1968年12月20日イギリス・ロンドン出身。コメディアンとしてキャリアを積み、テレビやラジオで主に活躍。同じくコメディアンのアダム・バクストンとコメディデュオ「アダム&ジョー」を結成。このサブカル中毒コンビがホストをつとめるテレビ番組『アダム&ジョー・ショー』は、1996年に放映されて以来カルト的な人気を集め、チャンネル4やBBCといった地上波でも放映された。2003年には『アダム&ジョー東京へ行く』という30分番組を制作。6週間もの間東京に滞在し、日本のサブカルチャーを紹介した。本作『アタック・ザ・ブロック』(11年)で監督デビューを飾った後は、テレビ脚本家として著名なスティーブ・モファットと『ホット・ファズ俺たちスーパーポリスメン!』の監督エドガー・ライトと共に『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』(11年)の共同脚本を手がけた。また、エドガー・ライトの次回作『Ant-Man』には脚本で参加する予定。
『アタック・ザ・ブロック』ニック・フロスト&ジョー・コーニッシュ監督インタビュー
『宇宙人ポール』のニック・フロスト、新作で監督との仲良しぶりアピール!
宇宙からやってきたエイリアンどもが襲いかかるのは、ホワイトハウスでもマンハッタンでもなく南ロンドンにある低所得者用の公共団地。彼らを迎え撃つのも、米軍でも特殊部隊でもなく、この団地に住む5人の不良キッズという、これまでのエイリアン映画とはガラリと異なるシチュエーションも魅力的なのがSFアクション映画『アタック・ザ・ブロック』だ。
『ホット・ファズ』『スコット・ピルグリム』のエドガー・ライトが製作総指揮をつとめるこの異色作で、初メガホンを取ったのはライトと共に『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』の脚本を手がけたジョー・コーニッシュ監督。さらに、ライト監督映画常連で、『宇宙人ポール』などでサイモン・ペッグとコンビを組み、独特の笑いを醸し出してきたニック・フロストも出演。
今回は、そのコーニッシュ監督とニックが来日。沖縄国際映画祭の後に東京にやって来た2人に、仲良しに見える2人の関係や撮影裏話を語ってもらった。
監督:もともと80年代の映画を見て育った年代なんですね。ということもあって、『E.T.』や『グレムリン』のような現実とファンタジーを組み合わせたような映画が大好きだったんです。加えて、『ウォリアーズ』や『ストリート・オブ・ファイヤー』といったギャング映画も大好きだったので、そういった要素に、自分の生まれ育った南ロンドンという要素を組み合わせてみたんです。
ニック:出会いについてはハッキリとは覚えていないけど、24〜25歳の頃かな。たぶんエドガー・ライトを通して知り合ったと思うけど、もともとジョー(監督)はコメディアンで、僕は『アダム&ジョー・ショー』という監督の出演するコメディショーの大ファンでもあったので、彼のことを知っていて友人になったんだ。
で、出演オファーだけど、今回僕が演じたロンという役は当て書きで、(監督から)本を渡され「よかったらやってほしい」と言われたんだ。読んでみて、すぐに気に入ったね。(ジョークで)実は、スーツケースにいっぱいの札束を見せられたんだ。それでも足りなかったので1回突き返したら、新たに上積みしてくれ、この金額ならできるよってOKしたんだ(笑)。
監督:ニックのことは『SPACED 〜俺たちルームシェアリング〜』というテレビシリーズや、『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ』といった映画を見て大好きだった。2001年にニックと2人でイギリスのトーク番組に出演したんだけど、これも予めニックが出演すると知っていたから出たというくらい(ニックのことが)好きだったんだ。
今回この映画では、ニックが演じたロンが唯一スターを配役できる役だったので、「これはニックしかない」と思ったんだ。ほかを考える余地すらなかったね。
ニック:そういうことはなかったね。以前に一緒に仕事をしたことがあったというのもあるけど、正直、ケンカしたことがないかも。僕がケンカする相手は奥さんか、サイモン・ペッグだけだね。(ジョークで)それに監督とは激しいセックスもしている仲だし(笑)。
監督:今回はアクションシーンが多かったので、撮影現場でも次から次とやらなければいけないことが出てきたため、ふざけている余地がなかったっていうのが本音かな。それに何人もの10代の若い俳優と仕事をしていたので、僕たちがちゃんと大人らしく振る舞わないと、悪いお手本になってしまうという面もあったし。
監督:イギリス映画は王室の話か裕福な話、あるいは逆に、貧困層や社会問題を扱った作品と、両極端なタイプの映画が多いと思う。この作品に関しては、イギリスと同じ問題を抱えている若者が多いという意味で、ほかの国という設定もあり得たかもしれない。けど、イギリスは公団育ちの低所得者層キッズたちに対して結構偏見がある。そこに触れたいと思っていたので、イギリスを舞台にする必要があったんだ。
──ニックさんの1つ前の出演作はコメディの『宇宙人ポール』。今回はSFアクションではありますが、どうしても『宇宙人ポール』の役とがかぶってしまい、コミカルなキャラクターに見えました。今回のロンを演じるに当たって、コミカルな部分は意識したのでしょうか?
ニック:ロンという役はちょっとおバカであまり物事が見えていないところがありますが、別に本人がコメディアン的な資質がある訳ではないんですね。今まで演じてきた役も同じで、その人がコミカルというのではなく、ある状況に置かれたことで、その人が笑えてしまうという役が多いんです。そういった意味では、追求しているのはあくまでもリアルさと自然であることなんです。
監督:実は20代の自分をベースしたキャラクターが(資料を見せながら)このハッパを嗅いでるブルースなんです。でも少年のときは、1番小さなペストに近かったかな。結構おしゃべりだったし。本当は(キッズたちのリーダーで主人公の)モーゼスって言いたいんだけど、ウソになるからね(笑)。
ニック:僕は恐らく(自分が演じた)ロンかな(笑)。まあ、イタズラ好きな子どもだったのでペストかな。昔に比べたら、歳とともにイタズラは減ったけどね。
監督:モーゼスのキャラクターと彼の旅路ですね。この映画を通して成長し、変わっていく姿をきちっと見せなければと思っていました。セリフがあまりないので、演技を通してそういうことがちゃんと伝わるかどうかというのが心を砕いたところです。
ニック:ロンは確かにコメディ要素のあるキャラクターですが、だからこそ、リアルであることに1番気をつけました。ロンはキッズたちと関わるので、彼らがちゃんとロンというキャラクターと仲良くなれるかとか、そういう関係性をリアルに感じてもらえなければ成立しないと考えたので、細心の注意を払うようにしました。
(text&photo=編集部)
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