1979年神奈川県横浜市生まれ、埼玉育ち。埼玉県立熊谷高校を卒業後、日本大学藝術学部映画学科に入学、『OBSESSION』と『SEVEN DRIVES』がそれぞれ「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」のオフシアター部門に入選。大学を卒業後、『JAPONICA VIRUS ジャポニカ・ウィルス』(06)にて長編映画監督デビュー。『SR サイタマノラッパー』(09)では「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」のオフシアター・コンペディション部門でグランプリを受賞。動員記録の塗り替えや異例のロングランなど、インディーズ映画界に旋風を巻き起こす。続編の『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライムスター』(10)、『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールが鳴り止まないっ』(11)でも高い評価を得て、2012年4月から放送のTVドラマ『クローバー』(テレビ東京系)の演出も手掛けている。
『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』入江悠監督インタビュー
これでシリーズ最終章!? 『SR サイタマノラッパー』シリーズ入江悠監督が最新作に込めた思い語る
異例のヒットとなった青春ヒップホップムービー『SR サイタマノラッパー』。インディーズ映画界に大旋風を巻き起こした同作の舞台は、タイトルのとおり埼玉。そして続編となる第2弾『SR サイタマノラッパー2〜女子ラッパー☆傷だらけのライム〜』では舞台を群馬に移し、今回第3弾は栃木を舞台に『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』で「北関東3部作」のフィナーレを迎えた。
今回の主人公は『サイタマノラッパー』にも登場したマイティ(埼玉のヒップホップグループ「SHO-GUNG」の一員)で、同メンバーのIKKU、TOMをはじめ、『ムカデ人間』の北村昭博、ベテラン女優の美保純など豪華な顔ぶれを揃え、シリーズ初となるライブシーンや大掛かりなフェスティバルシーンなどに挑戦した。
そんな入江悠監督に、今回舞台になる栃木について、3作つくり続けたシリーズへの思いや撮影の苦労、そして今後のさらなる構想などを語ってもらった。
──まず今回は「SHO-GUNG」第3の男マイティが主演ですが、1作目の『SR サイタマノラッパー』でフェイドアウトしながらもインパクトを残した彼を最大限に生かしました。このキャラクターをここまで膨らませるに当たってどのような掘り下げ方を?
入江:埼玉の「SHO-GUNG」というキャラクターを、埼玉に残った側と東京に行った側で対比したいなと思いました。それで、(東京に)行った側としてマイティをピックアップしました。ヒップホップのシーンに入って行くしんどさを描きたかったというか、それはヒップホップだけに限らずですが。
入江:そうですね、僕の場合は映画なんですけど、いわゆるメジャー的な物を思考するしんどさみたいなことを考えてました。
入江:そうですね、自分のやってることが人に届くのかとか、見てもらえるか聞いてもらえるかって思ったりするのは音楽とか映画に限らずいろんな表現とか仕事に携わっている人に共通することだと思うので。みんなどこかしら歯がゆさとかを抱えていると思いますね。
入江:普通の人はだいたい折り合いつけて少し妥協して、少し自分の大事な物を譲ったりしてやっていくと思うんですけど、このマイティという主人公の場合はそこが不器用だと思います。
入江:埼玉って海がないっていうのが一つの閉塞感の象徴だったので、海がない3県ということで群馬、栃木と。まぁ、自分の親父の地元が栃木だったのでよく栃木に行ってたんですよ。
入江:そうですね。僕が小中学生の頃、埼玉よりも栃木の方がヤンキー文化が強く残っていて、暴走族の名残とかも強かったのでなんとなくそこら辺ですね。茨城もそうかもしれないですけど、栃木って自分にとって埼玉、群馬の次に馴染みがある県ですね。方言も含めてね。
入江:はい、元々(2人は)東京で出会っているんですけど、福島から出てきて東京で生活している女の子っていう設定だったので、その後震災が起きて、福島って別の意味を持ちだしたんですけど、最初に考えた設定を変えたくないと思って。
入江:マイティたちの上の世代の人ということで、説得力がある人に出演していただきたいなと思っているとき、キャリアがあり、この世界観を理解してくれるであろう美保純さんにダメ元でオファーしました。そしたら脚本を気に入ってくれて「やります」って言って下さったんです。
入江:昔から東映のプログラムピクチャーや深作欣二監督の作品が好きでした。そういう昔の手触りのものを作ってみたいというのがあったので。ピラニア軍団とか、そこまで油っぽくはないですけどね。
入江:ああいうの好きなんですよね。『俺たちに明日はない』もそうですし、『ガルシアの首』もそうですし、なんか逃げてはいるんだけど、爽快感もあったりして。
入江:彼らの人生は続いていくので、カメラを向けたくなったときにはやりたいとは思います。
入江:その辺は小説版「サイタマノラッパー」の方に結構書いたんですけど、確かに自分でも見てみたいですね。
入江:そうですね。確かにエピソード0的なこともやってみたいですね。
(text&photo=じょ〜い小川)
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