山口馬木也、時代劇への思いを聞かれ「恩人のような存在」と若き日を振り返る

#侍タイムスリッパー#安田淳一#山口馬木也

山口馬木也
安田淳一監督(左)と山口馬木也(右)

自主制作映画にも関わらず日本アカデミー賞では優秀作品賞、最優秀編集賞などを受賞した『侍タイムスリッパー』。昨年8月に公開され、今はAmazonプライムやU-NEXTなどでも見られるにもかかわらず、今もなお劇場でロングラン上映中の大ヒット作だ。この映画の記者会見が日本外国特派員協会で行われ、安田淳一監督と主演俳優・山口馬木也が出席。海外メディアからの質問に答えた。

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侍が現代にタイムスリップして展開する人生賛歌を描いた本作。時代劇への思いについて聞かれた安田監督は、時代劇という題材を選んだのは「ハードルが高いから」と回答。「今まで映画を作ってきたその経験から言うと、簡単に作った映画ではお客さんは喜んでくれない。ハードルが高いものをやり切った方がお客さんの喜びにつながる」と挑戦について語った。

さらに「時代劇への懐かしさ」も理由の1つだと話し、「子どもの頃に小学校から帰ってテレビをつけると、夕方にはずっと再放送の時代劇があって、毎晩のように新作の時代劇が流れてました。時代劇を通じていつも見ていたのは、江戸時代の庶民の生活の中で困ってる人を助ける、助け合うという物語。そこに日本人の温かさを感じました。最近、時代劇がなくなりましたので、チャンバラの面白さはもちろんですが、善人が助け合うという世界をどうしても描いてみたかった」と付け加えた。

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一方、山口は「俳優として何をどうすべきかっていうことがわからなかった時に時代劇というものに出会い、所作であったり立ち回りであったりということを覚えれば俳優にちょっとでも近づけるっていうのがありました。ですので、僕の中で時代劇っていうのは恩人のような、そういう存在」と、若き日の思いに言及。京都の撮影所でそういったことを学んだんですけど、この映画ってそういう方たちの話です。今、時代劇は風前の灯火ということなので、何か恩返しのようなことができればいいなという思いで、この映画に参加していました」とも語った。

ヒットの理由についても聞かれ、安田監督は『カメラを止めるな!』を参考にしたと回答。「『カメ止め』のヒットを見て、自分の過去の作品にはここまでお客さんを楽しませる力が足りなかったということを素直に反省して、作品そのものを研究し、どうやってプロモーションしていったかを研究しました。そういった方法論で『カメ止め』のヒットの再現性を証明しただけです。当時『カメラを止めるな!』のヒットは一回きりの奇跡という人が多かったんですけれど、僕は1回できたことは再現できるんじゃないかっていうところから、この映画に取り組み始めました」と明かした。

同じくヒットの理由について聞かれた山口は「監督はヒットの再現ということを狙ったんでしょうけど、僕はなんか映画館に来て、なんか楽しく笑って泣いて、みたいなことが起きればいいなと思っています。最初に思ってたのは、ちっちゃい宝物をコツコツ拾うのが楽しいような映画になればいいなっていうことを思っていただけなんで」と照れ笑い。「わからないので、僕はお客さんによく聞くんです。なんでこんなに映画館に足を運んでくださるんですか、と。多くの方がおっしゃるのは、なんかキャラクターに会いに行きたくなるんですって言ってくださるんです。それがどういうことかは、僕にはちょっとわからないですけど」とも話していた。

『侍タイムスリッパー』はロングラン上映中。

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