1963年4月27日生まれ。奈良県出身。88年、雑誌「メンズノンノ」、パリコレのモデルとして活動後、俳優デビュー。数々のテレビドラマや映画に出演し、重厚な演技でファンを魅了している。主な出演作に『アンフェア』シリーズや『サヨナライツカ』(09年)、『THE LAST MESSAGE 海猿』(10年)、現在公開中の『テラフォーマーズ』(16年)などがある。
ドラマ『クルマのふたり〜TOKYO DRIVE STORIES』加藤雅也インタビュー
車中を舞台に、共演の平山あやと大人の会話劇を繰り広げた加藤雅也が役作りについて語る
車中を舞台に“ふたり”の人生の断片を描くショートドラマ『クルマのふたり〜TOKYO DRIVE STORIES』。BS12ch TwellV(トゥエルビ)にて隔週土曜20:00〜20:30(初回放送の翌週土曜20:00〜再放送)に無料放送中で、1話完結、全10話、毎回異なるキャストが“ふたり”を演じている。
その最終回を飾る第10話『突然の訪問者』(3月3日放送)は、加藤雅也と平山あやを主演に迎えた大人の会話劇。運転席の商社マン広瀬(加藤雅也)を助手席の若い女性・千秋(平山あや)が睨みつけているシーンから始まり、“別れ話”を軸にスリリングな物語が展開される。メモを読み上げながら別れを切り出すという奇妙な行動に出る広瀬を演じた加藤に、密室劇ならではの面白さや映画と舞台の違いなどについて話をうかがった。
加藤:動きのない限られた空間ですから、2人のセリフのやりとりだけではつまらないので、何かを起こさないといけない。風景に見えていないものを言葉で表現していかないといけなくて、それは舞台に近い感覚でしたね。
舞台だと、そこに雪は降っていませんが、「あ、雪だ」と演じることで、見ている人に雪を感じさせますよね。それと同じように、この物語の要となる「瑤子」という人物は実際には出てきませんが、彼女が見えてくるようにしなければいけないな、と。そういう部分での難しさはありました。
あとは、生の会話を重視しようということで、ふつうなら「セリフを噛んだ」と言われる状態のときでも、撮り直しはせずに、それも味として受け入れられたところも舞台と近かったですね。舞台では「相手のセリフを食ってもいい」と言いますが、そういう意味でも芝居として面白かったです。
加藤:商社マンとしての役作りは特にありませんが、広瀬の内面の変化を意識しました。彼は同僚に頼まれ、その人の代わりに千秋に別れ話を告げるのですが、最初はいつものように話をまとめればいいや、と思っているんですね。43歳の商社マンである広瀬にとっては20代の女性である千秋はガキのようなもので、完全になめてかかっているんです。
それに、“不倫は男も悪いけれど、あんただって同意したんでしょ?”って、蔑んでる部分もあったんだろうけれど、意外にも千秋が本音でぶつかってくるので、この女性に対して真剣に向き合わないといけないな、と思うわけです。1人の人間として、対等に接するようになるんですね。ごまかそうとしている自分を見透かされているというか、だんだんと相手に感化されて、最後には広瀬の本心が出てくるんです。
加藤:以前に韓国映画の『風のファイター』という作品で共演していますが、あのときは絡んでいなくて、一緒にキャンペーンを回っただけでした。今回、初めて共に芝居をして、彼女はストレートにぶつかってくる感じだったので、非常にいい会話ができたなと思います。助けられましたね。
加藤:アドリブというほどのものは無かったです。ただ、セリフを一字一句間違えないように言うというよりは、彼女は彼女の感情のなかで僕に言わなければいけない内容を言ってくれて、それを聞いて僕も返す、といった感じだったので、自分の言葉で演じているところもあります。
加藤:やっぱり自分で伝えるべきだろうと思いますよね。でも、広瀬は人間としてどうのこうのというより、仕事として引き受けたんでしょうね。そういうことは社会ではよくあるんじゃないですか、恋愛問題に限らずね。ある人でないとできない大きな仕事があったとして、その人に能力を発揮してもらうためには仕事の邪魔になるようなことは片付けておかないといけない、みたいな。
でも、広瀬は千秋と話すうちに、自分がしていることは間違っているのではないか、会社人間としては正しいことなんだろうけれど、人間としてはどうなんだろうと思うわけですよ。そういう葛藤が見ている側に伝わっていればいいなと思います。
加藤:これまでお話したような広瀬の内面の変化ですね。また、“実は千秋は瑤子なのか、瑤子ではないのか”という疑問の答えをはっきりと示さないことでちょっとしたミステリーになっているので、見終わった後に「どっちなんだろう」と考えるのを楽しんでいただきたいですね。
加藤:台本を読んだ限りでは、人物は一緒なんですが、違う物語として見たほうがいいかもしれません(笑)。ひとつ言えるのは、第10話のなかで、千秋が「広瀬さんって、コブ持ち?」と尋ねるシーンがありますよね。妻子がいるのかどうか、ってことなんですけれど、そこに関しては謎が解けます。単純な続編ではないけれど、また違う1本のドラマとして、かなり深い話になっていますよ。
加藤:舞台は立ち続けないといけないので、アスリートのような生活になります。舞台と映画は、似て非なるものなんですよ。舞台は稽古で何度も何度も同じことをして積み上げていきますが、映画だとリハーサルの後にすぐ本番ということもあるので、後から「こういう風に演じればよかったな」と思うことは舞台のときのほうが少ないです。もちろん両方楽しんでやっていますよ。
加藤:あぁ、あのときは“ミッキーはどこに行ったんだろうなぁ”って話していたんでしたね(笑)。当時、彼は消えかかっていたけれど、その後、『レスラー』でやっと戻ってきてくれました。でも、あんなに風貌が変化した人もそういないですよね(笑)。
衣装提供:HUGO
(text&photo=秋山恵子)
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