『るろうに剣心』佐藤健インタビュー

累計5700万部を超える大人気コミックを実写化した映画『るろうに剣心』。連載から13年が経過してからの実写化に、プロデューサーをはじめ関係者が口をそろえて「剣心を演じられる役者が現れたから」とその理由を述べたという。

緋村剣心を演じられる唯一無二の役者・佐藤健が、本作に賭ける意気込みや心酔する大友啓史監督への想いを語った。

佐藤：最初に（出演の）話を聞いたときはびっくりしました。まだ初期の段階では（映画化されるということは）決定していなかったのですが、うまく実現したらいいなという思いはあって、いつも頭の片隅には（「るろうに剣心」の映画化のことは）ありました。そして最初に話を聞いてから2年以上たち、大友監督と出会えてやっと実現しました。僕自身が原作のファンだったので、嬉しい気持ちが7割、ファンが多い作品なのでしっかり演じきらなくてはいけないという覚悟が3割でしたね。

佐藤：大きいですね。それまで映画化の話があってもできないというか、難しいんじゃないかっていう雰囲気があったのですが、大友監督と出会えて、脚本が完成して「これはいけるかもしれない」という感じになり、実現したんです。

──大友監督の魅力とは？

佐藤：（2010年NHK大河ドラマ、岡田以蔵役として出演した）「龍馬伝」でご一緒させていただいたのですが、そのときの現場と変わらず、役者に最高の環境を与えてくださる監督さんです。場所・照明・衣装……最高の舞台で僕たちに自由に演じさせてくれる。まずその時点で大友組は特別ですね。自由という部分で責任もありますが、楽しいしやりがいある現場です。

佐藤：否定的な意見があることはしょうがないことだと思います。僕たちは自分を信じてやるべきことをやっていくしかありませんからね。完成した作品はすごい映画になっていますよ。日本映画では見たことのないような映像になっていますし、大友組ならではの世界観、格好いいエンターテインメント作品に仕上がっていると思います。

佐藤：細かいことはいろいろありますが、1番意識したことは憧れのヒーローでなくてはならないということ。剣心はとにかく、無敵で最強でなくてはならない。特にアクションシーンは、気合を入れて臨みました。

──「アクションが格好悪かったら役者生命が終わるくらいの覚悟で演じる」と仰っていた言葉が印象的でした。

佐藤：そこは重要だと思ったので、とにかく時間の許す限り（殺陣の）練習はしました。ただ体力的にはきつかったですね。もともと普段から運動はしないので、自分の体力のなさに驚きました。高校生ぐらいからジワジワと衰えている感じがしますね（笑）。

佐藤：本当にすごい方々と一緒にやらせて頂いているなという実感はありました。（出来上がった）映画を見ても、その印象は強かったですね。実際、本当にみなさん格好いいし、怪演だし……。そのなかに自分がいられるということはすごく嬉しいことです。

佐藤：地球規模で考えると、みんなが毎日ご飯を食べられ、安心して寝られて……ということができれば、それが幸せなんだろうなって思います。僕自身、今はとても充実しています。この作品に出会えたことも、とても幸せなことだと感じています。

佐藤：小さい頃は人とあまりしゃべれず、友だちのお母さんとかにも挨拶できないぐらい人見知りな子だったんですよ。小学校高学年のときに少年野球を始めて、それから変わりましたね。中学も野球部に入っていたので（体育会系の環境で）挨拶とかはちゃんとできるようになりました（笑）。役者になってからは、色々と物事を考えるようになりましたね。「何のためにこれをするのか、もっとこうしたら良くなるんじゃないか」とか。昔はあんまり考えずに行動していましたから（笑）。

(C) 和月伸宏／集英社 (C) 2012「るろうに剣心」製作委員会

──最近、舞台初挑戦で「ロミオ＆ジュリエット」のロミオ役、映画では大人気コミックのヒーローである剣心役を演じましたが、今後どのような役を演じてみたいですか？

佐藤：映画の仕事はやっていきたいですね。やりたい役はたくさんあります。例えば舞台で「ロミオ＆ジュリエット」をやっていたときなどは、話の内容も少し重かったので、楽しい感じのコメディをやりたいと思っていました。あとは妖怪とかロボットとかヴァンパイアみたいな人間じゃない役もやってみたいですね。

佐藤：格好いいエンターテインメント作品に仕上がっていると思います。日本映画ではなかなか見ることができないような映像と音楽のクオリティです。見て損のない映画だと自信を持って言えます。

（text＆photo＝磯部正和）