Rain、フライ・トゥ・ザ・スカイらのミュージックビデオで注目を集め、リュ・スンボム主演のコメディ『怪しい顧客たち』(11年)を長編監督デビュー。16年には韓中合作のラブコメ『メイキング・ファミリー』を発表しており、『雨とあなたの物語』は監督3作目となる。
1通の手紙が紐解く8年越しの真実
2003年の韓国を舞台に浪人生と古書店員の手紙による交流を描いたラブストーリー『雨とあなたの物語』が、12月17日から公開される。
まだスマートフォンもSNSもなかった時代。浪人生のヨンホが送った手紙を古書店で働くソヒが受け取ったことから2人を取り巻く日常が彩り始める。繰り返される退屈な日常の中で生きる活力を失っていた2人は、いつの間にか手紙を待つことにときめき、行き来する手紙と一緒に癒しと勇気を分かち合うようになる。
主人公の予備校生ヨンホを演じるのは、4年振りのスクリーン復帰となる俳優カン・ハヌル。病床の姉を支えながら母とともに古書店を営むソヒ役には、『サニー 永遠の仲間たち』(11年)で強烈な印象を残したチョン・ウヒ。
不確実な明日に揺れながらも「待つこと」を通して互いの存在に支えられながら、手紙を通じて紡がれる言葉を胸にひたむきに生きる主人公たち。その姿を瑞々しいタッチで綴ったチョ・ジンモ監督に話を聞いた。
監督:大きな理由があったわけではなく、この映画を通じて観客のみなさんに届けたいものがあったんです。何か深い意味を込めたというよりは、誰もが経験してきたみんなの物語だ、ということを伝えたかった。このタイトル以外にしっくりくる単語やフレーズが浮かんできませんでした。
監督:空間の設定は、とても大事にしています。人格を形成するにあたって、周囲の人たちからの影響もあると思いますが、僕はその人が過ごす空間も大きな影響を与えると考えます。
ヨンホのお父さんは革工房で働いてますが、そこにヨンホもよく遊びに行き、そこを中心に暮らしてました。その影響もあって、ヨンホは2011年のタイミングに傘工房を作るんです。工房のカラーやトーン、使われる道具一つ一つも同じように父親から影響を受けたという設定にして、統一感や関連性を持たせました。
ソヒに関しても同様です。普通の古本屋だと、ただ本を積み上げてるようなお店も多いと思うのですが、ソヒの古本屋はお母さんと一緒に一つ一つの本を大事に、丁寧に向き合っているような印象を与えたいと思いました。
監督:工房と古書店はキャラクターの心情に沿ったものにしたかったんです。カン・ハヌルさんが演じたヨンホの工房は、父親や家族からの影響を受けた雰囲気を表現したいと思いました。人によっては少しもどかしいと感じるかもしれませんが、ヨンホはずっと工房を守っていこうとするんですよね。
また古書店についてですが、時代の変化とともに消えていく空間だと捉えました。ソヒというキャラクターが古書店を営めたのは、ソヒの気持ちと古書店という空間が上手く共存していたからです。けれど現実的な困難にぶつかるうち、最終的にはソヒの気持ちが少しづつ変わっていった。つまりソヒの変わりゆく感情と消えゆく古書店という空間がリンクしていたと考えています。
スタッフ一丸で実現した奇跡のキャスティング
監督:私にとっては奇跡に近いキャスティングです。カン・ハヌルさんとチョン・ウヒさん、カン・ソラさんのキャスティングは、実は私1人の力ではなく、脚本のユ・ソンヒョプさん、制作会社のファン・グンハ代表らが一緒に頑張ってくれたおかげなんです。もともと「もしやるとしたらヨンホはカン・ハヌルさん、ソヒはチョン・ウヒさんだったらいいな」と思ってたんですが、それが望み通りになったのは奇跡のような出来事ですし、実際にお2人はヨンホとウヒにぴったりの役者でした。
監督:手紙もある視点から見ればコミュニケーションツールです。手紙が発展するとSNSになりますよね。ただ、手紙は基本的に待たないと返事を受け取れず、物理的な時間が必要です。この映画では手紙そのものが重要なのではありません。待つ時間が必要な時に2人がどんなやり取りをするのか、それを描くのに手紙が最も適してたんです。これは2人の物語であり、その小道具として手紙が使われていると思って頂ければ幸いです。
監督:当初は日本で修行するシーンを撮影するつもりだったんですが、(コロナの影響で)海外ロケができなくなったので、どうするか作家さんと相談した結果、「日本に行くんだ」というセリフだけ残すことにしました。
何かもの作りに関して、とても愛情を持っている国というと、やはり日本がイメージとして浮かぶんです。日本であれば傘一つでも大事に作っているようなイメージがあったので、日本にしました。
監督:12月17日からだと(劇中で重要な意味を持つ)12月31日も含まれますよね。本当に良かったです、嬉しいです。ありがとうございます。実は韓国でも冬に上映できたらいいなと思ったんですけどね。
監督:本作は2000年代という昔の時代を背景にしていますが、その雰囲気は現代と大きく変わりません。ここにいるキャストとスタッフ皆で一生懸命に作り上げました。この作品が沢山の方に愛してもらえたら嬉しいです。
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