ガーリーな魅力満載! インテリアのお手本にしたい色使いの映画『アメリ』
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引きこもり女子の人間観察趣味が育んだ思いやる気持ち
映画の中のインテリアを取り上げる本稿の題材『アメリ』は、2001年公開のフランス映画。監督はジャン=ピエール・ジュネ。
・リッチな豪邸とアートなワンルーム インテリアが映し出す2人の心情
本作は、レストランのウェイトレス、アメリ(オドレイ・トトゥ)の物語だ。フランスの片田舎で、冷徹な医者の父と神経質な教師の母に育てられたアメリは、母が死ぬと、父とふたりしばらく引きこもり生活になるが、やがて他人と関係が持てる自立した大人になろうと、父を置いて都会に出る。
何を目指しているのか傍目には分からない少女がそのまま大人の女性になったようなアメリ。成人しても空想家で、人を観察しては勝手に人柄や暮らしを妄想して楽しんでいた。
しかしある日偶然、下宿先のアパート浴室で、40年前に少年が隠した宝箱を発見し、持ち主を探し出す。「小さな古ぼけた箱でも本人にとってはかけがえのない思い出が詰まっている」と感謝されたアメリは、端から見れば些細なことでも、本人にとっては大切な発見になることを実感する。そうしたお節介ともいえる小さな人助けを通じて、自分のコミュニケーション能力を成長させ、生き甲斐を見いだしていく。
人を観察する特技が、行く先々で弱者に温かい目を向ける気持ちは、やがて、同じように好奇心旺盛なスピード写真コレクターの青年ニノ(マチュー・カソヴィッツ)を引き寄せる。
インテリアコーディネートは赤と緑。アメリの秘めた思いを体現
アメリの世界は全体にグリーンが被る。職場のレストランもベースはグリーンで、テーブルやドアに赤を差し色として使う。ストローも緑と赤だ。
実家を出たアメリが住む下宿先アパートも部屋の壁紙は赤。ベッドルームには金色の柄が入り、アクセントとしてグリーンのクッションやシーツ、そしてインテリア雑貨の小物が配置される。
キッチンも立体的で、浴室もイエローやグリーンのタイルが印象的だ。
赤に緑は、秘めたる情熱を表すかのよう。ゴチャゴチャしているように見えて全体としてまとまって見える。繊細な両親の影響もあるのだろうが、彼女なりに何事も筋を通そうとする芯のある女性であることがうかがえる。どこかレトロなのも、ちいさな思い出を大切にしながら生きてきたのだと感じさせる。
インテリア向上の源泉は自分磨きにアリ
このインテリアで見落としがちなポイントは、壁に掛かっている動物の絵だ。ヨーロッパでは、動物の絵は古くから沢山の名画が描かれている。現在では癒やしを与える存在でしかないが、時代や国によっては人知を越えた神格的な存在だったりする。それを草花や動物柄のカーテンと合わせており、ものに対するセンスとユーモアが光る。
これと対照的なのが、管理人の女の部屋。黄色の塗り壁に、薄いグリーンの腰板、カーテンは黄色の草木柄で可愛らしいのだが、思い出の小物が所狭しと置かれ、壁には沢山の額が掛かっている。昔の記憶に取り憑かれ、時間が止まったままだ。アメリも、もし宝箱をきっかけに行動しなかったなら、引きこもったままあっという間に数十年が経ち、同じような運命を辿ていたのではと思わせる。
余談だが、ロケに使われたレストランは、昔ながらのベーカリー&カフェ。映画では赤の印象が強いが、実際は、ロケ地と知らなければ気づくことはないだろう。つまり、同じ空間でも、使い手のライフスタイルなり使い方によって、全く違うインテリア空間になるということなのだろう。
逆に言えば、素敵なインテリアの源泉は、自分磨きにこそあるといえるだろう。(文:fy7d)
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