1967年2月19日生まれ、アメリカの自治領・プエルトリコ出身、ペンシルバニア育ち。大学在学中に俳優を志し、『ユージュアル・サスペクツ』(96年)で注目を浴びる。『トラフィック』(00年)で、プエルトリコ人としては初となるアカデミー賞(助演男優賞)を受賞。『21グラム』(03年)でもアカデミー賞にノミネートされた。『チェ』二部作(08年)でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞。その他、『007 消されたライセンス』(89年)、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(14年)、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(17年)、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(18年)などに出演。
世界で最も美しい島と言われるキューバの首都、ハバナ。文豪アーネスト・ヘミングウェイも愛したこの街を舞台にした『セブン・デイズ・イン・ハバナ』は、7人の監督がハバナ市民の日常を切り取った珠玉のアンソロジーだ。
監督したのはベニチオ・デル・トロ、パブロ・トラペロ、エリア・スレイマン、フリオ・メデム、ギャスパー・ノエ、フアン・カルロス・タビオ、ローラン・カンテの個性豊かなクリエイターたち。
本作で監督デビューを果たしたオスカー俳優デル・トロに、本作に込めた想いを語ってもらった。
デル・トロ:そうい訳ではないんだ。ただ、20数年間、俳優をやってきて、撮影時に「自分だったらこのアングルで撮るのに」とか「自分だったらこういう展開にするのに」などと考えたりすることがあったので、今回、監督したのは自然な流れかもしれないね。
段々と登場人物を演じるだけではなく、全体的に関わってみたいと思うようになったんだ。ある朝、突然、監督になりたいと思ったわけじゃないんだ。
デル・トロ:監督してみたいと思ったのは、亡くなった新藤兼人監督と出会い、影響された時期でもあるんだ。ただ、今回は短編だったので、まだ“きちんとした監督”になったとは思っていない。2時間くらいの長編を撮らないと、監督になったとは言えないよね。
デル・トロ:ある程度、思ったようにできたと思うけど、ポストプロダクション(撮影後の制作段階)には予想よりも手こずったかな。ただ、それが物語を形成する重要な要素なので、ものすごく楽しかったんだけどね。
デル・トロ:プロデューサーから「これからの数年間で、ハバナは急速に変化するはずだ。歴史的に重要な時期を迎えたハバナという街の魅力を残すのは今しかないからキューバを舞台にした映画を作ろうと思うんだけど、今回は監督として参加しないか」と誘われたんだ。さっきも言ったように監督業に興味があったので、「じゃあ、やってみようか」と。
デル・トロ:主人公のテディは、初めてキューバに降り立ったアメリカの俳優なんだ。私自身も初めてキューバに来たアメリカの俳優だったので、主人公とは多くの類似点がある。言葉の障壁やカルチャーチョックなどだね。
主人公は、最初は戸惑いながらも徐々にキューバ人の気質を受け入れ、キューバが好きになっていく。たとえ経済的に厳しかったりいろんな問題を抱えていたとしても、キューバに住む人々は、それを踏まえながらみんなで一緒に生きようとしている。それは、多くの国が失ってしまった大切なことなんだけど、キューバにはまだ残っていると思うんだ。
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