「BESTコミック」1位はサラリーマンの穏やかな日常と恋を描いたこの作品!
毎年恒例の「BLアワード2021」の結果が発表された! 商業BLレビューサイトである「ちるちる」によるBL界の賞レースで、毎年BLファンの注目を集めている。2020年に発売された商業BL作品を読者投票によって決定したランキングで全12部門となっており、自分が投票した作品や推し作品はトップに入っていたか、気になるところだろう。
・推しBLを受賞させよう! 「BLアワード2021」ノミネート発表&投票開始!
結果は御覧の通りで、メイン部門である「BESTコミック」1位は年の差サラリーマンの穏やかな日常と恋を描いた、佐岸左岸原作の『オールドファッションカップケーキ』が輝いた。心身ともに疲れるご時世とあって癒し系を求める人が多いことを考えると順当な結果と言える。筆者が投票した吾妻香夜原作の『親愛なるジーンへ』は3位に入賞していて嬉しい。
次に来るBL部門では、特殊な世界観のものが上位にランクイン!
毎年注目される部門は「BEST次に来る」部門と「BESTエロ」部門。「いまBL好きに布教したい!」という作品が多く、投票に頭を悩ませる人が多かっただろう。次に来る部門1位は、やはりコレが来たか! と予想していた人も多いだろう、山田ノノノ原作による『跪いて愛を問う』。SMをベースにした特殊な世界観である「ドムサブ」こと「Dom/subユニバース」を扱った、これからさらに流行りそうなジャンルの作品だ。2位の汀えいじ原作の「歌舞伎町バッドトリップ」もファンタジックなSMで似た香りのするBL。ちなみに、残念な攻めが好きな筆者は長与エリ子原作の「業務上過失ポルノ」に投票していて、無事に5位を受賞していた。
エロ部門1位は、絵柄はエロいというよりかわいい、しっけ原作の『セックスドロップ』。アホの子のチャラ男がクールな隠れゲイにトロトロにされる様子がエロかわいかった。こちらの部門も筆者が投票した三坂ニウム原作の『うさぎちゃん、どシコり申し上げます』が13位に入賞していて嬉しかった。
BL好きはブレない!? BEST映像部門の1位は根強い人気を誇る『ギヴン』
また、2021年新設された「BEST映像」部門では、昨年話題をさらったジャニーズの大倉忠義と成田凌共演の『窮鼠はチーズの夢を見る』や「チェリまほ」現象を巻き起こした『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』、世界中でブームとなっているタイドラマの『2gether』を抑え、劇場版アニメ『ギヴン』が1位を獲得! BL好きはブレないという気がして喜ばしい。『ギヴン』は「BESTシリーズ」部門でもキヅナツキによる原作コミックが1位を獲得し、根強い人気を見せつけている。
他にも印象的なのは、1位を獲得した部門はないものの、ちょこちょことランキング入りしている芸能人同士を描いた夏野寛子原作の『25時、赤坂で』と古典的なオメガバースの萌えを備えた、ひじき原作の『嫌いでいさせて』だ。作品も作家も今後さらなる人気が高まるか注目していたい。
商業BLの人気急上昇と活性化を感じる結果に!
それにしても、全体的に見ると新しい風が吹いているな! と思わざるを得ないランキングだった今回の「BLアワード2021」。BLの映像化が目覚ましい2020年だったが、それは一般的にもBLが注目されてきたということで、それだけ新しいファンが流入し、新しい作り手も生み出されて、業界全体が活性化されたということなのだろう。
例えば、アカデミー賞でいえば作品賞にあたるであろう主要部門の「BESTコミック」部門は、去年の第11回「BLアワード2020」を振り返って作者で挙げると、はらだ、鈴丸みんた、座裏屋蘭丸、南月ゆう、倉橋トモ、ナツメカズキという顔ぶれで作家歴の長い有名な人気作家が多い。しかし、今回の「BLアワード2021」は佐岸左岸をはじめ、にやま、吾妻香夜、腰乃、おげれつたなか、田倉トヲル、宮田トヲル、と賞レース常連作家というよりは比較的新しいメンツが多い印象。
「BESTシリーズ」部門は、これこそ老舗の常連が入ってくるはずの部門で、「BLアワード2020」は『囀る鳥は羽ばたかない』『ギヴン』『ブルースカイコンプレックス』『はだける怪物』『キューピッドに落雷』『抱かれたい男1位に脅されています。』『恋するインテリジェンス』と続き、誰もが知る作品が並んでいる。それに対して今年の『BLアワード2021』は『ギヴン』『blanc #1』『セラピーゲーム リスタート』『25時、赤坂で』『ハッピークソライフ』『嫌いでいさせて』となっていて、こちらも常連の中に比較的新しいシリーズが顔を見せている。
新しい作家も活躍し、業界全体が活気づくのはBLファンにとっては嬉しいことだ。また、さらっとデータに書いてあるが、有効投票数が昨年比50%増しとなっており、日本語圏以外からの投票も10%に近づいているのも驚かされる。世界的にも日本のBLが注目されてきている証拠なのだろう。
いつも新しい驚きや萌えをくれて、生活も人生も豊かにしてくれるBL作品たち。これからもどんどんとBLファンに萌えと希望を与えてくれることを期待している。
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なお、第12回「BLアワード2021」全12部門を、特設サイトで一挙に公開。全国のアニメイトおよび主要電子ストア各社にて、過去最多の人気作家総勢28名による豪華特典小冊子を配布するフェアも開催中だ。小冊子は28名の作家が参加しており、必然的に人気作、人気作家がギュギュっと詰まっているからぜひゲットしよう!(文:牧島史佳/ライター)
●「BLアワード2021」特設サイト
https://www.chil-chil.net/blAwardRank/y/2021/
●BLアワード2021投票詳細(一部抜粋)
有効投票数 11367(昨年比50%増)
【言語別】
日本語 10329
英語 428
中国語(繁体字) 336
中国語(簡体字) 262
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