1989年12月25日生まれ。神奈川県出身。慶応大学在学中から、モデルや女優として活動を開始。卒業後、本格的に女優活動を開始し舞台、映画などに出演。テレビ『たべるダケ』、『ダークシステム』、『グーグーだって猫である』、『ウーマン・オン・ザ・プラネット〜オースラリア縦断旅〜』、大河ドラマ『真田丸』や、映画『かしこい狗は、吠えずに笑う』(第34回PFFぴあフィルムフェスティバル入選)、『みんな!エスパーだよ!』、舞台:江古田のガールズ『楽屋』、渋谷ハチ公前『とりわける人たち』、東京マハロ『エリカな人々』などに出演。
日活ロマンポルノ生誕45周年を記念して立ち上げられた「ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」。「10分に1回の絡み」「70〜80分前後の上映時間」「全作品同一製作費」「撮影期間1週間程度」という本家ロマンポルノと同条件のなか、現在の日本映画界をけん引する塩田明彦、白石和彌、園子温、中田秀夫、行定勲という5人の監督がメガホンを執り話題となっている。
その第1弾となる行定監督の映画『ジムノペディに乱れる』が11月26日より公開を迎える。主演に板尾創路を迎え、肌のぬくもりを求めて女たちの隙間を彷徨う映画監督の哀愁を綴る。本作で、わがままな女優・安里(あんり)を演じ、情緒たっぷりで詩的な濡れ場を披露しているのが女優・岡村いずみだ。裸が必然となるロマンポルノへの出演に「全然抵抗はありませんでした」と胸を張った岡村がその心境を語った。
岡村:存在は知っていましたが、見たことはありませんでした。今回参加させていただくことになり、撮影が終わったあと数本見させていただきました。
岡村:そうですね。でも自分なりにはどんな作品なのかは調べていて、とても歴史あるものだという認識はあったので。でも、そんなシリーズに参加させていただくというプレッシャーはありました。
岡村:自分の体をみんなに見てもらうという意味でも覚悟は必要でした。最近の邦画でも、濡れ場がある作品は増えてきていますが、ロマンポルノという冠がついていると、見る側も身構えてしまうだろうと思っていたので、緊張感はありましたね。
岡村:なかったですね。女優の仕事をしていたら、いつかは脱ぐんだろうなという思いは持っていたんです。でも、「どうせ脱ぐのなら、いい作品で。脱ぎ損にはならないようにしたい」というのは事務所の方とも話をしていました。ロマンポルノという歴史あるシリーズで、しかも行定勲監督がメガホンを執り、相手も板尾創路さん……脚本も深い愛を描いたしっかりした内容だったので、これは初めて脱ぐ作品としてはいいのではと思ってオーディションを受けさせていただきました。その時点で裸や濡れ場への抵抗は全然ありませんでした。
岡村:両親は多少心配していましたね。娘が出ることに反対というよりは、作品に出ることによって私が嫌な思いをしないかということを心配していました。でも「本当に素敵な作品だから」としっかり伝えたら納得してくれました。友だちの反応は面白かったですね。女友だちはみんな「いいね」とか「格好いい!」って応援してくれたのですが、男友だちは複雑な感じでしたね。「見たいけど見ていいの?」みたいな(笑)。それと私は三姉妹なのですが、姉妹は2人とも喜んでくれました。
岡村:噂ではすごく厳しい方だと聞いていたので、ドキドキしていたのですが、意外と現場はスムーズだったような気がします。私が場慣れをしていないのをわかっていたのか、すごく細かく演出をつけていただきました。とてもやりやすかったです。
岡村:オーディションで選んでいただいたのですが、お芝居の経験も浅く、自信を持って臨めたわけではなかったんですね。それでも自分なりに演技プランを練って、セリフや役柄の背景を考えて現場に入ったのですが、初日に自信のなさを見抜かれてしまったんです。その時「失敗してもいいから思い切り自分の考えてきたことを出して」と言われたんです。その一言で一気に緊張がほぐれました。
岡村:事前準備として、身体作りだけはちゃんとしようと思いました。見ている方を不快にさせたくないし、私自身も作品として残るものなので、きれいな体でいようという意識は強かったです。あとは、オーディションで「胸がきれいだから絶対痩せないように」と言ってもらえたので、その部分と肌の手入れや体に傷をつけないようということに気をつけました。
岡村:濡れ場のシーンは、廃墟での撮影などロケーションがすごく素敵で、照明もきれいに当てていただいたので、安心して臨めました。なので、あまり変な意識を持たず、板尾さんと作り出したその場の空気に身を任せてやらせてもらいました。
岡村:言葉としてはなかったですね。でも、カメラが回る前からずっと手を握ってくださったんです。それがとても安心できて、濡れ場の前から自然とドキドキして入れたのでやりやすかったです。
岡村:自分のシーンに関しては、本当にきれいに撮っていただいたなって思いました。全体を通してみると、台本で読んだときより、映像の方が板尾さん演じる古谷監督の寂しさがより伝わってきました。一方で、釜山国際映画祭の公式上映で拝見したときは、会場から結構笑い声が上がっていたんです。リラックスしてみると、意外とコミカルで笑えるシーンもあるんですよね。普通の娯楽作品として楽しめるし、笑って笑って最後に切ないシーンという落差も味わい深いなって思いました。
岡村:私は気が強そうに見られることもあるのですが、意外と人見知りだし、自分の思っていることを言うのが苦手なタイプなんです。だから思ったことをはっきり言える(今回演じた)安里みたいなタイプは憧れますね。結構オタク気質なので。
岡村:大学時代に雑誌のモデルをやっていたのですが、そのつながりで自主制作の映像に出演することになったんです。そこで初めてお芝居を経験して、とても新鮮で面白いなって感じたんです。みんなで一つのものを作るという雰囲気も楽しく、せっかく始めたのだからと思って就職せずに、この世界に進もうと思いました。
岡村:モデルをやっているときは、大学生の思い出作り的な部分があったので、普通に就活するのかなと思っていたのですが、自主映画をやって、この世界のことを知ってからは迷いはなかったですね。
岡村:正直、大学時代はちやほやされていた部分もあったのですが、オーディションに行くと、私よりルックスがいい子はいっぱいいますし、面白い特技や個性を持った子もたくさんいます。私なんてちっぽけな存在だなって思うことも多々あります。でもこの仕事を初めて5年目ぐらいなのですが、想像以上に良い縁に恵まれて、素敵な作品に携われているなという実感はあります。
岡村:劇中で古谷監督が困っていたやつですね(笑)。一緒にいて安心できるということが一番愛を感じることかな。会話がなくてもお互い隣にいるだけで心が安らいだり……。大人になってそういうことが“愛”だなって思うようになりました。
岡村:昔は愛というのはもっと情熱的なものだと想像していましたね。でも最近は落ち着きや安らぎを求めるようになっています。
岡村:これまでドラマやCMなど色々な仕事をさせていただいてきましたが、映画に出たいという気持ちがずっと強かったんです。映画って記録にも残りますし、真っ暗ななかで、画面に集中して作品を見られる映画館という空間も好きなんです。そんな思いのなか、歴史あるシリーズで、素晴らしい監督、良い脚本、魅力的な共演者に囲まれ、重要な役をやらせていただいたことは、私の女優人生にとって大きな前進でした。この作品がきっかけで、また新たな映画に出演できたら嬉しいですし、ずっとこの仕事をやっていきたいと改めて思えた作品です。
岡村:すごく気になります。(前売りの)5回券買ったので全部見に行きます!
(text&photo:磯部正和)
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