山本起也監督の“魔法”に監督らが絶賛の声
ゆっくりした時間の流れる天草を舞台に、藤原季節演じるオレオレ詐欺の若者が、故・原知佐子演じる老女と、“孫”として同居生活を送る映画『のさりの島』が、5月29日より全国公開される。その予告編が公開され、著名人がコメントを寄せた。
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“のさり”とは、いいこともそうでないことも、自分の今ある全ての境遇は天からの授かりものとして否定せずに受け入れるという、天草の優しさの原点ともいえることば。
このことばについて、山本起也監督の『カミハテ商店』で主演を務めた女優の高橋惠子は、監督の「もっと、もっとゆっくり歩いて!」との声が蘇ったと言い、「 『のさりの島』を見て、これが山本さんの表現リズムなのだと改めて思う。原知佐子さんの不思議な微笑みは、そのリズムを確信的に体現していた」とコメントした。
また、高橋の夫で映画監督の高橋伴明も、原知佐子さんの命日である1月19日に「サスペンス要素を多分に孕む映画であるはずなのに、山本起也というフィルターを透ると、汀に淡々と寄せては返す波に自らの来し方の自問自答を促されるような催眠術に陥るのは何故だろう」とコメントを寄せた。
映画監督の阪本順治は、「“のさり”の意味そのままに、見始めてすぐ、ばあちゃんこと原知佐子さんに心を持っていかれ、細やかなしぐさやことばの耳障り、それらすべてになにもかもを預けてみたい欲望にかられた。以前の穏やかな日常をわすれてしまいそうないま、この『のさりの島』という土地を訪ねれば、わたしたちのあしたに繋がる風景がきっとみつかるはず! 傑作!」と絶賛。予告編(https://youtu.be/fNiZQJuOkvY)でも、ゆったりとした映像と共に、このコメントが切り取られている。
映画監督の行定勲は、「天草の海はいつも懐かしく、風は固くなった心を溶かしてくれる。錆れゆく町に立ち止まって、ゆっくり人生を考えて、もう一度、ちゃんと生きてみようと小さな希望を感じさせてくれる映画でした」と語った。
オレオレ詐欺の若者と天草の老女の物語
本作品は、穏やかな時間の流れる天草を舞台に優しい眼差しで若者と老女の交流を捉えた物語。プロデューサーは、小山薫堂。
「もしもしばあちゃん、俺だけど……」
オレオレ詐欺の旅を続ける若い男が、熊本・天草の寂れた商店街に流れ着いた。老女の艶子は、若い男を孫の“将太”として招きいれる。あたたかいお風呂、孫が好きな美味しい料理、そしてやさしいばあちゃん。若い男はいつの間にか、“将太”として艶子と奇妙な共同生活を送るようになり、やさしい“嘘”の時間に居場所を見つけていく。
地元FM局のパーソナリティを務める清ら(きよら)は、昔の天草の8ミリ映像や写真を集め、商店街の映画館で上映会を企画する。ひょんなことから“将太”も上映会の企画チームに引きずり込まれてしまう。賑わいのあった頃の天草・銀天街の記憶を取り戻そうと夢中になる清ら。かつての銀天街の痕跡を探す中で、艶子の持っていた古い家族アルバムに、“将太”は一枚の写真を見つける。
本渡の大火、焼け跡を片付ける町の人々、復興後の祭りの様子。街に流れるブルースハープの音色と共に、スクリーンに映し出された天草のかつての記憶。
「将太さん、本当はどこのひとなの…」
『のさりの島』は、5月29日より全国公開される。
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