1963年1月5日生まれ、中国河北省出身。『芙蓉鎮』(86年)、『紅いコーリャン』(87年)などで俳優として活躍。94年に脚本も手がけた『太陽の少年』で監督デビュー。各国の映画賞で高い評価を得た。監督2作目となる『鬼が来た!』(00年)では脚本・主演・監督を兼務。カンヌ映画祭でグランプリを獲得したが、中国当局の検閲を通さなかったためその後5年間、国内での映画製作禁止処分を受けた。
義侠心に富むギャング集団のボスが、金と暴力で街を支配する独裁者に立ち向かう様子を描いた『さらば復讐の狼たちよ』。中国では『レッドクリフ』シリーズや『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズを超えるヒットとなり、中国映画の歴代興行収入No.1を記録したアクションドラマだ。
独裁者を演じたのは中国映画界を代表するトップスター、チョウ・ユンファ。対するギャングのボスを、本作の監督も兼務したチアン・ウェンが演じる。監督デビュー作『太陽の少年』がヴェネチア国際映画祭などで高く評価され、2作目となる『鬼が来た!』でも、キャストの香川照之と共に高い評価を受けカンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。中国映画界を牽引する存在のチアン監督が自作について語った。
監督:素晴らしかったよ。プロの役者ほど仕事に対して責任感があるから、一緒にやりやすいんだ。
監督:今では、自分で書いて監督し、自分で演じることに慣れてしまったんだ。でも、兼務するのは楽しさよりも苦労のほうが少し上回るかな。まぁ、苦労と言っても、撮影時に天気が悪くて予定通りに撮れないとかそういうことで、創作の苦労は特にないけどね。もちろん、条件さえ合えば、別の人の映画にも出るよ。
監督:主人公でギャングのボスであるチャンと弟分と、合わせて7人だからそう言われるんじゃないかな。実際は『七人の侍』とはあまり関係はないよ。だって、『七人の侍』は主人公たちが盗賊と闘う話で、チャンたちは自分たちが盗賊なんだから。
監督:わからないな。考えたこともない。ただ、前作(『陽もまた昇る』07年)を「分からない」と言われたので、今回は誰でも分かる映画にしようと思ったんだ。それが興行収入を考慮したせいだと言うなら、「分かる映画」ということについて、我々も観客も、もう一度よく考えないと。
監督:(映画の舞台となった)20年代の中国には中洋折衷が多かったが、洋には西洋も東洋も入る。中国は、東洋、つまり日本の影響も受け、西洋のものも、多くは日本を経て伝わってきた。つまり、中国は日本のものをたくさん取り入れてきたんだよ。だから、日本のものが社会のあちこちにごく普通に存在した。実は、中国の観客の多くは、あれを日本の和太鼓だとは気づいていないんだ。若い人ほどそうで、日本のものだとは意識していない。20年代も同じだったんじゃないかな。
──あなたは『鬼が来た!』(00年)で中国当局から処分を受け、俳優活動を一時やめざるをえませんでした。また、監督としても『陽もまた昇る』(07年)まで5年間、撮ることができませんでした。中国で映画を撮る難しさや利点についてはどう感じていますか?
監督:利点は人が多いこと。映画館も多くて、しかもますます増えている。それ以外はすべてマイナス要因だよ。
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