『THE BATMANーザ・バットマンー』ロバート・パティンソン インタビュー

バットマンのスーツに詰まっているのは多くの情熱と愛、そして期待

『THE BATMAN-ザ・バットマン-』
2022年3月11日より全国公開
(C)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (C)DC

『ジョーカー』（19年）に続く、DCユニバースに属さない最新作『THE BATMANーザ・バットマンー』が3月11日に公開される。

優しくもミステリアスな青年ブルース。両親殺害の復讐を誓い、悪と敵対する存在“バットマン”になって2年が過ぎたある日、権力者を標的とした連続殺人事件が発生。犯人を名乗るリドラーは、犯行の際に必ず“なぞなぞ”を残していく。警察や世界一の名探偵でもあるブルースを挑発する史上最狂の知能犯リドラーが残した最後のメッセージ、それは「次の犠牲者はバットマン」。社会や人間が隠してきた嘘を暴き、世界を恐怖に陥れるリドラーを前に、ブルースの良心は狂気に変貌していく…。リドラーが犯行を繰り返す目的とはいったい――？

ブルース役に抜擢されたのは、『ハリー・ポッター』『トワイライト』シリーズで一躍人気俳優の仲間入りし、日本でリピーター続出という社会現象を巻き起こした『TENET テネット』で主人公のバディ“ニール”を好演するなど、演技派俳優として再び注目を集めているロバート・パティンソン。今回、80年以上の歴史がある「バットマン」を演じた思いを語ってもらった。

・正義のためなら殺人も厭わない知能犯との対決…

パティンソン：覚えているよ。僕が初めて見たのは『バットマン・リターンズ』（92年）だ。ほとんど間違いないと思うけど、それを映画館で見たと思う。そして、間違いなく『バットマン』（89年）と『バットマン・リターンズ』の2本のVHSのセットを持っていたのを覚えている。なぜか僕の家では、子ども時代を通して、8本のビデオしか持っていなかった。『バットマン・リターンズ』はきっと100回ぐらいは見られていたね。
それから、（ジム・キャリー主演の）『マスク』（95年）も、何度も何度も何度も見てる。何度も見ている作品のもう一本は、『ゆりかごを揺らす手』（92年）だよ（笑）。今はビデオ・カルチャーがなくなってしまっているけど、ものすごい数のDVDコレクションを持っていないと、同じ映画を1000回ぐらい見ることになるんだよ。そして、僕にとっては、『バットマン・リターンズ』がそれだった。僕は昔、その中のすべてのセリフを知っていたよ。

パティンソン：初めてスーツを着たとき、スーツのなかにとてつもないパワーを感じたんだ。バットマンには多くの歴史が刻まれていて、多くの人々がさまざまな理由でバットマンと深くつながっている。スーツを着るとその重みと責任を感じ、バットマンになるブルースの気持ちに入り込んでいくんだ。僕は、バットマンというキャラクターに思い入れをもっている人たちに対してそれなりの責任がある。それは、いろいろな意味でブルースがゴッサム・シティに対して責任を感じているのと似ている。だが、とても誇らしい気持ちだよ。

パティンソン：そうだね。間違いなく大変だったよ。僕らにはロブ・アロンゾという素晴らしいスタントの振付師がいた。そして、ファイトシーンのリハーサルにかなり長い時間を費やした。多分2ヵ月ぐらいだね。そして、その振り付けに慣れてきた頃に、突然スーツを着たんだ。すると、（それまでの振り付けが）全く違うものになる。そして雨降らしのマシンをつけて、それからすべての照明を消すんだ（笑）。（演技するのが）ものすごく難しくなる。でも、それはとてもとても楽しかったよ。そういったことは今までにやったことはなかったんだ。そして最後には、全てが素晴らしい映像に仕上がっていくんだ。

パティンソン：ものすごく光栄なことだよ。何年か前だったら、僕はこんな立場に立てなかったはずだ。5年前、数年後に自分がバットマンを演じることになると考えるなんてあり得なかったよ。でも僕は（本作の監督・脚本・製作をつとめた）マット・リーヴスの映画が大好きなんだ。僕はとにかく彼と仕事をしたかったから、起用されてとても名誉に感じたよ。それに、このキャラクターのレガシー、それを演じた人々、そのコミックを描いた作家たち、監督たち、みんなが、このキャラクターに、多大な情熱と愛を吹き込んでいる。バットマン・スーツを着ると、そういったことを本当に感じることができるんだ。観客からの期待も感じることができて、とてもパワフルに感じるんだよ。

パティンソン：この映画ではそんなに多くのモーキャップはなかった。ちょっと驚いたくらいだよ。ほとんど、90％はスタジオの中だった。でも、セットはとてもリアルに感じられたよ。彼らは、8ブロックに渡るゴッサムを、リーヴスデンのスタジオに作っていた。それらは決してセットのように感じられなかった。特に、線路があったり、いろんなものがあってね。それは本当に本当に広範囲に渡ったセットだった。そして、細部までとてもよくできていて、本当に人が住んでいるように感じられた。君たちが映画を見たら、それがセットだとは絶対に思わないはずだよ。なぜなら、僕らはイギリスで撮影していて、すべての背景の（美術部の）アーティストたちも員イギリス人だったにも関わらず、彼らは次第にアメリカ人の発音で話し始めたんだ。つまり、（セットが完璧だったから）まるでアメリカに居るように感じ始めたんだ。だから、とても演じやすかった。セットに足を踏み入れるやいなや、僕はなにも想像する必要はないと感じたんだ。

パティンソン：バットモービルをガジェットとしてみなせるかわからないけど、僕は多分……バットモービルを選ぶよ（笑）。間違いなく、2つのグラップルガンという新しい解釈が好きなんだよ。ちょっと『タクシー・ドライバー』スタイルの（ロバート・デ・ニーロ演じるトラビス・ビックルが身につけていた早撃ちの銃が袖から飛び出す装置のような）グラップルガンで、すごく楽しいんだ。それは実際、映画の中でちゃんと機能するし、ちょっとクールなんだよ。