1989年11月3日生まれ。千葉県出身。2014年に舞台で俳優デビュー。その翌年に出演したミュージカル『刀剣乱舞』シリーズで石切丸役を演じ、注目を集める。2.5次元舞台俳優としてブレイクすると、その後も『煉獄に笑う』や『幽☆遊☆白書』など数多くの人気舞台に出演。2017年にはCDデビューを果たし、歌手としても活躍の場を広げる。主な出演作は、映画『クロガラス』、ドラマ『140字の恋』など。
時間を掛けて自作した主題歌に込めた思いとは?
2019年に公開され、舞台挨拶付上映会のチケット即完のみならず、ミニシアターランキング2位を獲得するなどの人気を博した『クロガラス1』『クロガラス2』。新宿歌舞伎町を舞台に、裏社会のトラブルを一層する解決屋“クロガラス”を描き、東京アンダーグラウンド系アクションエンターテインメントとして多くのファンを獲得した。
それから2年が経ち、待望の続編となる『クロガラス 3』と、隠された過去が明かされる前日譚『クロガラス 0』の2本が9月に連続公開となるが、本シリーズで圧倒的な存在感を放つのが、解決屋・神崎黒斗を演じる主演の崎山つばさだ。2.5次元舞台俳優として絶大な人気を誇る崎山にとって、本シリーズは映画初主演となった思い入れのある作品でもある。そこで、新作の見どころや自身が解決したい悩みについて語ってもらった。
・『クロガラス 3&0』植田圭輔インタビュー 王道ではなく、自分でなければできない役柄、表現、作品を追求したい
崎山:いまはなかなか映画を撮ることが難しい状況でもあるので、まずはこの作品を作れること、そしてシリーズ化できたことにありがたみを感じました。あとは、黒斗をまた演じられることがうれしかったです。
崎山:過去を演じることによって、いままで見てきた点と点が線につながる瞬間もあったので、難しさを感じることはあまりなかったですね。インする前に、過去の作品を見返したり、台本を読み直したりして準備をしました。
崎山:僕的には反省点もありますが、作品としてはそのときにできる一番いいものを撮ることができたなといつも思っています。ただ、この作品に関しては、同じ人物をもう一度演じなければいけなかったので、いままで以上に細かいところまで気を付けて見ていたかもしれないです。あとは、同じシチュエーションになったとき、次はこうしてみようかなとか、そういったことは考えていました。
崎山:今回は次に繋げていくという目標もあったので、作品を作ることだけでなく、黒斗の人物像をより深掘りして、魅力的に見せたいなと。そういったことを考えながら演じていました。そのほかにこだわったのは、アクションに表情をつけること。黒斗は口数も少なく、あまり感情を表に出さないので、その代わりに“言葉を発するようなアクション”にしたら面白いんじゃないかなと思いました。現場でも監督やアクション監督と相談して、そういった部分を見せられるように意識しています。
崎山:それはあると思います。前作のときも主題歌を書かせていただいていますが、そのときは黒斗を演じていて感じたことと、脚本を読みながら崎山つばさとして思ったことをまとめました。それに比べて今回着目したのは、黒斗を取り巻く環境や知らず知らずのうちに見落としているもの。そういった意味も込めて、タイトルは「正義」ではなく「正しく偽る」と書いて「正偽」にしました。
崎山:そうですね。「自分にとっての正義が本当に正義なのか」「正義の反対は本当に悪なのか」ということを考えさせられる映画にもなっているんじゃないかなと。そういった部分を、見る方に提示できたらいいなという思いもあって、1か月半ほどかけて歌詞を書かせていただきました。
監督や共演者との出会い…初共演・徳山秀典からも刺激
崎山:まずは、寝ても疲れが取れなくなりましたね(笑)。短期間で集中して撮っていた前作に比べると、今回のほうが少し余裕はあったんですけど、それなのになかなか疲れが取れなくて……。この2年で年を取りました(笑)。
崎山:一番は、監督が飼っている犬です。実は映画にも出演しているんですけれど、本当にかわいくて、ずっとなでていました。やっぱり動物は癒されますよね。現場にこなくなってしまってからは、写真を見ながらそれをモチベーションにがんばりました(笑)。
崎山:本作は、僕にとって映画初主演の作品ということで、いろんな思いがありましたし、いままで演じたことのないような役でもあったので、それに出会えたことは大きかったですね。もしかしたら、気合いが入りすぎていたところもあったかもしれません。
でも、監督や共演者の方々にいろいろと教えていただいて、吸収させていただくこともたくさんあったので、僕にとっては本当に貴重な経験になったと思います。しかも、それをみなさんに喜んでもらえることが、僕にとっても幸せなことなんだと気付かされました。
崎山:映像だからナチュラルにお芝居しようとかを考えるよりも、どれだけ作品を理解してこの世界に入り込むかという感覚。舞台との差を意識することはあまりなかったと思います。それよりも、いただいた脚本を自分なりに咀嚼して、それをどうやって共演者の方々と作っていくかを重視しました。
崎山:本作品では、警察官の制服を着ていたので、本物の警察官の方々に振り向かれることは、結構多かったですね。そういったこともあって、休憩中でもさぼっていると思われるんじゃないかと勝手に心配したことも(笑)。警察官としてちゃんとしようと常に考えていました。そういう意識でいられたことは、演じるうえでも活かされていたと思います。
崎山:『クロガラス0』で初めてご一緒させていただいた徳山秀典さんとは、役柄では先輩後輩の関係性でしたが、撮影の合間でも色々な相談に乗ってくださって、本当に頼りになる先輩だなと思いました。さっきもお話したように、30歳になって年齢を感じる瞬間も増えましたが、健康管理のことまで何でも相談に乗ってくださって。そのおかげで役にも入りやすくなったので、徳山さんには色々な意味で助けられました。言葉ではうまく伝えられないほど、本当に優しい方なんですよ。
崎山:今回のプロモーションで、結構それを聞かれるんですけど、全部違う答えをしたいという勝手なプライドがあるので、だんだん答えが些細なことになってしまうんですが……。最近は結構忙しくてものすごい量の洗濯物が溜まってしまうので、それを解決屋にお願いしたいですね。黒斗だったら、アイロンがけまでピシッとしてくれそうなので。でも、洗濯代を無駄に取られて、結果クリーニング屋さんに出せばよかったとなりそうですけど(笑)。
崎山:後輩から相談されることも結構ありますが、僕は先輩だからといって「こうするべきだよ」とは言わないようにしています。というのも、僕の物差しでその人の人生を導きたくはありませんから。なので、どちらかというと「最後に決めるのは自分だけど……」と伝えたうえで、選択肢を与えて、寄り添うように意識しています。
崎山:まさにその通りですね。
崎山:僕は、わりと自分で解決するほうだと思います。本当に行き詰ってしまったり、自分ではどうしようもなくなってしまったりしたときだけ、周りに相談することがあるくらいです。
崎山:僕は神社が好きなので、一緒に参拝に行ったら、その神社を100%楽しめる方法をプレゼンすることはできると思います。どんな神様がいるとか、ここにはどんな意味があるとか、その地域のおいしいものまで全部調べてから行きますから。もしかしたら、隣にいてウザい存在になるかもしれませんが、楽しんでもらえる自信はあります!
崎山:応援してくださる方がいるから自分がいるんだという気持ちはありますが、いい意味でみなさんを裏切れるように、新しいことにはつねに挑んでいきたいなとは思います。それによって、自分にとってもいろんな発見があるはずですから。これからも演じたことのないような役をたくさんやってみたいです。
崎山:それは、ゴルフですね。僕はものすごいインドア派なので、アウトドアな趣味が欲しいなと思って、共演者の方々に教えてもらいながら最近始めました。まだまだ初心者ですが、いつかホールを回れるようになれたらいいなと思っています。
(text:志村昌美/photo:小川拓洋/ヘアメイク:車谷結(do:t)/スタイリスト:OBU-)
(衣装協力:ATTACHMENT、トラディショナル ウェザーウェア、YOAK)
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