです。そこからは人生が180度変わりましたね。
miwa:私は高校2年生の時、下北沢で弾き語りライブを始めたことかな。ライブを行うようになって、今のレコード会社の方と出会ったので……。私にとっての最初の一歩ですね。

こんな大事なお方を後ろにのせて、こけたら大変!(miwa)
『マエストロ!』撮影中の様子 (C)2015『マエストロ!』製作委員会 (C)さそうあきら/双葉社

──おすすめシーンはありますか?

松坂:2人でチャリンコに乗っているシーンがあるのですが、miwaちゃんがこいで僕が後ろに乗っているんですよ。
miwa:松坂さん、身長が高いし足も長いので、あのシーンは本当に怖かったんです。こんな大事なお方を後ろにのせて、こけたら大変だと思って(笑)。でも、河原で自転車こぐなんて青春みたいだし、そういうことしたことなかったので、嬉しかったです。

──最後にメッセージを。

松坂:日本だとクラシックって敷居が高いイメージですが、この作品に携わって身近に感じるようになったんです。だからこの作品を通じて、海外のようにクラシックは気軽に見られるんだって思ってもらえたら嬉しいですね。1800円でコンサートが見れます!
miwa:笑えるし、泣ける。どっちも詰まっている映画です! 音楽の素晴らしさはもちろんですが、人間の心の深い部分に訴えかける作品なので、何か悩みがある人も、この映画を見ていただければ元気が出ると思います。

(text&photo:磯部正和)
(松坂桃李 ヘアメイク:INOMATA〈&’s management〉/スタイリスト:Arata Kobayashi〈takahashi office〉)
(miwa ヘアメイク:佐々木篤〈GLUECHU〉/スタイリスト:小川恭平)

miwa
miwa
みわ

1990年6月15日生まれ。神奈川県出身。高校在学中に下北沢のライブハウスで音楽活動を始める。10年、ファーストシングル「don't cry anymore」でメジャーデビュー。同年、初ソロライブツアー「miwa "very first tour" miwa yade! miwa dagah! miwa dayo!」を行う。本作で女優デビューを飾る。

松坂桃李
松坂桃李
まつざか・とおり

1988年10月17日生まれ、神奈川県出身。2009年に特撮ドラマ「侍戦隊シンケンジャー」で俳優デビュー。11年『僕たちは世界を変えることができない。』、『アントキノイノチ』で第85回キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞、第33回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。TVドラマ、舞台でも活躍。主な映画出演作は『日本のいちばん長い日』(15年)、『マエストロ!』(15年)、『湯を沸かすほどの熱い愛』(16年)、『不能犯』(18年)、『娼年』(18年)、『居眠り磐音』(19年)、『蜜蜂と遠雷』(19年)など。『孤狼の血』(18年)で第42回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞、『新聞記者』(19年)で第43回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。主なTVドラマ出演作はNHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」(12)、「わろてんか」(18)、大河ドラマ『軍師官兵衛』(14年)、『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(19年)、『ゆとりですがなにか』(16年)、『この世界の片隅に』(18年)、『パーフェクトワールド』(19年)など。2021年は『いのちの停車場』、『孤狼の血II』、『空白』が公開予定。今春にはNHK土曜ドラマ『今ここにある危機〜』で主演を務める。

松坂桃李
マエストロ!
2015年1月31日より公開
[監督]小林聖太郎
[脚本]奥寺佐渡子
[原作]さそうあきら
[出演]松坂桃李、miwa、西田敏行
[DATA]2015年/日本/松竹、アスミック・エース

(C)2015『マエストロ!』製作委員会