1975年4月16日生まれ。京都府出身。福田充徳と共にお笑いコンビ・チュートリアルとして98年に初舞台。ABCお笑い新人グランプリ優秀新人賞、上方漫才大賞新人賞などを獲得。06年にはM-1グランプリ王者に輝く。バラエティ番組で活躍する一方、吉本男前芸人殿堂入りの風貌を活かし、俳優業にも進出。出演歴はTVドラマ『アンナさんのおまめ』(06年)、『カレ、夫、男友達』(11年)、映画『天国はまだ遠く』(08年)、『お墓に泊まろう!』(10年)など。本作で映画単独初主演。
若き鬼才・熊切和嘉監督がまたスゴイ作品を誕生させた。主演は徳井義実。お笑いコンビ・チュートリアルとしての人気が高いだけでなく、俳優としても活躍する彼が、地毛を金髪に染め上げて元暴走族トップの中年男・火野鉄に扮するヒューマンアクション『莫逆家族 バクギャクファミーリア』は、企画発表当初から話題をさらっていた。
かつてのインタビューで「アクション系は絶対に無理」と語っていた徳井。だが、本作では肉体改造の末にバリバリのアクションを披露し、燃えたぎる内面や哀しみまでも伝えてみせる。錚々たるメンバーのなかで主演を見事につとめあげた徳井が撮影を振り返った。
徳井:正直、ヤバイなと思いました(笑)。これはヤバイと。
徳井:監督ですね。熊切監督の人柄です。僕、すごくヤンキー的なものはムリやと思ったんで、迷惑がかかったらアカンから、「ちょっと考え直してもらえないですか」というスタンスでお会いしたんです。そしたら監督が「そんなこと分かってますから」みたいな感じで。あ、理解してもらっている上でのお話なんだというのと、監督の物静かな感じにすごく安心感を覚えたので。この監督だったら、ま、いっか、みたいな。
徳井:詳しくは聞いてないですね。ただちょっと聞いたのは、テレビで見ていて、目の奥に哀しみみたいなものが出ていたと(笑)。哀しい目をしてるから、鉄役が合うんじゃないかと思ったとはおっしゃってて。僕、そんな明るい人じゃないんで。根暗な感じなんで、そんなんが見抜かれたんかなと。
徳井:はい、何回か。最初は撮影序盤に泣くシーンで。汚いアパートのロケで会いました。そのときもまだ、僕でホンマ大丈夫なのかなってのがず〜っとあって。特に原作の人が納得してるのかと。原作の人は納得いってへんけど、って感じで進んだ話かもしれんし。
徳井:一応、レベルは違えど、ものを作る人間としてね。自分が書いた本に、この人じゃないのになって思いながらやられるのって絶対いやでしょ。僕らは自分の書いたネタを自分でやるからいいですけど。だから、その辺はすごく気になりました。だけど、すごくイイ方で。がんばってよ〜みたいな感じだったので。
「大丈夫ですか、僕で」とかって言いかけたときもあったんですが、今聞いて、「ちょっとね〜」とか言われたらヤバイと思ったんで。僕もハート折れるし、現場の空気も凍りつくなって(笑)。そこには触れず。後になって聞いたら、やっぱり最初はエッて思ったって。そりゃそうだろうなと思いますけど、でも出来上がりを見たら、よかったとおっしゃってくれました。
徳井:簡単にいえば、不器用な人なんでしょうね。生き方が上手くないというか。本来、大人が取るはずの対処をしない人というか。
徳井:僕の場合、撮影の外でも終始、役柄に入っているというのではなく、結構、ワンシーン、ワンシーン、積み重ねていく感じだったんです。でも父親という部分に関していうと、撮影が進むにつれて、なんとなく自分のなかの父親的な部分が芽生えてきた感じはありましたね。なんか林くんのことが息子に思えてきたというか。ラストの林くんとふたりきりのシーンは、かなりグッとくるものがありましたね。
徳井:そういう、「あの頃は、ああだったのにな」みたいな、今になって後悔するとか。「いつからオレ、こんな風になってしまったんやろ」みたいなことには、ならないように生きてきたんで。だから、ないです。
徳井:はい。
徳井:僕、感覚が鈍いのか、誰かと共演してもあんまり興奮とかないんですね。でもさすがに倍賞さんは、「うわ、倍賞美津子や!」ってなりましたよ。倍賞美津子と同じフレームに入って芝居してるって(笑)。
徳井:本当です。倍賞さんと監督のアドリブで。僕に内緒で決めてたみたいなんです。アドリブだから当然リハではビンタはなし。ビックリしてエッとかってなりそうなものなんですけど、これが、そうさせない迫力と温かみが詰まったビンタが来まして。これが倍賞だというビンタですよね。だから鉄のままでいられました。
徳井:「編集スゲー」と思いました。スピード感が出せてるんでしょうね。こういう長編の漫画原作ものって、下手したら色んなつじつま合わせや漫画の世界観を壊さずにということを意識しすぎて、ただ順を追うだけの作品になりがちじゃないですか。でもこの作品は、余計なことはいいから、とにかく突き進むって感じだったんで。監督がすごくいい世界観を作りはったなぁと。しっかり胸を揺さぶってくれる映画だと思います。
(text&photo=望月ふみ)
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