本邦初のデジタル3D実写長編映画となった『戦慄迷宮3D』。この映画のマスコミ試写会が9月2日に開かれ、上映後に清水崇監督と谷島正之プロデューサーを囲む懇親会が行われた。
3D映画は、昨年あたりから急激に注目を浴びてきた映画界のトレンド。家庭のテレビの大画面化に伴い、客を奪われている興行サイドにとっても、映画館に足を運んでもらう起爆剤となりそうなことから、注目が集まっている。そうした中、本邦初のチャレンジをした清水と谷島だが、本作を仕上げたことで、いろいろとわかったことがあると語り始めた。
まずは谷島から「3Dはホラー、スリラーには向かない」と仰天発言が飛び出した。「なぜなら、ホラーやスリラーはカメラの動きやカッティングの早さが大事だが、逆に3Dはゆっくりであればあるほど立体感が出てくる」とスリラーの『戦慄迷宮3D』を3Dで製作する難しさを説明した後で、「その溝を埋めてくれたのが、清水監督のセンス」と、隣の監督を絶賛していた。
一方、清水監督も、「3Dは暗ければ暗いほど立体感が損なわれるのに、今回は真っ暗なお化け屋敷が舞台」と難題の1つを挙げ、続いて「引きの画(え)の直後に寄りの画になったり、早いカメラワークを使うと目がついていけない」と3Dの弱点を指摘。この映画が、いろいろな制約がある中でのチャレンジだったことを明かしていた。
その2人が強調していたのが、飛び出す映像ばかりが脚光を浴びる3Dで、本当に大事なのは奥行きだということ。また谷島は、3Dのテクニカルアドバイザーに「最高の3Dは、観客が作品世界に没入していくもので、映像が飛び出したりすることは、こけおどしに過ぎない」と言われたことに触れ、「3D映画の基本は、しっかりしたストーリーと状況設定で映像世界に入ってもらい、3Dだと忘れかけた頃に飛び出す演出を入れていくこと」と、本作を通じて学んだ3Dの方程式を明かしていた。
ところで、気になるのが、3D映画が一過性のブームで終わるのか、それとも定着していくのかについて。清水は「3Dの特性を生かした映画は増えると思う。この映画は、3Dに興味を持っている監督やプロデューサーにとっての毒見(笑)。この企画が、この予算で、この期間でできたので……」と語り、本作が今後、多くの3D映画につながっていく可能性を示唆していた。
一方の谷島は「年内に3D対応スクリーン数が250に及ぶ」と物理的な数字を指摘。増えた劇場に供給するためにも 3D作品は増えていくとの見通しを語っていた。
『戦慄迷宮3D』は10月17日より新宿バルト9ほかにて全国公開となる。
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