2月22日生まれ、東京都出身。『それが声優!』の小花鈴で注目を集めると、同作品から派生した声優ユニット・イヤホンズのメンバーとして音楽活動も開始。その後、『ウマ娘 プリティーダービー』のサイレンススズカ役などで人気を博し、Netflixオリジナルアニメ『エデン』ではアニメ作品初主演を務める。現在は、ソロアーティストデビューも果たしており、幅広く活動中。
高野麻里佳『ハケンアニメ!』インタビュー
『ウマ娘』でブレイクの次は女優デビュー! 声優とのギャップを語る
新人時代のもどかしい思いと重なるところがあった
No.1の称号とされる“ハケン(覇権)アニメ”を巡って、日々激しいバトルを繰り広げているアニメ業界。その裏側をリアルに描いていると話題になったのが、直木賞作家・辻村深月によるお仕事小説『ハケンアニメ!』。その実写映画化が、主演の吉岡里帆をはじめ、中村倫也、柄本佑、尾野真千子といった実力派俳優たちによって実現した。
覇権を目指す新人監督が手掛ける劇中アニメのなかでヒロイン役の声を担当する“アイドル的声優”群野葵を演じるのは、人気声優の高野麻里佳。そこで、演技初挑戦を終えた心境や自身が抱えてきた葛藤、そして目指している最終目標などについて語ってもらった。
・【動画】高野麻里佳、声優とのギャップを語る/『ハケンアニメ!』インタビュー1
・【動画】「自分の声って特殊だって改めて思った」高野麻里佳『ハケンアニメ!』インタビュー2
高野:恐れ多いなと思いました。顔出しをするうえに、声優という立場を表現する身の引き締まるような作品への出演でもあったので。でも、群野葵ちゃんの人生も背負っていたので、「やらねばならぬ!」と気合いを入れてやりました。
高野:それよりも、この作品だったからですね。とはいえ、最初は自分が映ることを想像できなかったですし、「私が出て大丈夫なんだろうか?」という申し訳なさもありましたが……。でも、群野葵という声優は、アイドル的な活躍をしていて“お客さんを呼べる人”としてキャスティングされたという経緯があることを知ってからは、そういう気持ちがわかる人が表現すべきではないかと思うようになりました。
高野:私も新人時代は声の仕事よりも顔出しの仕事が多かったので、声優としてどんなに真摯に向き合っていても、自分が表に出ることでそれが消えてしまうんじゃないかという怖さがありました。実際、声優よりアイドルをやりたいのだと勘違いされたり、心無い言葉をかけられたりすることもあったので。葵ちゃんも同じようなもどかしい思いをしているだろうという想像ができました。
・吉岡里帆「ブッ殺す…!」アニメ制作に人生賭ける新人監督熱演『ハケンアニメ』本予告
高野:そうですね、自然と溢れてきちゃいました。「涙をぬぐう」と台本に書かれていたので、そもそも涙を流さなければというのはありましたが、リミッターを外して思いっきり感情を爆発させました。
高野:声優の現場のように台本を持ち込めないので、セリフを覚えるのが大前提というのは全然違いましたね。あとは、身体を動かさなければいけないのも難しかったです。というのも、声優の場合は、ノイズが入ってしまうこともあって、マイクの前では動いてはいけないので。でも、映像の世界では表現方法のひとつとして身体を動かすので、「やっていいよ」と言われましたが、何をどうしたらいいのかと(笑)。そういうところにも声優とのギャップを感じました。
高野:どうやってセリフを覚えたらいいのかについては、吉岡さんに質問させていただきました。吉岡さんは何度も反復したり、相手のセリフを自分で音声に収録したりして練習するのだとか。そのあたりは声優と通じるところがあると思いましたが、会話の流れを読み込むことが大事なんだと教えていただきました。
高野:現場で台本を見ていることがないのはすごかったですね。私は不安なので、カメラが回るギリギリまで見ていましたし、何ならそのまま撮影にも持ち込みたいくらいでしたから(笑)。吉岡さんは優しいだけでなく、器量が大きくて頼りがいのある方でもあるので、目標にしたいなと思いました。
高野:今回、柄本さんの演技ですごいなと思ったのは、私と廊下ですれ違うシーンを撮ったときのこと。私が「お疲れさまです」と言うことになっていたんですが、監督から足を止めて言って欲しいと指示がありました。でも、どうやったらいいか悩んでいたら、それを察してか、次のテイクで柄本さんが私の進行方向をふさいでくださったんです。事前に何もおっしゃっていませんでしたが、台本では見えないところにある人の動きをこうやって演技によってカバーしていくのかと。本当に奥深い世界だなと改めて感じました。
高野:ちょっと気持ち悪かったです(笑)。映画に没頭しているときに、自分が映っていると我に返ってしまうというか……。まだ慣れないですね。
高野:自分が出ていないところは見ますが、実は自分が出ているところはあまり見ないです。それよりも、観客や監督の反応とか、制作陣の思いを一番に感じたいという気持ちのほうが強いので。あとは、やっぱり恥ずかしいというのはありますね。
吉岡さんや柄本さんとの経験は、今後も活かしていきたい
高野:私は梶裕貴さんや潘めぐみさんと一緒に収録をさせていただきましたが、実写作品に慣れている梶さんは私の緊張をほぐすために「みんなで写真撮ろう」と休み時間に声をかけてくださったり、「のびのびやったらいいよ」とアドバイスしてくださったりしました。潘さんも「これは高野ちゃん次第で作っていいシーンだから、私たちにできることがあったら言ってね」と背中を押してくださることも。最初は気恥ずかしさもありましたが、本当に心強かったです。
高野:すごくリアルでしたね。特に、キャスト同士がマイクを譲り合うシーンの所作や静けさは、監督が声優をキャスティングしたからこそできた部分だったなと。この作品はアフレコの勉強ができるくらい本物と同じです。
高野:声優も表現者なんだなと感じることが増えましたし、先輩方が声優のフィールドを広げてくださっているお陰で、新人たちもいろんな経験をしやすい業界に変わってきていると感じています。
高野:そうですね。先日、漫画雑誌の表紙を飾らせていただいたんですが、事務所の方から「おそらく、自社では初めてのことだよ」と言っていただきました。そのときに、自分が先陣を切ることによって、後輩たちも表に出やすくなったり、次の仕事に繋がったりすることもあるのかもしれないなと。そういうことがあるなら、私ももっとがんばろうと思いました。
高野:だんだん新人ではなくなってきて、お仕事のなかでも初めてのことを経験することが少なくなってきたので、自分の表現を止めないという意味でもすごく刺激のある現場でした。吉岡さんや柄本さんと掛け合いができたことも、今後に活かせると感じています。
高野:やっぱり『ウマ娘 プリティーダービー』に関わらせていただいたことは、大きかったですね。私がどういう仕事をしているのかがわかりやすくなりましたし、名前を挙げて頂ける機会も増えたので。これからも盛り上がる作品を作っていきたいと思うきっかけにもなった作品だと思います。
高野:最初は、落ち込むこともたくさんありましたが、その印象だけで終わらせたくないという気持ちがあったんだと思います。嫌な言葉が聞こえてきたとしても、私が貫きたい表現を持ち続けようと。私が何者かを表現できるのは私しかいないということに誇りを持つというか、声優と名乗るからには声の表現を諦めちゃいけないというか。それを貫いてきたからこうして映像作品でも表現の場を設けていただけたと思うので、これは自分ががんばった証だと胸を張りたいですし、ちょっとだけ自分を褒めてあげたいです。
高野:私にとっては、小さい頃から好きだった『ONE PIECE』です。ルフィに対しては、自分の行動で示していくカッコよさに人間的な憧れを持っていましたし、すごく勇気づけられる作品だと思います。
高野:私は、異色か王道かで言ったら異色の道を歩いてきたと思いますし、いまから王道に路線変更できるほど器用なタイプでもないので、そういう意味ではいままでと同じようにほかの人がしていない経験をこれからも積み重ねていけたらいいですね。いろんなチャレンジをするなかで、最終的に自分が行きたい場所にたどり着けたら、それが一番ハッピーエンドだと思っています。
高野:私はこの業界に入ったときから目標にしている方がいて、それは『ポケットモンスター』のピカチュウや『ONE PIECE』のチョッパーなどの声を担当されている大谷育江さん。私の両親がおじいちゃんおばあちゃんになっても胸を張って応援してくれると思うので、いつか私も大谷さんのように国民的キャラクターの声を当てられるようになりたいです。
高野:先日、私のデビュー曲を結婚式に流したという方のお話を聞いて、すごく幸せな気持ちになったことがありました。私は人に喜んでもらうために仕事をしているので、そんなふうにこれからも誰かの幸せな瞬間を一緒に作っていけたらいいなと思っています。
高野:そんな恐れ多いことは全然考えてないです(笑)。ただ、自分の概念を狭めてしまうことがないようにチャレンジ精神は持ち続けていたいので、声をかけていただけるなら考えたいなとは思っています。
高野:今回の作品を見て改めて感じたのは、自分の声って特殊だなと(笑)。もちろん、だからこそ声優が出来ている部分もありますが、この声でも受け入れてくださる作品があれば、ぜひやってみたいです。
高野:この作品は、アニメ業界だけでなく、お仕事をしてる方なら仕事への熱量や愛を感じられる物語だと思っています。私もこの映画を見た後、家に帰って、いま携わっている作品の台本をすぐに読んでしまったほどなので。それくらい仕事に対して気合いを入れて取り組みたいという活力が湧いてきました。みなさんも、きっとこの作品のなかの登場人物たちに心を動かされてモチベーションが上がると思います。
(text:志村昌美/photo:小川拓洋)
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