1988年9月14日生まれ、秋田県出身。ミュージカル「忍たま乱太郎」シリーズや、ハイパープロジェクション演劇 舞台「ハイキュー!!」シリーズなど、舞台やミュージカルで活躍する一方、2018年には篠原哲雄監督の『君から目が離せない ~Eyes on you~』で映画初主演を果たすなど、映像作品でも個性を発揮している。
女装に関しては舞台でもよくやっていたのですんなりできました
ミュージカル『新テニスの王子様』The Second Stageや『ハイキュー!!』シリーズなど、舞台やミュージカルで活躍する俳優・秋沢健太朗が主演を務める短編作品『MISSING』『ミスりんご』『お茶をつぐ』を一つに集めたオムニバス映画『人生の着替えかた』が劇場公開を迎える。
各作品でまったく違うキャラクターを演じた秋沢は、これまで舞台俳優としてさまざまな作品に出演してキャリアを積んできたが「今後は映像作品にもどんどんチャレンジしていきたい」と目を輝かせる。彼にとって映画やドラマなど映像の仕事をすることは、どんな意味を持っているのだろうか――話を聞いた。
・秋沢健太朗&反橋宗一郎、ミスりんごコンテストでうっかり優勝!
秋沢:『ミスりんご』は、コンビを組んだ反橋宗一郎さんとは、舞台で何年もご一緒していた方なので、役を超える瞬間は分かっていました。最初からカメラを通しても嘘を極力使わなくても良い関係性だったので、とにかく楽しく過ごそうという意識はありました。思い切り楽しい雰囲気を出せれば、シリアスなシーンも映えると思って臨みました。
『お茶をつぐ』の脚本を担当した蛭田直美さんとは、舞台でもご一緒していて「健太朗くんから言葉を奪いたい」とおっしゃっていたんです。僕の役が、耳が聞こえず手話で会話をする男性だったので、目で訴えることは意識しました。あとは、多感な時期に伝えたいことを伝えられずもどかしい気持ちを抱いて過ごした人間が、大人になるとどういう思いで生きているのか……みたいなことも考えました。手話を教えてくださったご家族の方から話を聞いて、形だけではなく感情的な部分もしっかりトレースして臨みました。
『MISSING』は、罪を犯してしまった兄のために苦しい生活を強いられる青年の役でしたが、兄役の中村優一くんは、本当のお兄ちゃんのように普段から仲良くしていただいているので、気持ちは乗せやすかったです。今回は短編だったのですが、脚本がすごく痛みを感じさせるものだったので、私生活では、極力幸福な時間を過ごさないような役作りをしていました。
秋沢:楽しい時間でもありましたが、体力も相当使ったなという感じもありました。『MISSING』の撮影が終わったあと、かなり痩せてしまっていました。それだけ精神的に追い込んでいたんだなと。
秋沢:女装に関しては、舞台などでもよくやっていたので、所作云々みたいな部分はすんなりできました(笑)。
目と声を活かしていきたいです
秋沢:僕はもともと映画やドラマに出たいと思ってこの仕事を始めたんです。映像のワークショップにも通っていたので、映像の特性や、カメラ割りなども学んではいました。だからと言ってできているかどうかというのは別なのですが、テイクを重ねることによって、なにかが起きるのではないか……というワクワク感も楽しいですし、やっぱり映像作品として後世に残るというは、すごくやりがいがあります。
秋沢:もちろん一発勝負のドキドキもありますし、どちらにも魅力はあると思います。でも僕は映像のリトライするやり方がとても好きなんです。その都度生み出されるものが、形に残るというのはやっぱりいいですよね。
そのなかでも舞台と映像の共通点も感じました。それは、俳優と俳優が脊髄反射で言語化できない感情のやり取りをみんなが求めているんだろうなということ。その痺れる瞬間があるから、演じることがやめられないんだろうなと思います。
秋沢:大いにあると思います。僕は映像の仕事をしたことで、舞台に反映できることが多いなと感じました。心の流れをきちんとリセットして、そのままリテイクを重ねるという経験は、大いに舞台でも役立っていると思います。
秋沢:すごく上がりました。映像の世界にい続けられる俳優でいたいと思いました。主演で3本もやらせていただくなんて、いまの僕にとってはとてもありがたいことなのですが、何年か以内には「健太朗くんだから当然だよね」という風になります!
秋沢:目と声です。ある韓国のご年配の俳優さんのドキュメンタリー番組を見たのですが、そこで「俳優は目つきが悪い方が良い。目つきが悪ければ年を取ったときに仕事が増える」と言っていたんです。僕はつり目で黙っていると冷たそうと言われるのですが、目を褒めていただくことが多いんです。あと、自分では分からないのですが「声が特徴的だね」と言われることが多いので、その二つはしっかりと自覚して活かしていきたいです。
秋沢:僕は『12人の優しい日本人』という映画が大好きなのですが、この映画の豊川悦司さんがすごく魅力的に感じて……色っぽいですよね。あとは西田敏行さんや、舞台「カッコーの巣の上で」に出演していて格好いいなと思った武田真治さん、小栗旬さんなども憧れます。頑張ってご一緒させていただけたらなと思っています。
秋沢:湯布院映画祭のシンポジウムに参加したのですが、そのとき、かなり鍛えていただきました。でもとても温かい言葉もいただいて、ある方からは「君はすごく良い俳優だ。いいスタートラインを切れたな」と声をかけてくださったんです。批評というのはとても大切なことだと思うので、忌憚のない意見をいただきつつ、映画ファンには温かい目で見ていただけたら嬉しいです。
(text:磯部正和/photo:谷岡康則)
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