1978年生まれ、オーストラリア出身。2010年に『レッド・ヒル』で長編デビュー作を果たすと、ベルリン国際映画祭でプレミア上映され高く評価される。その後、シルヴェスター・スタローン主演『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』(14年)や前作『ヒットマンズ・ボディガード』(17年)でも監督を務めた。今後の待機作は、『The Man From Toronto (原題)』など。また、CMでも活躍しており、プレイステーションやBMW、メルセデス・ベンツ、XboxなどのCM作品で、2009年カンヌ国際広告賞の金獅子賞をはじめ数々の賞を受賞している。
『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』パトリック・ヒューズ監督インタビュー
豪華キャストが続々登場! ライアン・レイノルズが迎える最悪な結末とは?
ライアン・レイノルズたちとの仕事はクレイジーで圧倒された
『デッドプール』の大ヒットにより、人気を確固たるものにした俳優ライアン・レイノルズ。アクションからコメディまで、幅広いジャンルで世界中のファンを虜にしている。そんな彼の魅力が炸裂しているのは、落ち目となった“超一流のボディガード”マイケル・ブライスに扮している最新主演作『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』。本作は、2017年製作の『ヒットマンズ・ボディガード』の続編となる。
サイバーテロから世界を救う任務を課せられたマイケルがコンビを組むことになってしまった最強の殺し屋ダリウスには、前作同様にサミュエル・L・ジャクソン。さらに、サルマ・ハエック、アントニオ・バンデラスやモーガン・フリーマンといった名優たちも参戦していることでも話題となっている。そこで、前作に引き続きメガホンを取っているパトリック・ヒューズ監督に、現場での様子や日本に対する思いなどについて語ってもらった。
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監督:まずは、「マイケルにとって最悪なシナリオは何だろう?」と考え、そこから逆算して作り上げていきました。そのときに思いついたのが、ダリウスの妻で詐欺師のソニアがマイケルに対して抱く思惑。ラストシーンで見られる“ある出来事”のことを指していますが、それが最後になるように思い浮かべて考えていきました。
監督:前作でマイケルが経験したダリウスとのロードトリップよりもマイケルを苦しめるものは何かと考えていたときに、ソニアを含めた3人でのロードトリップこそがマイケルにとっては史上最悪な状況だと思ったので、そのような展開にしました。ほかにも、前作を撮り終えたあとに今後のマイケルについて想像した際、きっと彼にはセラピーが必要だと感じたので、オープニングはそのようなシーンから始めています。なので、本作で意識していたのは、前作との繋がりと結末からの逆算ということになりますね。
監督:ライアンとはユーモアのセンスが似ていて、すごく仲もいいので、お互いにいろんなアイデアを出し合いながら形にすることができました。ダリウスというキャラクターに関しては、サミュエル自身に近い人物だと感じています。クールで、独特なオーラがあるところなんかは、まさにサミュエルそのものかなと。それくらい2人の素顔は役にも表れていると思います。心配性でつねに誰かから認められたいマイケルと知的でチャーミングなダリウスのキャラクターは真逆ですが、だからこそ楽しんでもらえるコンビになっていますし、それが本シリーズを成功に導いている理由でもあるのです。
監督:一番面白かったのは、マイケルとソニアがフェリーに乗っているシーン。脚本上では、ダリウスとソニアに子どもができないのはソニアの年齢が原因ではないかとされていたのですが、ソニアを演じたサルマ・ハエックがそれではダメだと言ってきたんです。そこで、サルマから提案されたセリフは、なんと「私の女性器がタイトすぎるから子どもができない」というものでした。最初は僕も驚きましたが、半ば彼女に押し切られる形でそうすることに。ただ、ライアンは知らなかったので、サルマの発言に驚いている彼のリアクションは素の反応です(笑)。
監督:モーガンとは初めての仕事となりましたが、本当に大スターだなと。それくらいオーラに圧倒されてしまいました。特に声が渋くてステキなので、大した用事もないのに、モーガンの声を聞きたいがゆえにライアンと2人でいろんな質問をしたこともありましたね。アントニオは、面白くてエネルギーの塊みたいな人。セットに現れてはみんなを笑わせてくれましたし、女性の扱いもうまいので、みんなが彼にクラクラしていました(笑)。
監督:そうですね。たとえば、現場で彼らが過去の作品について話し始めることがありましたが、誰もがその話を聞きたかったので、気が付いたら撮影を中断してしまったことも。しばらくしてふと我に返り、「仕事中だからあとにしよう!」みたいなことは何度もありました。彼らが出演してくれたことはクレイジーなことでしたが、素晴らしい役者たちと仕事ができて、本当にうれしかったです。
監督:前作でクロサワが撃たれたことによってマイケルのキャリアが転落していくので、マイケルにとっては人生を一変させてしまうほど重要な人物。それだけに、このシリーズ全体がクロサワを中心に回って進んでいっていると言っても過言ではないでしょう。今回ふたたび登場してもらったことで、僕も過去の思い出が蘇ってきました。
次回作では日本人俳優を起用
監督:僕自身は、日本の文化も人々も大好きなので、いつか日本で撮影できたらいいなと考えています。これまで何度か日本を訪れたことはありますが、東京しか行ったことがないので、次はぜひ地方都市を回ってみたいですね。
監督:彼との仕事は本当に楽しかったですよ。コロナ禍での撮影で大変ではありましたが、作品に関わっている人たちとはいままで以上に密な関係性を築くことができたと感じています。彼とも友情を育むことができましたし、とても熱のこもった演技を見せてくれたので、素晴らしい役者だと思いました。
監督:実は、僕自身がカメオで出演しているんですよ(笑)。ナイトクラブのシーンで警備員として登場しているので、ぜひそこは見逃さないで欲しいですね!
(text:志村昌美)
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