今から数年後…地図から消された村を宇宙からフォーカス
謎の飛行物体、積み上がる死体、村の長老の死をきっかけに起こる不可解な出来事の数々…第72回カンヌ国際映画祭で『レ・ミゼラブル』とともに審査員賞を受賞する快挙を成し遂げた怪作『バクラウ 地図から消された村』は2020年11月28日公開。
ブラジル片田舎の村バクラウで起こる不可解な出来事と暴力の災禍ーー貧困、格差、そして政治によって主導される同胞たちの分断。
映画史に燦然と輝くアカデミー賞受賞作『蜘蛛女のキス』でその名を国際的に知らしめた名優ソニア・ブラガ、アンディ・ウォーホールに見出されて以降『奇跡の海』『ダンサー・イン・ザ・ダーク』などラース・フォン・トリアー作品の常連としても知られる怪優ウド・キアら国際色豊かな出演陣がエクストリームな物語に確かな説得力を持って彩っている。
今回特別に解禁されたオープニング映像は、宇宙から始まり、カメラはそこから見下ろした美しい星=地球、やがて南米大陸にフォーカスしていく。
その先に映し出されるのは、ブラジル北東部の田舎町バクラウに向かって走る車。テロップには「今から数年後…」の文字。なんとも印象的なこのオープニングについてフィリオ監督は「普通は映画の中でこのように地球から何処かの土地へとフォーカスされる(SF的な表現を使う)としたら、殆どの場合、その先は北米かヨーロッパでしょう。そこが(今のブラジルの地域的な視点を突き詰めたいと考えていた本作にとって)面白いアイデアだと思いました」とブラジル北東部という土地の地域性が本作の重要なポイントであると語りつつ、予告篇映像で観られるように、謎の飛行物体が飛び交う不可思議な世界観が日本の観客からも注目を集めていることについて「この映画で最も安価な特殊効果は<今から数年後…>のテロップですね。観客はそれによって脳内のダイヤルを未来の方へ回し、スクリーンの中に未来的な要素を見出そうと意識してくれます」と、この作品が近未来を舞台にしたSFであることも示唆している。
2020年11月28日公開。
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