映画『4/猫 -ねこぶんのよん-』(15年)やテレビドラマ『深夜食堂』などにも出演している女優猫。ピンクの鼻がチャームポイントで、リラックスすると喉を鳴らす「ゴロゴロ」の音がちょっと大きめ。
『猫なんかよんでもこない。』俳優猫「のりこ&りんご」×山本透監督インタビュー
現場では“猫合わせ”あり、“猫隊”も出動!? にぎやかな撮影を紹介
2016年の猫映画トップバッターとなる『猫なんかよんでもこない。』が1月30日に公開される。実話コミックスをベースに風間俊介が主演をつとめ、ダメボクサーの主人公・ミツオと、拾ってきた2匹の猫との暮しを丁寧かつ微笑ましく描いた感動作だ。
本作の公開を前に、猫ならではのバタバタとした撮影エピソードや、自身も猫を飼っているという山本透監督の猫へのこだわり、作品に込めた思いなどを聞いた。
監督:撮影では事前に猫にここのカットはこう動いてほしいと全てイメージを作って臨みましたが、思い通りにはいかなかったですね(笑)。右から左へ歩いてほしいところが左から右になってしまったり、そういうところをどれだけフレキシブルにスタッフも役者も動けるか。猫は言葉が通じないので、眠そうだったら寝ているシーンを撮るとか、どれだけ“猫合わせ”できるかもテーマになっていました。
監督:無理やり寝かせても寝ないので、眠そうなときに座布団を持ってきて眠るシーンを撮ったりしました。アパートの場面では、昼も夜も撮れるようすべて準備して、夜中に昼間のシーンを撮ることも。キャストにとっては猫の状態によって「ここを撮るぞ!」と突然言われるし、予定表にないシーンを撮影することもあったので大変だったと思います。その中で風間君は、常に臨機応変に対応してくれていました。予定にないシーンが毎日入ったりするのは普通の撮影ではありえないですから。あと、出演する猫は常にフルメンバーを連れてきてもらって、(撮影中の猫が)撮影に飽きたら子猫のシーンにチェンジしたり、そのときのコンディションでフレキシブルに進めていきました。
監督:最後の方で、昼寝をしているミツオの○○の下に猫が入るシーンがありますが、そこはこだわりました。一緒に暮らすパートナーの空気を出そうとはじめは「朝までかかっても撮りたい!」と言わせてもらいましたが、実はすんなり撮れて。最初はミツオの胸の上に乗っかってそれはそれで面白かったですが、○○の下に入ってほしいと願っていたら入ってくれて、2回くらいでOKになりました。こいつ(のりこ)が仕事を分かったのか、単に眠たかったのか(笑)。
監督:音で振り向かせたりごはんで誘ったり、布団の上にとにかく興味を持ってもらおうと色々やっていました。特に子猫は動き回るので、カメラマンも大変でした。
監督:猫のリサーチは、脚本が詰まり切っていない早い段階から始めていました。いくつかのプロダクションさんでたくさんの猫を見させていただき、その中で、りんごはほかの猫が近付くと「シャー!」と声を上げる特技があることと、聞き訳が良くて「待て」なんかもできるのが決め手でした。この子は、人間は好きだけど他の猫はダメな「猫見知り」なんです。野良猫とケンカをするシーンもありますが、本当にケンカをさせるわけにもいかないし、ケンカが始まりそうなムードを作ってくれる猫がいたらいいなと思ったらいて。
のりこはピンクの鼻がたまらなくかわいくて決めました。撮影中はリラックスして、ゴロゴロいう音が大きいので、後から音を絞るのが大変なところもありました。外で駐車場の車の下に入って出てこなくなったこともあり、みんなが「のりこー」って呼ぶのに、この子はあくびしてのんびり耳をかいたりして(笑)。
監督:あそこはロケだったので現場も緊張していました。怪我をさせたらいけないので爪を短く切ったり、もし飛びついでも動物トレーナーの佐々木さんが常に止められるような体制で近くにいたり、細心の注意を払っていました。あと、逃げて車にひかれてしまったら危ないので、どの撮影でも猫隊と言って、衣装さんから美術さん、撮影班まで手の空いているスタッフは全員ネットを持って、万が一のことが起きないように備えていました。
監督:そうです。なので、野良猫なのに洋猫がいたりと豪華な猫集会になっています(笑)。
監督:緊張していたり嫌がっていたりすると気持ちが分かります。そういう所は観客に伝わらないよに気を使いました。猫がリラックスしているというシーンでは尻尾が上がるまで待ちましたが、もし猫を飼っていなかったら無理やり撮影していたかもしれません。そういう所も、猫を飼ってなかったらできなかったのではないかと思います。
監督:やはり無理矢理させないことです。
監督:原作があまりペットペットしてないというのもありましたが、生き物を飼うのは可愛いだけじゃない、と。毎日世話するのも大変ですし、疲れている時もあるし、病気になる時もある。そういうのもひっくるめて生きていくことだと思うし、だからこそかけがえのないものだったりするので、可愛いだけの猫映画ではなくて、(良いところも大変なところも)全部あって愛おしいんだと伝わるといいと思っていました。
監督:この映画が大ヒットして『猫よん。2』を撮りたいです。
(text&photo:中村好伸)
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