『怪盗グルーの月泥棒 3D』『アングリーバード』などのアニメーション映画の製作を手がける。
世界中で大人気のゲームアプリをアニメ映画化した『アングリーバード』。飛べない鳥たちの勇気と絆を描いた作品で、怒りんぼうの主人公、レッドの声を坂上忍が担当しているのも話題の一つだ。
本作の魅力について、『怪盗グルーの月泥棒 3D』も手がけたヒットメーカー、プロデューサーのジョン・コーエンに話を聞いた。
コーエン:元々ゲームの大ファンで自分から(ゲームをリリースしているフィンランドの企業)ロビオにアプローチをし、2012年からストーリーの組み立てを始めました。
コーエン:既に多くのファンがいて人気のゲームですが、設定として決まっているのは鳥たちが飛べないこと、ブタたちとパチンコを使って戦うということくらいで、あまりそれぞれのキャラクターの個性を表しているものがなく、そういった意味では自由にストーリーやキャラクターを広げることができました。例えば、すごく人気のある“スパイダーマン”や“アイアンマン”といったものは既に本やコミックなどが出ていて、あまり自由に色々広げることができませんが、今回は自由があったのでとても良かったと思います。
コーエン:ストーリーを作るにあたってロビオの会長であるミカエル・ヘッドとクリエイティブ・エグゼクティブのミッコ・ポーラと2012年から話を始めて、数ヵ月に渡ってきちんとしたものを作るための話し合いをしました。ゲームのファンだけでなく、ゲームを知らない人もきちんと作品を理解できるように作り上げることが一番のチャレンジでした。
コーエン:ミニオンズの特徴は可愛くてシンプルなだけでなく、やんちゃな感じもある、とても不思議な組み合わせを持っていることです。それらのキャラクターをつくり上げるにあたって監督やデザイナーが深く関わったのですが、『アングリーバード』ではベイビーバードがいて、ミニオンズと同様にシンプルで可愛い。
けれども、この2つのキャラクターには大きな違いがあって、ベイビーバードは実際の子どもたちが声を担当していることです。言葉を喋るか喋らないかぐらいの小さな子どもたちが担当しています。僕の2歳の子どもも参加しているんですが、子どもたちに「こうやって欲しい」というリクエストをしてもやってくれないんですよね。ある意味、ミニオンズと同じく、我々が理解できない言葉や、好きなことを自由に話してしまうのです。ベイビーバードも好きなことを喋っていますよね。そして、1つ、とても誇りに思っていることがあり、google(※)で“cute”と調べると一番にベイビーバードが出てきます。それは、我々が可愛いという定義を作れることができたということなのでとても誇りに思っています。(※google US)
コーエン:怒りんぼうのレッドは映画の中で不機嫌で、我々人間が、普段は取らないけれど本心では取りたいと思っている行動をとるので見ていて気持ちいいです。例えば、社会的にマナーが良くないと思われるかもしれないが、コーヒーを買う為にお店で並んでいて、間隔をあけずに自分に接近してくる人に対してレッドなら正直に怒るでしょう。そういう行動に、私たちはシンパシーを感じることができると思います。
コーエン:ディズニーはご存知の通り、素晴らしい映画を作ります。勿論、アニメーションの造形や動きといったこともですが、キャラクターは人間の形をしていなくても、アニメーションの演技によって魂を持ち、まるで人間ではないかと錯覚を起こすほどのものを作っているので素晴らしいです。
『アングリーバード』に関しては、監督のクレイ・ケイティスに早くからプロジェクトに参加してもらい、アニメーションの担当をしてもらいました。クレイは19年間ディズニーにいて、最後の12年間くらいはアニメーションのトップとして、『アナと雪の女王』、『塔の上のラブンツェル』といった映画を担当していていました。経験やアニメーションの素晴らしさを本作でも発揮してもらい、ディズニーみたいないいところを取り上げながら作りたいと思っていました。映画を見てもらうとわかるんですけど、本作のキャラクターも素晴らしくでき上がっています。
コーエン:日本のアニメの大ファンです。特に『千と千尋の神隠し』、『となりのトトロ』、『崖の上のポニョ』などの宮崎駿監督作品や『時をかける少女』が好きです。日本アニメの芸術性や、手書きの部分に魅力を感じています。また、インスピレーションも受けるので、ベイビーバードもトトロの形に似ているかも(笑)。
コーエン:キャラクターが何であろうが、どんな人でもそのキャラクターに繋がりを感じることができる部分があるということです。アニメのキャラクターは様々ですが、人間の姿をしていなくても映像を見ていると人間らしさを感じることが出来ます。国や地域を越え、その国の歴史を知らなくても同じように感じることができるところに魅力を感じます。
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