1993年10月5日生まれ、長野県伊那市出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。唯一無二の世界観を築きあげているバンド“King Gnu”でボーカルとキーボードを担当。近年は俳優としても活動し、映画『劇場』(20年/監督:行定勲)、『佐々木、イン、マイマイン』(20年/監督:内山拓也)、ドラマ『MIU404』(20年)などに出演。YouTubeドラマ『GOSSIP BOX』(21年)では主演も務めた。23年3月10日公開の映画『ひとりぼっちじゃない』(企画・プロデュース:行定勲/監督:伊藤ちひろ)では初主演を果たす。2019年4月から約1年間「オールナイトニッポン0(ZERO)」(ニッポン放送)の木曜日パーソナリティを担当。ナレーション業なども含め、活動の幅を広げている。
『ひとりぼっちじゃない』井口理×馬場ふみか インタビュー
「飲み込まれないようにしていた」「愛がある人」初共演の印象などを語る
自分と遠からず近からずな感じが面白そうだなと思いました(井口)
脚本家である伊藤ちひろが、自身の小説を自ら監督を務め映画化した『ひとりぼっちじゃない』。人とのコミュニケーションが苦手な歯科医師・ススメが、マッサージ店を営むつかみどころがない女性・宮子に恋をしたことから、少しずつ自身と向き合い変化していく姿を描く。
本作でススメ役を演じたのが、ロックバンドKing Gnuの井口理。ススメが恋する宮子に扮するのが女優の馬場ふみかだ。独特の世界観が漂う作品のなかで生きた二人が、共演して感じた印象や、人と接する際の距離感などについて語った。
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井口:原作を読んだのですが、そこにはススメという人物の心理がすべて描かれていて……。しかし脚本から映像になるとき、それをどこまで感情として表に出すべきなのかということを考えました。ススメの相手となる宮子や、河合優実さん演じる蓉子と対峙したときに余白を残しておかなければいけないですからね。結構いろいろなことを思い巡らせました。
馬場:宮子はススメ以上に何も描かれていなかったので、実はススメにしか見えていない、本当はいなかった人物なのかも……みたいに思っていました。ススメが妄想のなかで作り上げた女性なのかなっていまだに疑っているぐらい(笑)。私の周囲にも宮子みたいな人はいないし、自分ともかけ離れているなと。
馬場:クランクイン前にたまたま伊藤監督と、優実ちゃんと3人で話す機会があったのですが、そのとき監督が『馬場さんって宮子の冷たいちょっとドライな感じがすごく似ています』と話していて……。自分的には「えっ」って思ったのですが、言われてみて、確かにそういう部分があるかもと考えるようになったんです。
井口:オファーをしてくださった理由というのも、なにか曖昧な感じだったんです。確か行定勲監督の忘年会で、伊藤監督とご一緒した時、その場では話さなかったのですが、僕の居方みたいなものを見て「ススメできるんじゃないか」って思ったみたいで。その後、僕も何を根拠にそう思ったのかが知りたかったので、原作をすぐに読みました。まあ、自分がこの役を演じるのかも……という意識で読んだのですが、自分と遠からず近からずな感じが面白そうだなと思いました。
馬場:私は最初オーディションみたいな感じで呼ばれて、「こんな役があるんですけれど、ちょっと読んでみますか」みたいな感じで台本を渡されて。その時はセリフを読んで帰ったのですが、その日の夕方に電話で「お願いします」って言われたんです。自分に宮子を託してくださるのはすごく嬉しかったのですが、びっくりしました。
井口:あとは伊藤監督が馬場さんの顔を好きだったみたいですよ。
馬場:そうなんだ。それは全然知らなかった(笑)
井口:僕は宮子と馬場さんは全然タイプが違うなと思ったのですが、やっぱり対応力がすごいなと。宮子って普段は0.5倍速みたいにゆったりした話し方なのですが、監督のディレクションで一気に早口になる場面があって、急にギアが入るんですよね。他には毎シーン同じクオリティでアウトプットできるのが、本当にすごいなと。技術的な面でとても勉強になりました。
馬場:もともと井口さんは知っていましたし、ミュージシャンとして見ていましたから。ライブに行ったこともありましたし。一方で映画『劇場』とかも観ていたので「お芝居もされる方なんだな」という認識もあって。でもいざ現場に入ると、とんでもない集中力で役と向き合っているのでびっくりしました。
井口:いやただ追い込まれていただけだよ。
馬場:そんなことないですよ。普段はとても緩やかな感じなのに、カメラの前では全然違うのがすごかった。
井口:いや僕ね、馬場さんの飄々とした感じに必死に飲み込まれないようにしていたんです。馬場さんって普段ふざけたりするのに、本場になったらいきなり切り替えていける人じゃないですか。俺はそういうタイプじゃなかったので、引っ張られないように集中せざるを得なかったんです。
馬場:井口さんはすごく愛がある人。お互い大変なシーンが別々にあったのですが、私がかなりきつかった撮影のあとに「お疲れ、良かったね」って激励してくださるんですよ。優しさに包まれていました。
好きだからこそ、あまり深いところまで見たくないという思いも(馬場)
井口:そんなことだらけですよ。お付き合いする人によって「俺ってこんな人間だったんだ」って気づくことは多いです。大学時代に付き合っていた彼女が、炊飯器の保温をずっと切り忘れていたことがあったのですが、そのときなぜかすごく怒ってしまって。自分でもなぜだろうと思うぐらいで、後にも先にもそんなことないんですけれど「あ、俺ってこんなところがあるんだ」って気づいた瞬間でしたね。今でもたまに思い出します。
馬場:まあ人から影響を受けて、新たな自分を発見することはありますよね。友達といても、相手に嫌だなと思うことで、自分はこんなこと気にするんだと分かるし、逆にこういうことはしないな……って思うこともあります。
井口:そんなこと言っていましたっけ? でもこれまで、映像作品に参加させていただくことはあったのですが、ここまで一つの役に対してずっと考えたり向き合うことはなかったので。出来上がった作品を見たとき、やっぱり向き合った熱量というのは、作品に現れるんだなというのは感じたんです。それは音楽をやっていても同じなのですが、そういったエネルギーを使える現場って幸せだし、少しは自信になったのかもしれませんね。
井口:危ないなと感じるのは、例えば、バンドが東京ドームでライブをやらせてもらって、世間的には割と中堅的なところに差し掛かっているのですが、お芝居に関しては自分のなかではペーペーのつもりなんです。でも世間的に「初心者じゃないよ」と思われても仕方ない部分はあって。そこにお芝居をする自分が追い付いていない感じが結構危険だなと思っています。だから常に「崖っぷちだぞ」という危機感を持ってやっていますね。
井口:僕はミュージシャンですが、楽器を弾くのではなく歌うのが職業なので、言葉を扱うという意味で、演じるという仕事との共通点は感じています。もともと僕は気持ちで歌うみたいなタイプではなかったのですが、お芝居をするようになって、より一層言葉について考える時間が増えた気がします。もっと言葉の力を信じたいなとも思っています。
井口:僕は結構ドライだと思います。自分自身のことをあまり人に知られたいと思わないので、相手のこともそこまで知りたいとは思わないかもしれません。どちらかというと人間関係は受け身なので。自分から飲みに誘うこともほとんどないですね。
馬場:知りたい部分もありますが、私も全部は知らなくてもいいかな。好きだからこそ、あまり深いところまで見たくないという思いもあります。まあ相手のことすべて知るなんて無理ですしね。
井口:時と場合によりますよね。でもいまの職業的には、やっぱり常に変化していかなければいけないとは思います。でもあまりその辺は意識していないですね。常に変化しなければと思うことで、過去の自分に追いかけられて苦しむだろうし。一つ心掛けているのは、あまり短期間で多くの作品に入らないことかな。忙しくて全然本気で取り組めないみたいなのって嫌じゃないですか。
馬場:もちろん、変わってはいけないこともありますが、基本的に変わることはポジティブに考えています。モデルの仕事って、誰かによって変えられる仕事でもあるので、すべてをゆだねて変えてもらえるというのも楽しいことだなとは思います。
(text:磯部正和/photo:小川拓洋)
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