『七人の秘書 THE MOVIE』広瀬アリス インタビュー

婚約者役の濱田岳とのデートシーンはリアルにキャッキャ楽しんだ!

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広瀬アリス

照井七菜は、真っすぐで、あり得ないぐらい素直な子

大企業のトップなど社会を動かすボスを支え、組織に仕える黒子に徹する秘書たちが、それぞれ卓越したスキルを駆使して悪を倒し、人知れず弱きものを救う姿を痛快に描いたドラマ『七人の秘書』。2020年の放送から2年、ドラマのラストで転機を迎えた彼女たちのその後を映画化した『七人の秘書 THE MOVIE』が完成した。

七人の秘書 THE MOVIE

『七人の秘書 THE MOVIE』
2022年10月7日より全国公開
(C)2022「七人の秘書 THE MOVIE」製作委員会

ドラマから引き続き登場する7人の中で末っ子的存在なのが、ドラマでは銀行頭取の秘書・照井七菜だ。今回、七菜は信州一帯を支配する名家の息子との挙式を控えていて、しかもその名家・九十九ファミリーこそが7人の秘書たちが立ち向かう相手という展開。七菜の屈託ない明るさや優しさをチャーミングに演じる広瀬アリスに、キャラクターの成長や雪と寒さで過酷だった現場について、 困っている人を放っておけないという七菜との共通点について、語ってもらった。

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「ある意味、諦めも肝心かな」『七人の秘書 THE MOVIE』菜々緒インタビュー

──映画化が決まった時、どう思われましたか?

広瀬:嬉しかったです。「やりたいね」というお話は、実はドラマの時からみんなでしていました。スカッとするし、すごくシンプルなお話なので。だから、またやれるんだなって。

──中園ミホさんの脚本を読んだ感想はいかがでしたか?

広瀬:スケールがすごく大きくなっていました。ドラマでは(秘書たちが集まる)ラーメン萬や(七菜が働く)オフィス内でのシーンが多かったのですが、今回は雪国に行くので、「撮影が楽しみだな」とも思いましたし、仕事だけじゃなくて恋愛の要素も入っているので、早く撮影をして、現場でいろんな人をちゃんと見たいなと思いました。

──七菜のキャッチフレーズは「天真爛漫末っ子秘書」ですが、今回の彼女には連続ドラマの時と比べると、すごく成長した印象を受けました。

広瀬:それほど大きくは変わってないかもしれないです。真っすぐ過ぎるが故に、いろんな事件を持ってきてしまうタイプなのは連ドラの時からだし、そこは変わらず、ちょっと浮かれていて(笑)、ちょっと腹が立つんだけど憎みきれないようなキャラクターになればいいなと思って演じてました。

──広瀬さんにとって、照井七菜はどういう点が魅力的でしょうか?

広瀬:真っすぐで、あり得ないぐらい素直な子だなと思います。良くも悪くも、になるんですけど、でもやっぱりそこが魅力なのかなって。どうしても手を差し伸べたくなるような女の子なので、演じていてとても愛着が湧くキャラクターですね。

──ドラマでは他の秘書たちに頼りきりという描写でしたが、今回は七菜が自ら動くのが印象的です。

広瀬:そうなんです。ドラマでは“おぼこ”と呼ばれていましたから、成長したというのは台本を読んでいてもすごく分かりました。ポンコツっていうキャラクターがとても似合うような女の子だったんですけど、今回は『七人の秘書』のチームの一員らしい、格好いい姿というか、そういうところもできたらな、と。

──ドラマ放送からほぼ2年ぶりの映画公開ですが、撮影は今年初めに行われたそうですね。

広瀬:1年ぶりくらいでした。

──撮影初日に全員で集まった時はどんな感じでしたか?

広瀬:これが不思議と、1年空いている感じが全くしなかったんです。木村(文乃)さんもおっしゃっていたんですけど、夏休み明けぐらいの感覚で。もう一瞬で「ああ、これこれ」という1年前の連ドラの時の空気になりました。

──ドラマの撮影時は、今にして思えばコロナ禍1年目で、感染予防対策など撮影現場に手探り感もあって大変だったかと思います。今回はもう少しリラックスして撮影に臨めたでしょうか。

広瀬:はい。環境もそうですし、多分慣れというのもあったと思います。チームはスタッフさんも含めて変わらなかったので、また再集結してみんなとやれたというのは良かったです。なかなかないじゃないですか、続編をやるということが。だから一日一日すごく濃くて、いい撮影期間だったなと思います。

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広瀬アリス サイン入りチェキをプレゼント!/『七人の秘書〜』(2022年10月21日締め切り締め切り)

極寒時に夏のデートシーンを撮影! 寒すぎて感覚がおかしく……

──七菜の婚約者で名家の子息・九十九二郎を演じるのは、これまでも共演を重ねてきた濱田岳さんです。

広瀬:はい。私の中で、こんなに心強い相手役の方っていらっしゃらないので、ありがたかったです。いい意味で、気持ちがゆるみました。今回はゲスト出演の方々もすごく豪華で、自然とグッと緊張感が入ってたんですけど、濱田さんがいて、程よい感じになりました。

──七菜と二郎が動物園でデートしているシーンが微笑ましかったです。

広瀬:あれはリアルに2人でキャッキャして(笑)、監督も「アドリブで2人でつないでいいよ」とおっしゃってくれたので、そういうシーンも使われているんです。

──夏の場面でしたけど、撮影は冬ですよね?
七人の秘書 THE MOVIE

広瀬:1月です。極寒で、そこでアイスクリームを食べるというダブルパンチでした(笑)。2人で震えながら撮影してました。

──濱田さん共々、そんなご苦労を感じさせないところはさすがです。

広瀬:ありがとうございます。ある意味、距離めちゃめちゃ近い先輩なので、お互いにせりふを言ってるんだけど、口から自然と言葉が出るような感覚でお芝居ができる方です。

──それにしても、ただでさえ寒い時期に雪国での撮影は大変だったでしょうね。
七人の秘書 THE MOVIE

広瀬:今思うと、そうですね(笑)。私はウエディングドレスを着て雪の中を走ったりしていたので、大変でした。気温はマイナス17度くらいで、室内でも息が白くはなるけど、温かい気がして「あったかいね」なんて話していたんです。でも調べたら、マイナス2度で。ちょっといろいろバグって、感覚がおかしくなっちゃってました(笑)。雪の中を歩くだけでも大変でしたし、何気ないシーンでもまつげが凍っちゃったり、どんどん雪が当たってメイクが落ちていったり。皆さん本当に命懸けで撮影してました。

──『七人の秘書』の女性たち 6人の関係は絶妙な距離感だと思います。べたつかない、踏み込み過ぎない、でもチームワークは抜群。演じられている皆さん同士の関係性も重なって見えるような気がします。

広瀬:確かに踏み込んだ話というのはあまりしなくて、その場のノリで「イエーイ!」みたいな感覚が多い現場で楽しいです。我々は意外と本番直前までそんな感じで、本番始まってもツボっちゃったまま進めちゃったりすることもあります。

──そういうライブ感は確かにありますね。

広瀬:私は特に多かったんです、皆さんがあまりにも面白いから(笑)。この作品の7人はすごく仕事ができて、なれ合いにならないですが、現場の我々もいい距離感だと思います。

──菜々緒さんにもお話を聞いたのですが、みなさん仲良くなって、プライベートで交流もあるそうですね。
広瀬アリス

広瀬:そうなんです。私はシムちゃんとご飯を食べに行きたいんです。音楽の話とかでも盛り上がったりするので、約束もしているんですが、コロナ禍もあったし、シムちゃんも韓国でのお仕事があったりして、なかなかタイミングが合わなくて。早く行けたらいいなって思ってます。

──『七人の秘書』は秘書たちが悪いヤツに鉄槌を下すという設定ですが、広瀬さんが鉄ついを下したいと思うものはありますか。

広瀬:鉄槌を下したいもの……自分のゲーム能力の低さ(笑)。すぐやられちゃうから。「ああっ」て、いつも1人で自分に怒っているので鉄槌を下したいです。

──なるほど。

広瀬:下手くそ過ぎて(笑)。ゲームには大人になってからはまって、ちょくちょくやってるんですけど、まだそんなにうまくできないんですよ。友だちと通信で対戦したりすると、やっぱり小っちゃい時からやってる人って上手いんです。あ〜、これが差だなと思って(笑)。

──結構負けず嫌いですか。

広瀬:かなり負けず嫌いです。みんなで集まってUNOをやる時も、私が気持ちよく勝てるまで、「もう一回、もう一回」ってずっと言ってる(笑)。友だちはいい迷惑だと思いますよ。「まだやるの?」っていつも聞かれて。

──意外です。

広瀬:でも、かなり諦めが早い時もあります。もう一瞬で「諦めた、もうやめよ」みたいなのもあります(笑)。ただ、1回ハマっちゃうと、どうしてもステップアップしたい、強くなりたいという気持ちが高まり過ぎて、そういう面倒くさいタイプの女になっちゃうんです(笑)。

──その負けず嫌いはお芝居する時にも出てきたりしますか?

広瀬:昔ですけど、泣ける演技ができなくて泣きました。10代の時はそうでした。それから20代になってから、たった一言のセリフで20何テイクやったことがあります。何が駄目なのか分からなくて、何回も何回もやって、悔しくて。いつもだったら、「もう現場行きたくない、やだ」となるんですけど、逆に燃えちゃって。いい方向に転がることのほうが多いので、ありがたいことです。

──こうしてお話を聞いていると、広瀬さんと七菜はかなり違う雰囲気です。でも、作品ではあまりにもハマっているので、本当にそういう人なんじゃないかと思えてしまいます。

広瀬:ポンコツ度でいったら一緒ですよ(笑)。七菜自体がすごく「放っておけない」と感じさせるキャラクターだと思うんですけど、七菜も人のこと放っておけない。そこも似てると思います。友だちが困ってたら、助けてあげたい。世話焼きというか、おせっかいなのか分かんないですけど。ただ七菜ほど何も考えずに「この人、大変なんです。助けてください」みたいではないかもしれませんが。

(text:冨永由紀/photo:小川拓洋)
(ヘアメイク:宮本愛-yosine.-/スタイリスト:梶原浩敬-Stie-Lo-)

広瀬アリス
広瀬アリス
ひろせ・ありす

1994年12月11日生まれ、静岡県出身。2008年、映画『死にぞこないの青』でデビューし、翌09年に「ミスセブンティーン 2009」に選ばれて雑誌「Seventeen」の専属モデルを務めながら、女優として映画、TVドラマを中心に活躍。近年の主な映画出演作は『旅猫リポート』(18年)、『銃』(18年)、『AI崩壊』(20年)、『サイレント・トーキョー』(20年)、『地獄の花園』(21年)、『劇場版ラジエーションハウス』(22年)など。今年はドラマ『恋なんて、本気でやってどうするの?』、『探偵が早すぎる 春のトリック返し祭り』、『失恋めし』に出演し、2023年NHK大河ドラマ『どうする家康』で徳川家康の側室・於愛の方(おあいのかた)を演じる。