1975年8月3日生まれ、岐阜県出身。1997年にドラマ『デッサン』で俳優として始動、2000年に『YASHA―夜叉―』でドラマ初主演し、同年に『Blister』で映画初主演も果たす。2004年に主演映画『海猿 ウミザル』が大ヒットし、翌年に『海猿 EVOLUTION』として連続ドラマになったほか、映画もシリーズ化された。2015年、映画『WOOD JOB!〜神去なあなあ日常〜』で第69回毎日映画コンクール最優秀助演男優賞、第38回日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。近年の映画出演作は『燃えよ剣』(21年)、主演作『KAPPEI カッペイ』(22年)など。Netflix『エイジ・オブ・サムライ:天下統一への戦い』(21年)など海外作品でも活躍している。
生まれながらにして他人への共感能力に欠けるサイコパス(反社会性人格障害)の高校教師が、教え子たちを次々と殺していく様子を描いた『悪の教典』。貴志祐介のベストセラー小説を、三池崇史監督×伊藤英明主演で映画化、11月10日に公開されヒット中の衝撃作だ。
一方、BeeTVドラマとして話題を呼んでいるのが、映画の大殺戮の3ヵ月前を描いた『悪の教典−序章−』。映画では描けなかった原作を完全ドラマ化した内容は、人気教師が知略・謀略を張り巡らし学校を支配していく姿を描く。ニューヨークロケを敢行し、伊藤が英語のセリフに挑戦しているのも見どころのひとつだ。
この2つの作品について、主演の伊藤に話を聞いた。
伊藤:サイコパスという役は到底理解できませんが、原作を読んでいると、どこかで殺人鬼である蓮実を応援してしまっている感じがありました。蓮実はすごく純粋だし、動物的な本能を持っている。どう演じるかというよりは、三池監督やスタッフの前で心を裸にしてエネルギーをぶつけようと思いました。
また、ドラマでは映画で表現できなかった原作のストーリーを伏線的に描きたいと思っていましたが、小さなスクリーンで視聴するという環境でどう見られるのかというところを意識して、小さな画面だから誰が見てもわかりやすい作品に仕上げたいと考えていました。けれど映画を撮り終えたときに、『悪の教典−序章−』は、ドラマ的な誰もがわかる作品じゃなくていいんじゃないかなと思って、そういう意識をせずに演じました。単なる携帯ドラマのくくりからは外れてとてもいい作品になったと思います。
伊藤:嬉しいですね。
伊藤:常にニュートラルな状態。無心でいました。サイコパスはこうでなければいけない。わかりやすく表現しなければいけないって思うと、自分の幅が狭くなってしまうような気がして、そこは恐かったからこそ裸になれたんだと思います。監督は蓮実のように人を見抜く力があって、見透かされているような気がする。だから僕も裸でぶつかっていきました。監督とは(『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』以来)5年ぶりでしたが、とても愛がある方。ものの捉え方、人に対する接し方を、改めてストイックにたたきこまれた気がしました。
伊藤:『BRAVE HEARTS 海猿』がヒットした年に、全く逆のキャラクターを演じられるのは、役者として恵まれていると思います。役者を始めて13年くらいになりますが、30代になってからの面白さもあり、40代、50代もしかしたら80代まで常にいろんな面白さを感じられるのだろうと思うと本当に楽しみになってきました。
役者っていつも自信がなくて「もしかしたらできないかもしれない」って思うからこそ全力で取り組める、そうゆうのが大事だと思うんです。蓮実は、台本を読んだからといって理解できるキャラクターではなかったし、原作を丸写ししても意味が無い。「映画をヒットさせよう!」とか、「明日の撮影のためにエネルギーを残しておこう」とかそういった意識もせずに、本当に心を裸にしてエネルギーをぶつけていけばいいんだという気持ちで、出し切れるものを出し切った。そういう気持ちが今回は必要だったんだと思っています。
『悪の教典―序章―』は「dマーケット VIDEOストア」&「BeeTV」で配信中。
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