『ハリポタ』世界観をデザインする“ミナリマ”とは? 数秒間のシーンにも全力投球の緻密仕事

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ミナリマ
ギャラリー兼ショップ「House of MinaLima」
ミナリマ
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ハリー・ポッター
ハリー・ポッター

『ハリー・ポッター』に登場するすべてのグラフィックデザイン手がける

映画『ハリー・ポッター』の世界に登場する様々な魔法界のアイテム、スクリーンにちらっと映る本の表紙や壁に貼られたポスター。そのすべてのグラフィックデザインを、シリーズを通して手掛けてきたデザイン・スタジオ「MinaLima」(ミナリマ)の存在をご存知だろうか?

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ミラフォラ・ミナとエドゥアルド・リマの2人はシリーズ第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』でタッグを組み、以降の作品も共同でグラフィックデザインを担当。2人の苗字からとった「ミナリマ」の名前で親しまれ、2009年にはグラフィックとイラストを専門とするデザインスタジオを設立した。『ファンタスティック・ビースト』シリーズにも参加するなど、現在も「ハリポタ」フランチャイズに深く携わっている。

『賢者の石』でふくろうがハリーに届けたホグワーツ魔法魔術学校からの手紙、魔法界の新聞「日刊預言者新聞」の紙面、ホグワーツでハリーたちが持ち歩く教科書……これらはすべてミナリマが手掛けたグラフィックデザインの一例だ。ファンの間でも人気なのが、第3作『アズカバンの囚人』に登場する「忍びの地図」。呪文を唱えるとホグワーツ校内図とそこにいる人物が浮かび上がる魔法の地図、じっくり見ると地図上の線がとても小さな手描きの文字で描かれていることがわかる。

いたずら専門店の商品は約8ヵ月をかけて制作

その他にも『不死鳥の騎士団』で登場するブラック家の家系図のタペストリーや、『謎のプリンス』で双子のウィーズリー兄弟が開業したいたずら専門店「ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ」の商品もミナリマのデザインによるもの。このように2人のデザインしたグラフィックは映画本編の随所にちりばめられている。J.K.ローリングの原作があるとは言え、具体的な記述がないものについては完全に2人のオリジナル。スクリーンにはわずか数分、時には数秒しか映らないものでも、2人が原作を読み込み、リサーチを重ねた上でデザインされている。

実際に、いたずら専門店の商品は約8ヵ月をかけて制作。本編ではほんの1分弱のシーンのために、膨大な時間と労力が費やされている。ミナリマは印刷物だけでなく、『死の秘宝 PART1』でハリーとハーマイオニーが訪れた墓地のシーンに登場する墓石のデザインも担当。墓石には2人の親戚や友人の名前が彫られているんだとか。そんなトリビアや制作秘話を知ってしまうと、もう一度本編を見返さずにはいられない。

ミナリマ・デザインは映画の枠を超えて世界中のファンから愛され、現在も新しいプロジェクトや新商品を次々と生み出している。2人の活動拠点のロンドンには、ギャラリー兼ショップ「House of MinaLima」が2016年にオープン。そして初の国外進出として大阪に2号店を構えた。今年9月にはロンドン本店がソーホー地区に移転しリニューアル・オープン。新店舗でも無料のギャラリースペースでミナリマのアートワークを鑑賞でき、アートプリントを購入することも可能。ポストカードやトートバッグなどのオリジナルグッズ展開も幅広く、コレクションするファンも多い。

ハリー・ポッター

そして先月10月20日には、ミナリマが挿絵を手掛けた新装丁の「ハリー・ポッターと賢者の石」書籍が発売! 映画のグラフィックとはまた違った、2人のインスピレーションと楽しい仕掛けが満載で、ミナリマのファンならずとも手元に置いておきたくなる一冊。英語版の他に日本語版も発売されているので、公式サイトをぜひチェックしてみて。(文:Sara Suzuki/London)

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