2002年1月30日生まれ。大阪府出身。「アミューズオーディションフェス2014」でグランプリ獲得をし、芸能界入り。ドラマではNHK連続テレビ小説『あさが来た』(15〜16年)、『精霊の守り人』(16年)、『透明なゆりかご』(18年)、映画では『3月のライオン 前/後編』(17年)、『ユリゴコロ』(17年)、『ちはやふる -結び-』(17年)、『デイアンドナイト』(18年)などに出演して映像作品のキャリアを重ねるとともに、2018年8月1日(9月号)からは雑誌『Seventeen』の専属モデルとしても活躍中。
抜群の透明感と、物語の中に自然と存在する芝居のリアリティ。女優・清原果耶は、群雄割拠の若手女優たちの中においても、目が離せない存在の一人である。
現在放送中の『連続ドラマW 湊かなえ ポイズンドーター・ホーリーマザー』の第3話では、育児放棄されていると思われる少年に手を差し伸べる心優しい少女・幸奈を演じた清原に、役柄へのアプローチ、芝居に目覚めたきっかけ、女優として目指すものについて話を聞いた。
清原:10代から大人まで、正幸くんを助けたいという思いが間違った答えだったとしても、幸奈の中ではずっと大事にしている部分なんです。その思いがないと、正幸くんだと特定しなくても、(人のために)動けないことだってあるし、言えないことだってある。幸奈は正幸くんのために行動している、ということを意識してお芝居をしました。
ただそれは「正幸くんを心配している自分が好きなんじゃないか」ということを監督と話したりしました。そういう部分はあってもおかしくないし「あったら面白いですよね」という話も出ていたんです。幸奈として、自分に正直に生きるということを大切にしていましたね。
清原:魅力という言葉を使うなら、誰かを心配する優しい心を持っている子ですね。すごく優しいからこそ、柔軟という言葉が裏目に出てしまうこともあって……。そういうことはあっても、基本的には誰にでも優しくて、気も遣えた結果が、そうなっている…という感じなんです。共感はできなかったですね(笑)。あまり共感する部分を見つけようと思う気にも、多分ならなかったから……。とにかく幸奈として生きている自分も、幸奈も、否定しないようにしていました。
清原:幸奈に100%共感できないわけではないんです。私もちょっとひねった考え方をしたら、幸奈のような思考に行きつくこともあり得ますし……。ただ、私が普段生きていて、そうなることは多分ないだろうなと(笑)。それも多分なので、わからないですけど。共感できる方が、私は役を分析しやすいし、分解もしやすいんだろうなと思いますけど、今回100%この役に共感できたかと言われると、そうではないです。ただ、共感できなかったとしても、演じるうえでそれが直接、自分の苦になったということはなかったです。
清原:基本的には監督が「清原さんの好きなようにやっていいよ」と言ってくださる方だったので、その中でお芝居をしていました。監督は「こういう動きを試してみたい」とか、そういう希望はすごくぶつけてくださったので、それを受け止めてお芝居して、違うと感じたら「これは幸奈はしないと思います」と返したりとかしていました。もしかしたら、私がぶつかっていただけかも(笑)。それを受け止めてくださっているスタッフの皆さんがいらっしゃったのかもしれないですね。
清原:この作品は、一見ダークな印象を与えてしまう物語、題名、役どころだったりするかもしれないですけど、それをいかに楽しんで見ていただけるかという思いを持ちながら、チームで撮影していました。こうしたら面白いんじゃないか、こう映ったら面白いカメラワークなんじゃないかとか、すごく練りこまれて、考えて作りあげられた作品です。緊張感はもちろん常にありましたけど、演じる身としては、すごく胸が躍りました。ただ、その思いは奥底に沈めて。苦しみはありましたね。
清原:初めて、ちょっと変わった存在感のある、変わった価値観を持っているような役と出会って、自分が考えている普通じゃ全く想像も足りなくて。けっこう悩んだシーンもあったんですけど、そこをどう突破して、自分の想像を行動が上回っていけるかって、すごく難しいことだったなって、今では確認できます。今後、挑戦していかなきゃいけない壁って、こういう角度からも出てくるんだなとか、色々考えたことはあったので、そういう確認が出来たという意味での成長は、もしかしたらできているのかもしれないですね。
清原:客観視はあまりしていないです。客観視するのは、終わってからですね。でも、入り込みすぎてしまう役にも、出会ったことはあります。休憩中とか撮影がない日でも、その役のことはもちろん考えていますけど、その役に染まった自分がいるか、いないか。染まっている場合もあるんですけど、染まっていた方がいい芝居ができるとか、そういうことでは全くないので、それぞれですね。その時の空気感とか、私の精神状態とかによるので、ばらばらです。
清原:ポジションという言葉は、あまり好きではないんです。この作品では、たまたま幸奈が軸で、幸奈の目線で回っているだけなので、それが正幸くんかもしれない。かもしれないというか、そのキャラクターの主演は、まさしくその人しかいないので、どの立ち位置であっても、私が演じる役に注ぐ愛も変わらないです。
もしかしたら、私が主演だからこうしなきゃとか、こういう立ち振る舞いをしなきゃっていうことを考える余裕が、多分今はないから、できていないっていうだけかもしれないですけど。今まで機会をいただいた中で、気にしたことはなかったですね。自分が必死に、丁寧にやっていれば、何か伝わるものだってあるかもしれないし、回る空気だってあるかもしれないので。
清原:事務所のオーディションの途中です。オーディションに行って、普通に自己PRとかをして、審査がどんどん進んでいく中で、やっぱりお芝居の審査もあって。台本をもらって、一緒にオーディションを受けた人たちとお芝居をしていって「あ、楽しいな」って気づいて。そこから賞(=グランプリ)をいただいて。初めてのお芝居、ちゃんとした仕事が、NHK朝の連続テレビ小説でした。
清原:本当に恵まれた機会をいただけたなって思うんですけど、大変すぎて(笑)。セリフの覚え方も分からないので。セリフも言えなければ、感情も動かないし、それこそ涙も出ないし。動き方もロボットみたいになっちゃったこともありました(笑)。そこで難しさというか、大変さみたいなものにも、同時に気づきましたけど、私がこうやってお芝居をしたら、見てくださった方々に届くものがあるっていうことに気づいたのは、やっぱり朝ドラだったので、(芝居に目覚めたのは)そこからですかね。
清原:色々な作品に携わらせていただく中で、本当に沢山の役者の方や、スタッフの皆さんに出会ってはいるとは思うんです。出会いがないということ自体が少ないので、特定しようにも……できない(笑)。ただ、経験として言ったら、私はオーディションに受かったことだったり、お芝居の楽しさに気づいたり、そういう新しい感覚が芽生えた『あさが来た』ですかね。
清原:一緒にお芝居をする機会があった宮崎あおいさんです。共演シーンで感動しすぎて、私は泣かない台本なのに泣きそうになってしまって、涙が出ないようにこらえるのが大変でした。こんなに人の心を動かせるお仕事って、すごく素敵だなって思ったんです。
清原:ないですね(笑)。目標もコロコロ変わるもので……。ただ、もちろん今も、見てくださった誰か一人でも心に残る何かが……私が携わった作品として残ったら嬉しいなとも思います。近づけているなんて思わない、思えないですけど、そうなっていければいいなとは思います。
(text&photo:岸豊)
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