また一緒に7人で暴れることができるのがすごく楽しみでした 大企業のトップなど社会を動かすボスを支え、組織に仕える黒子に徹する秘書たちが、それぞれ卓越したスキルを駆使して悪を倒し、人知れず弱きものを救う姿を痛快に描いたドラマ『七人の秘書』。2020年の放送から2年、ドラマのラストで転機を迎えた彼女たちのその後を映画化した『七人の秘書 THE MOVIE』が完成した。
『七人の秘書 THE MOVIE』
7人の中でとりわけ正義感が強く空手有段の武闘派でもある長谷不二子は、ドラマでは警視庁警務部長秘書だったが、圧力により解雇されてしまう。映画では思いもよらぬ転機を経て、さらにパワーアップした不二子をクールに演じた菜々緒に、撮影現場について、不二子というキャラクターについて話を聞いた。
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──連続ドラマも楽しみに拝見していましたが、さらにスケールアップした映画版も楽しみました。映画化が決まった時、どう思われましたか？
菜々緒 ：ドラマの撮影期間中や終わる頃に、みんなと「続編ありそうだね」と話していたので、お話をいただけたときは、「あ、やっぱり」というか（笑）。みんなもそう思ってたみたいで、また一緒に7人で暴れることができるんだなと思って、すごく楽しみでした。
──中園ミホさんの脚本を読んだ感想はいかがでしたか？
菜々緒 ：脚本のストーリーの流れが面白いのはもちろんですが、演じる側としてはアクション・シーンなど、ちょっと大変そうだなという印象もありました。とにかく仲間との絆を大事に、続編としてやっていけたらいいなと思いながら読ませていただきました。
──「クールな武闘派」というキャッチフレーズの不二子ですが、今回は最初の登場シーンで観客を驚かせます。他にも今までは見せなかった面もいろいろ出てきました。
菜々緒 ：そうですね。ドラマのシーズン1の最後で警察の組織には居られなくなったので、もし続編ができたとしたら、不二子はどうなるんだろうという不安と謎に包まれていたんですけど、まさかの展開には、私自身もすごくびっくりしました（笑）。不二子の相変わらず男勝りでたくましいところも大切にしながら演じさせていただきました。
──『七人の秘書』として2年ぶりの新作になりますが、撮影で皆さんが揃った時の雰囲気はいかがでしたか？
菜々緒 ：ちょっと間は空きましたけど、前と本当に変わらない雰囲気で和気あいあいでした。「あ、元気だった？」とか、ちょっと言葉を交わしただけでスンナリと、また秘書軍団として撮影に入れました。シーズン1で固い絆というか阿吽の呼吸じゃないですけど、すごく合っているなというのがすごく実感としてありました。
──菜々緒さんはこれまで、いわゆる続編作に出演される機会もありましたね。
菜々緒 ：結構ありますね。すごくありがたいことに、そういう機会が多いです。
──一度演じた役を、間をおいてもう一度演じるのはいかがですか？
菜々緒 ：そうですね。全然違和感もないですし、思い入れが強いキャラクターでもあるので、また不二子を演じられるんだという気持ちがあって、さらに周りのキャストの皆さんが演じるキャラクターとまた一緒に生きることができるんだと思うと、すごく嬉しいですね。
──菜々緒さんはインタビューなどでご自身の性格について、男っぽいと話していらっしゃいますが、それがいろいろなことを潔く乗り越える強さなのかなと思います。
菜々緒 ：強さも、たぶん持ち合わせてるものだとは思うんですけど、ある意味、諦めも肝心かな、という風に思っていて。女だからしょうがない、という部分もどうしてもあると思うので、そこは割り切って、それでも対等に頑張れるところは頑張っていこうと思って、今までずっとやってきました。いい意味で吹っ切れるところもありつつ、女性としての強さや、自分が持ち合わせてるポテンシャルをぶつけていくことによって、今の私があるのかなと思っています。
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男勝りで白黒はっきりつけているところは、すごく似ている ──『七人の秘書』に登場する女性6人の距離感が素敵です。親しくなり過ぎず、互いに尊重しあってチームワークが抜群というのは、彼女たちを演じているキャスト同士の関係とも重なるように思えます。
菜々緒 ：絶妙ないい距離感ですよね。確かに、似ているかも、と私自身は結構感じていました。実はプロデューサーさんたちに「秘書たちはベタベタしたり、すごく仲良くなる感じではないので、普段はあんまり仲良くしないで」みたいなことを言われていたんですけど、思いのほか仲良くなっちゃって（笑）。本当にいい距離感で、プライベートもご一緒させていただいたりとかもありますし、現場でキャスト同士が一緒にいる時も穏やかな空間で楽しく過ごせています。
──観客の立場からすると、それぞれの演じられたキャラクターと演じる俳優さんをつい重ねてしまいますが、菜々緒さん自身で不二子と似ていると思われる点はありますか？
菜々緒 ：やっぱり男勝りで、なんでも白黒はっきりつけているところは、すごく似ている部分なんじゃないかと思いますね。共感もします。だから、割と自分に近いキャラクターではあるのかなと思いました。
──今回の撮影は1月から3月のすごく寒い時期に雪の中で、という過酷な状況だったと聞きました。
菜々緒 ：私は衣装でもそんなに寒い思いをしなかったので、割と耐えられたんですけれど、他の皆さんはドレスを着たりして、本当に「冬の装いじゃないだろう」という姿でマイナス十何度という場で撮影してたので、風邪をひくんじゃないかと心配しながら撮影してましたね。それから、雪が積もっていますから、足跡がやっぱりつきやすい。そうするとスタッフさんが入っていけない状況になるので、キャストだけがポツンといる中で走っていくシーンを撮ったりしていたので、（木村）文乃ちゃんとか（広瀬）アリスは、本当に大変だったんだろうなと思います。完成した作品を見た時、血のにじむような努力を画面からすごく感じることができました。ストーリーのすごさもありますし、みんな頑張ってアクションも演じていて、本当にいろんなことが盛りだくさんなので、そういったところも楽しんで見ていただけたらいいなと思います。
──ところで『七人の秘書』といえば、秘書たちが悪いやつらに鉄槌を下すという設定ですが、菜々緒さんが鉄槌を下したいと思うものはありますか？
菜々緒 ：ものというか、どちらかというと自分自身っていうのはありますね。
──ご自分にですか？
菜々緒 ：（笑）ほんとにくだらないことなんですけど、私はフルーツが大好きで、いっぱい取り寄せるんです。季節を先取りして予約注文したのをすっかり忘れて、家に果物がいっぱい届きすぎて母に怒られるということを毎年繰り返してるんですよ（笑）。服とかも、ブランドの展示会に行って注文するんだけど、届いた時に「何でこれを……」と謎に思ってしまう時もあるので、もうちょっと考えて行動できるように、自分に鉄槌を下したいと思います（笑）。
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（text：冨永由紀／photo：小川拓洋）
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