1976年12月5日生まれ、東京都出身。4歳で芸能界入りし、幼少時より子役モデルとして活動。1991年、「伝説の少女」で歌手デビュー。映画、ドラマ、CMなどで活躍し、92年の『放課後』から29年連続通算33作品で、『ナースのお仕事』シリーズをはじめとするTVドラマの主演を務める。主な映画出演作は『鳶が、クルリと』(05年)、『BABY BABY BABY』(09年)、『映画 妖怪人間ベム』(12年)、『人類資金』(13年)、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(17年)など。
恭子ちゃんは四六時中ぴちぴちのスーツで大変だろうな、と
横関大のロングセラー小説を原作に、2019年、2020年に連続ドラマとして2シーズン放送された『ルパンの娘』。泥棒一家“Lの一族”の娘・三雲華(深田恭子)と警察一家の息子・桜庭和馬(瀬戸康史)の禁断の恋を中心に、アクション、コメディ、ミュージカルなど、何でもありのエンターテインメント作が、ドラマシリーズも手がけた武内英樹監督(『翔んで埼玉』)によって映画化された。
ドラマからさらにスケールアップした『劇場版 ルパンの娘』には、ドラマの終盤に名前だけ登場した“Lの一族”のもう1人のメンバー、三雲玲が重要な存在として現れる。
華たちの敵か味方かも定かではない、謎めいた女性を演じるのは観月ありさ。様々な面を持つ複雑なキャラクターとして、これまでにない新しい表情を見せた彼女は10代の頃から第一線を走り続けてきた大スターだが、いたって自然体だ。対面で話す時は親しみやすさすら感じる。
それがカメラの前に立つと空気が途端に変わる。照明を受けて、彼女自身がさらに発光しているような圧倒的なオーラが放たれ、スターとはこういうもの、と肌感で分からせる。そんな彼女が、エンターテインメントを作りあげていく楽しさ、緻密さ、仕事に対する思いを語ってくれた。
・深田恭子、泥棒スーツで最後のお仕事?! 観月ありさの正体は?!
観月:ドラマの良さも反映しながら、映画としての物語がちゃんと描かれていて、すごく読みやすい本だなと思いました。そして映画ならではの描写もたくさんあって、すごく絵的に面白くなりそうだなと思いながら、台本は読ませていただきました。
観月:最初、役どころが60歳だと言われたんです。それで「60か。白髪とかつけて、老けメイクして、できるかな」みたいに最初は話していました。そうか、いよいよ私も60歳の役をやるか、と思ってたんですけど(笑)、実際撮影に入る前に「年齢設定は『ルパンの娘』の世界観の中でなくなりました」となって。「よくよく考えたら、渡部さんも小沢真珠さんも60代の役なんですよね」と言われて、そうか、お2人ともあんなに普通通りで60設定だったんだ、じゃあ大丈夫なのかと思って。「普通で、そのままで」と言ってもらって、一安心しました。
すると次は、「観月さんにも泥棒スーツを着ていただきます」って(笑)。「あのぴっちぴちのですか?」と聞くと、「やっぱりLの一族の1人なんで、ぜひとも着ていただきたいです」と、衣装も作っていただき、ぴちぴちスーツも着られて、ようやくこのLの一族、『ルパンの娘』の世界観に入れたと思いました。
観月:ありがとうございます。常日頃からトレーニングはしてるんですけど、あれを着るとなったので、ちょっと強化して、ちょっとだけ締めるところを締めてきましたね。
もうご飯を食べるのが気になっちゃうんですよね。撮影現場のお弁当も、食べ過ぎちゃうとまずいな、とか。あの衣装はほんとに気を使う衣装ですよね。恭子ちゃんは常日頃ずっと、『ルパンの娘』のときは四六時中あのぴちぴちのボディスーツを着てるから、大変だろうなと思いながら、撮影のときに見ていました。
観月:役作りの面では、基本的にはちょっと哀愁のある役ではあるんですが、インパクトのある役柄でもあるので、それをより強調したいというのもありました。風貌もインパクトがありますが、みんなでキャラクターを作っていくというか。『ルパンの娘』のスタッフの皆さんがとても優秀で、みんなでかゆい所に手が届く感じで、「これがいいんじゃない」「あれがいいんじゃない」とか「もうちょっとこうしたほうがいいんじゃない」とキャラクターについての打ち合わせがすごくしっかりしているんですね。
それこそ衣装合わせに5、6時間かかった気がします。「あっちがいい」「こっちがいい」とか、色味についてもちゃんとモニターチェックをして、どっちが映えるか、とか。すごく時間を費やしてキャラクターを作っていく、スタッフの皆さんのきめ細やかさがすごくて。自然と『ルパンの娘』の世界観に、スッと馴染めました。
武内監督からは「ちょっとエキセントリックな役なので」と言われて、今回あまりキャストの方たちと目を合わせてお芝居してないですね。宙を見て何か言ってるとか、会話していても焦点を遠くのほうにしてしゃべっていたり。焦点の合わない人という感じでしたね。それが役作りの一つではありました。
観月:台本でもキャラクターがとても丁寧に描かれています。回想も含めると20代~60代まで演じているので、そういった意味では三雲玲というキャラクターのいろんな面を表現できたと思うんですね。いろんな局面の玲を演じることができて、とても楽しかったですね。時代背景も違ったりするので、衣装やヘアメイクもそうなんですけど、世界観を作り切るようなことができたので、すごく面白かったですね。
観月:詳しくは明かせないのですが、台本で読んでるときにそこまで激しい描写になると想像をしていなかった場面があります。ト書きでは「回想」「回想」という感じで、ちょっとだけしか書かれてないようなシーンだったんですけど、実際現場に入ってみたら、殺陣も付けられて。ここまで激しくやるの?みたいな感じだったんです。
それが、玲というキャラクターの狂気めいた部分を表現するシーンに結果なって、穏やかな部分から激しい部分まで、その広さというか、両極端なものを1つのキャラクターで演じることができるんだなと思って。今の玲をどう演じればいいのかということも、そのときにちょっと分かったかもしれないです。穏やかなシーンから撮影じゃなくて、よかったなと思いました。
観月:そうですね。初日からマックスみたいな。急に飛び出たみたいな感じで、皆さんの中にぽーんと入ったんです。初日からフルでしたね。助走する間もなく、フルフルマックスな感じで。
初日は最初の登場シーンだったんです。これも結構パンチの効いたシーンで、演じながら「やり過ぎかな」と探っているときに、2日目ぐらいで先ほど話したシーンの撮影があって。そのときに「ここまで行き切っていいんだな」と、自分の中で吹っ切れた瞬間でした。
観月:めちゃめちゃ緊張しますね。キャストの皆さんも、新しいキャラクターと初めて会うわけじゃないですか。皆さんも「どんなの出てくるんだろう」みたいな感じがあるし、私は私で、振り切っていかなきゃいけないと思っていて。緊張しましたね。取りあえずはやってみるんだけど、これでいいかな、大丈夫なのかな、と皆さんの反応を伺いながら初日を迎える感じでしたね。
初日はいつもほんとに緊張します。何年やっても、やっぱり作品が変わるごとに、初日というのは探り探りな状態なので。まして、もう出来上がった輪の中にぽーんと1人で飛び込んでいくのは……。いつもすごく緊張します。
観月:いやいやいや、顔には出さないけど内心びくびくしながらやってます。
観月:カメラが回ってない時は普通に仲良くしてました。敵対する役のときはしゃべらないようにするという方も多いですけど、私はカメラが回ってる時と回ってない時を分けるタイプなので、普通に仲良くガールズトークしてました。
観月:何を話してたんだろう……? コロナ禍だったので、地方ロケに行っても、飲んだりご飯を食べに行ったりできないじゃないですか。だから「昨日もお弁当だったね」「部屋に戻って、一人だなって感じになって、昨日もやっぱりお酒飲んじゃった」みたいな話とか。寒い時期だったので、「お風呂、すっごい長い時間漬かっちゃった」とか。
観月:そうですね。地方ロケに行くと、みんなで一緒にご飯を食べに行くのが一つの楽しみですけど、それができないのは寂しい感じはします。今は打ち上げもできないので、撮影が終わったら、みんな毎日のように一緒にいたのに、語り合うこともなく「じゃあね」と終わっちゃうのはすごく寂しいですよね。
10代、20代、30代は「1つの体じゃ足りないよ」みたいな忙しさだった
観月:昔から、目の前のことに夢中で、ただひたすらその都度壁を越えていく、ひたすらに頑張るというタイプではありますね。お仕事をするときも、演じる役のことをすごく考えたり、役作りみたいなことをいろいろやったりもするんだけど、意外と現場に入ると、そのプランがガラッと崩れて、その時々で収まるところに収まってお芝居をしていったりするんです。なので、瞬発的にというか、あまり深く考えないで、いつも「その時の全てです」という感じでお仕事している気がします。
10代、20代、30代はがむしゃらにやっていました。40代になってから、役のことをもう少し考えるようにはなったんですけど、結局、考えるよりも肌で感じて、その場で表現するほうが、自分には合っているんだなということを、この数年間で思っています。30代後半ぐらいから、ちょっと考え過ぎていたかもしれない。やっぱり、その時々の気分で、肌で感じたとおりのことを表現していくのが私には合ってるのかなって。最近、よりそう思うようになりました。
観月:当時はそれがルーティンになっていて、考えるよりも前に働いている感じでした。ルーティンとして、何の疑問もなく。年齢を重ねて、求められる役回りが変わってきたり、自分のプライベートも変わったりして、仕事中心だった生活の中に自分の時間がもうちょっとできるようになって。仕事に対する携わり方とか考え方も大きく変わったなと感じています。
昔は、分単位、秒単位みたいな感じだったので、「1つの体じゃ足りないよ」みたいな感じでした。お仕事をこなしながら自分のプライベートの時間もそれなりに、となると、睡眠時間を削るしかないなみたいな感じで。それを考えると、今のほうが一つ一つの仕事をちゃんと考えてやってる、全うしてるっていう感じはあるかもしれないです。
観月:そうですね。すごく丁寧になったかもしれないです、昔より。逆に言うと、考え過ぎちゃったりする部分もあるんだけど。でも、それも性に合わないし、考え過ぎたところで始まらないから、もうちょっと楽観的に過ごしていてもいいのかな、と思ったりもして。何が正しいのかは分からないですが、今はこのスタンスでお仕事とプライベートを過ごしていくのがいいのかな、と思います。
観月:私は好奇心ですね。友人からの助言も聞きながらも、意外と無鉄砲に挑んでいくみたいなところがあって。好奇心が旺盛なので、「これ。やってみたらどうなるんだろう?」と思うんです。ちゃんとできるのかどうかはさておき、やってみたらどうなるのかな、ちょっとやってみちゃおうかな、という好奇心でいろんなことを決めたりしてますね。
観月:もういっぱいあるんです。「ちょっと無理だったな」「私には合わなかったかもしれない」とか、結構あるんです。ただ、やらないで「あのときやっときゃよかったな」と思うよりは、やって「失敗したな」のほうがいいなと思って。
観月:英会話をこのコロナ禍でやり始めました。短期間で話せるようになるメソッドみたいなものをやり始めたんですけど、やっぱり全然しゃべれるようにならなかった(笑)。でも、前はすごく苦手意識があったから、ちょっとだけですが克服できました。
あとは特殊小型船舶の免許を取りました。マリンスポーツをやるのもすごくいい息抜きになってますね。車の免許を取って以来、試験を受けたことがなかったから、それも久しぶりの感覚で面白かったです。
観月:そうですね。機会に恵まれたら、何でもやりたいタイプです。仕事も、いろいろとやりたい気持ちはすごくあります。その気持ちが強くて、「これはできない」とか「やりたくない」というのがあまりなさ過ぎて(笑)。もうちょっと(好みが)あったほうがいいんじゃないの?と思ったりもするんだけど。でも、それが自分のスタンスであって、だからお仕事も楽しくできるから、それでいいのかなって。どんどん自然体になっていくのが怖いですね(笑)。
(text:冨永由紀/photo:小川拓洋)
NEWS
PICKUP
MOVIE
PRESENT
-
ダイアン・キートン主演『アーサーズ・ウイスキー』一般試写会に10組20名様をご招待!
応募締め切り: 2025.01.04 -
齊藤工のサイン入りチェキを1名様にプレゼント!/『大きな家』
応募締め切り: 2024.12.27