998年1月5日生まれ、千葉県出身。2012年に女優デビュー後、数多くのドラマ・映画に出演。今夏のドラマ『サイン―法医学者 柚木貴志の事件―』にも出演。また今年は『劇場版シティーハンター<新宿プライベート・アイズ>』のヒロイン役として声優に初挑戦し、『名探偵ピカチュウ』(19年)では日本語吹き替えにも初挑戦した。10月12日からは初舞台となるタクフェス第7弾「流れ星」に出演。来年1月には主演映画『シライサン』の公開も控えている。毎週土曜朝には情報バラエティ番組『にじいろジーン』にレギュラー出演中。また、雑誌「Oggi」「MORE」でモデルとしても活躍中。
累計発行部数300万部を突破した押見修造の人気コミック「惡の華」が実写映画化。伊藤健太郎、玉城ティナというフレッシュなキャストが出演し、思春期のダークな面をえぐり出す衝撃作となっている。メガホンをとったのは、原作にほれ込み、映画化を熱望した鬼才・井口昇監督。そして『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』などで知られる岡田麿里が脚本を手掛けている。
原作は「中学編」「高校編」へと物語が進んでいくが、「高校編」が映像化されるのは今回が初となる。今回はその「高校編」のキーパーソンとなる常磐文を演じた飯豊まりえに話を聞いた。
飯豊:井口監督の世界観が、すごくこの映画に出ているなと思いました。『惡の華』というのは、私にとってすごく衝撃的な作品で。これはやはり井口監督が撮るからこそ、生き生きするんだろうなと。共演者の(伊藤)健太郎くんと(玉城)ティナちゃんの内に秘めたものが、友だちだからこそ見えてきて。今まで見たことがない引き出しがこの映画に詰まっているなと思いました。
飯豊:私はこの作品と、自分のキャラクターがかけ離れ過ぎていて。何でこの作品に参加できるんだろうと思っていたんですけど、井口監督からは「常磐さんの『ニャハ』というセリフは、飯豊さんが普段から言ってそうだったのでお願いします」と言われて(笑)。すごいプレッシャーがありました。私は思春期に、『惡の華』のキャラクターみたいな出来事もなかったので。台本を読んで、ものすごく強烈だなと思ったんですけど、それが映像になって、表情などが見えるようになると、なんか感動するんだなと思いました。
飯豊:結構切ない立ち位置だと思いますが、でもそういうキャラクターは今までも演じていた方なので、得意でした(笑)。
飯豊:どこか仲村さん(玉城ティナ)とリンクさせたいというのは監督と同じ意見で。直前に「仲村さんのニャハというのを見せてください」とお願いして。それを見て、できるだけティナと近いようにやろうと心掛けました。健太郎くんは(玉城ティナの『ニャハ』を)すでに見ているので。健太郎くんの前で何回も「ニャハ」とやってみて。「今のは似ていない」「今のは似ている」みたいな感じでジャッジしてもらいました。もともと2人とも共演経験があるので、すごくやりやすかったです。
飯豊:私も本が好きですし。共感するところはありますね。ただ以前は青春コメディだったんですけど、今回はガッツリとした作品だったんで、不安はありました。でもそこはドラマをやっていた2年という期間に、井口監督にはお世話になっていたので。監督の下に飛び込んで『惡の華』の世界に生きようと思って。思い切って挑戦しました。
飯豊:こういう顔をしてくださいという風に分かりやすく、監督がお芝居のお手本を見せてくださるんですけど、それがなんかすごく恥ずかしくて(笑)。例えば、常磐さんがこっそり書いていたプロットを春日くんに見られる時に、「見てもいいけど、笑ったら殺すからね」というセリフがあったんですけど、「クッと空気を口に入れて消してください」というのが監督からの指示で。それが恥ずかしかったですね。
飯豊:そうです。でも玉城ティナちゃんは、それをすぐに受け入れて、すぐに自分のものにできているんで、すごいなと思いましたね。
飯豊:とにかく明るいんですよ。例えば雨の日になると、監督はコンビニに行って募金をするんですよ。そうすると晴れると言っていて。そういう風に明るく、現場がいい風に進むといいなと考えてくださるので。監督が『惡の華』の大ファンなので。それについていくのが楽しかったです。
飯豊:玉城ティナちゃんはキラキラした青春ものとかが出来ないのが悩みだと言っていたんです。でも私としては、こういう、他の人ができないような世界観を持っている役が演じられる方がすごいなと思っていて。そういうめぐり合わせがあればいいのにな、と思っていたんです。だからこの作品は彼女にぴったりだと思ったし、私的には仲村さんとティナがものすごくリンクするところがあって。この作品をティナがやることで、グッと引き込まれるようになるんじゃないかなと思って嬉しかったです。そういう作品に私も一緒に出ることができて嬉しかったです。
飯豊:生き生きしてますよね。最近そういう役柄が続いていると思うんで、自分のことのように嬉しいです。実は作品が始まる前はすごく不安がってたんですよ。「私にできるかな」という風に言っていたんですけど、私的には「ピッタリじゃん。ティナしかいないよ、できる人は」といったのを覚えていますね。やっぱり最高でしたからね。
飯豊:芸能学校だったんですけど、モデルをやっている子があまりいなくて。ティナとは同い年でモデル出身だったので、どこか安心感があるというか。彼女とは最初に仲良くなりたいと思ったんで、一緒に登校したりしていました。でも高校を卒業してからの方がよく会ってますね。
飯豊:そう思います。でも求められているジャンルが全く違う分、相談しやすいですし。お互いに、ここは刺激し合える部分だよね、というようなバランスがいいなと思っています。彼女の世界観とか考え方は、わたしの感覚とはまたちょっと違うので、すごくいい刺激になっています。
飯豊:この突き抜けた役を、リアリティーを持って演じられる人は同世代でいないんじゃないかな、と思います。アンニュイな感じとか、ミステリアスな感じとか、内に秘めている闇じゃないですけど、暗い部分がチラ見えするような。そのままそこに存在するんじゃないかというような。もちろん普段のティナとは違うんすけど、それをリアルな感じで演じられる。私、「この仲村さんのセリフってどう思ったの?」と聞いたことがあったんですよ。そうしたら「あたし意外とああいうセリフ、へっちゃらなんだよね。何も考えずにできるんだよね」と言っていて。そういう自信を持っているところもすごいなと思いました。
飯豊:この作品を見て、自分の青春時代なんかを思い出してほしいなと思いますし、『惡の華』がいろんな方に愛されたらいいなと思います。こういう作品は他にないと思いますので。ぜひ楽しんでいただきたいと思います。
(text:壬生智裕/photo:ナカムラヨシノーブ)
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