今、もっとも期待されている台湾の若手スターのひとり。1984年9月25日生まれ。台湾人の人気タレントであるチャオ・シューハイを父に持つ。カナダのビクトリア大学を卒業後、ツァイ・ユエシェン監督がメガホンをとったテレビドラマ『ブラック&ホワイト』で主演デビューを飾り、同作品で09年度の台湾金鐘奨(台湾版エミー賞)ドラマ部門の最優秀主演男優賞を受賞した。10年には、『モンガに散る』で映画主演デビュー。その他の出演作に、『LOVE』、『First Time』、チェン・カイコー監督作『Caught in the Web』(共に12年)などがある。
『ハーバー・クライシス<湾岸危機>Black&White Episode1』マーク・チャオ インタビュー
台湾のアクション超大作に主演した若手スターを直撃!
台湾の大都市ハーバー・シティを舞台に、熱血新米刑事とチンピラのコンビが悪の組織に立ち向かうアクション映画『ハーバー・クライシス<湾岸危機>Black&White Episode1』。その日本公開に先立ち、主演のマーク・チャオが来日し、インタビューに応じてくれた。
この作品は2009年度に台湾で視聴率NO.1を記録した刑事アクションドラマ『ブラック&ホワイト』の映画版。テレビドラマは、プレイボーイと熱血刑事という相性最悪のコンビが主人公で、当時まだ新人俳優だったマークは熱血刑事のウー・インション役を好演したことで台湾金鐘奨(台湾版エミー賞)のドラマ部門の最優秀主演男優賞に輝き、一躍、トップスターの仲間入りを果たしたのだった。あれから数年を経て、ドラマ版の3年前という設定で再びインション役に挑んだ心境や派手なアクションシーンの撮影裏話などをマークに聞いた。
マーク:今回はアクションに力を入れました。大きな作品なので、テレビドラマのときよりもアクションを大きく格好良く見せないといけないからです。
マーク:スタントを使わなかったのは、ツァイ・ユエシュン監督にそういう考えがなかったからです(笑)。監督はとにかく真に迫った演技を求めていたんです。僕たちがスタントなしで自ら演じることで、「つらい」「苦しい」などさまざまな表情を撮ることができると考えたのでしょう。
マーク:みんなそれぞれケガをしましたが、僕のケガで1番痛かったのは、転んだときに腰椎を激しく角にぶつけたことですね。
マーク:はい。でも、僕より悲惨だったのは悪役(謎の軍人集団バーマー兄弟役)を演じたSOLER兄弟で、戦うシーンの撮影時にカメラに額をぶつけて切ってしまったのですが、傷を縫って演技を続けていました。
マーク:冒頭の強盗を追いかけるシーンで、車を降りてから走って橋に上がり、そこから走行中のトラックに飛び降るところはワンカットで撮っているのですが、自分では気に入っています。たしか19回撮影しましたが、建物なら4階くらいの高さの橋から何度も飛び降りるので、繰り返しているうちに足が萎えてくるんです。飛び降りる位置やタイミングを把握しておかないと、走ってくる車にぶつかってしまうので、とても難しかったですね。
マーク:あのシーンを撮ることは、その日の朝に監督から指示されたんですよ。「車から降りて、走ってきて、それから橋から飛び降りるんだ。車が時速60キロくらいで走ってくるから、その上に飛び降りてね。OK?」ってそんな感じです(笑)。監督はまるで「コンビニに行ってパンとコーヒー買ってきて。OK?」というのと同じような言い方で、危険なシーンを撮るんです!
マーク:監督は元々俳優だったのですが、そのときに多分、アクションをやりたかったんだと思うんです。でも、アクションをやるには年齢的に無理になってきたので、彼の若い頃の夢を僕に押しつけているんだと思います。僕に演じさせることによって、監督自身の長年の夢を実現しようとしているんじゃないですかね(笑)。
マーク:打ち合わせなどはなくて、「撮るから来てね」と。監督とは普段から仲がよいので、そんな感じでいきなり連絡がありました。互いにわかりあっていて気心が知れているので、僕は監督が求めているものがすぐにわかりますから、話が進むのも早いんです。
マーク:今回はドラマの3年前の話ということもあり、ロボットのようなイメージで役を作っていきました。また、ホァン・ボーさん(インションの相棒となるチンピラのシュー・ダーフー役を演じた中国の人気コメディアン兼俳優)と共演したことで、テレビ版にはなかったインションのコミカルでちょっと可愛らしい部分も見せていきました。
マーク:ありますね。正義感が強くて、わりとストレートで、物事の筋道がはっきりしているところとか。
マーク:そこまで衝動的ではないですが、インションのキャラクターから僕自身が影響を受けた部分もあります。インションを演じてから、困っている人がいたら助けたくなることはありますね。
マーク:何か雰囲気的によくないことがあると、すぐに正したくなるようになりました。また、高いところに立って下を見ていると、ここから飛んでも大丈夫だな、と思うことがありますね(笑)。
マーク:役者として、新しい役柄にチャレンジしていきたいという気持ちはいつもあるので、そろそろインションの型を破りたいかな、という気持ちはあります。インションという人物はあまり大きな変化が出せない役なので。ただ、今回の作品では、ホァン・ボーさんと共演したことで、テレビとは違ったコミカルな雰囲気が出せたと思います。
マーク:皆さん、こんにちは、マーク・チャオです(日本語で)。日本にプロモーションに来ることができてとても嬉しいです。この『ハーバー・クライシス』をぜひご覧になっていただきたいです。台湾の映画のなかでも特別で、規模の大きな作品ですので、作品を好きになっていただけたら嬉しいです。
(text&photo=秋山恵子)
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