1989年7月23日生まれ、ロンドン出身。テレビ映画『デビッド・コパーフィールド』(99年)でデビュー。『ハリー・ポッターと賢者の石』(01年)から『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』(11年)に至る『ハリー・ポッター』シリーズ全8作に主演し、世界中で人気を博す。また、ミュージカル「努力しないで出世する方法」(11年)など舞台にも意欲的に出演。
およそ10年間にわたり『ハリー・ポッター』シリーズに主演し続けてきたダニエル・ラドクリフ。彼が『ハリポタ』後の第1作に選んだのが、12月1日より公開となる『ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館』だ。
スーザン・ヒルの人気小説を映画化したゴシックホラーで、19世紀末のイギリスを舞台に、愛妻を亡くし失意のどん底に沈む若き弁護士が片田舎にある陰鬱な屋敷の呪いの連鎖に巻き込まれていく様子が描かれる。
世界興収1億2000万ドル超を記録した本作で新たなスタートを切ったラドクリフに、『ハリポタ』後の変化や今後の展望について聞いた。
ラドクリフ:変化をすごく感じている。10代後半から20代前半は、人間的な成長もふくめて過渡期となる時期だと思うんだ。僕にとっても、ここ数年はまさに変化の時期で、『ハリー・ポッター』シリーズの終了はもちろん、ブロードウェイのミュージカル(「努力しないで出世する方法」)に挑戦したりと、大きなターニングポイントがあった。俳優として、今後の方向性を示せたし、今までとは違う側面を見せることもできたと思うんだ。だんだん自分の強みが分かってきたし、周囲を信頼して思い切った挑戦ができるような気がする。俳優としての自信もわいてきたしね。
ラドクリフ:やはり、父親と息子の関係をリアルに見せることかな。主人公の親子愛が伝わらなければ、観客もキャラクターに共感できないから。その点に関しては、実生活での名付け子が息子役に決まってラッキーだったよ。まったく見ず知らずの子役相手に、まるで本物の親子のような打ち解けた雰囲気を作り出すのはすごく難しいけれど、ミーシャ(息子役)のおかげで自然に演じることが出来たからね。それからもう1つ大変だったのは、ひとり芝居が多かったこと。僕が1人きりで屋敷内をうろついているだけの、セリフもまったくないシーンが大部分を占めていたから、そこはかなり気を配ったよ。脚本を読みながら、演じ甲斐のあるすばらしいシーンだとワクワクしていたんだけど、脚本に描かれたスリルや緊張感を、そっくりそのままスクリーンに映し出せるか心配だったんだ。でも監督の見事な演出のおかげで、緊迫感あふれるすばらしいシークエンスに仕上がったし、とても満足しているよ。
ラドクリフ:舞台は、本国イギリスで23年間にもおよぶロングランを続けているのに加え、世界中で公演され多くの人々に愛されているわけだから、それなりのプレッシャーは感じたよ。洗練された内容の原作といい、古典劇のような趣で高い評価を受けている舞台といい、イギリスが誇るべき名作なわけだし、映画化にあたっては原作小説や舞台劇がもつエレガントなクオリティを犠牲にしないよう心がけたよ。僕も監督も、“ハリウッドによる映画化”というだけの薄っぺらいものにはしたくないと思っていたんだ。
ラドクリフ:いわゆるハリウッド映画はほとんど経験したことがないから、何とも言えないな。『ハリー・ポッター』シリーズを、みんなはハリウッド映画だと勘違いしているけれど、あれは撮影も含めて純英国産だからね(笑)。でも撮影の進め方やスタッフといった点では、あまり違いはないと思うよ。ただ、客観的な視点で言えるのは、他の映画に比べてハリウッド映画はストーリーやキャラクターの設定などをやたら説明しがちだっていう点かな。観客が何も考えずに楽しめるようにってことなんだろうけど、裏を返せば観客の知性を信用していないとも言えるね。
ラドクリフ:正直なところ、超常現象とかお化けとかって信じてないんだよ。だから残念ながら、そういった怪奇現象にも遭遇しなかった。もしそんなことの1つでもあれば、より緊迫したムードが出て、撮影ももっと盛り上がったかもしれないのにね(笑)。
ラドクリフ:具体的に“こういった役”といったものはないけれど、色々な役柄に挑戦したいと思っている。今撮り始めた新作で演じるのも、頭から角が生えてきて悪魔に変身する男という今までにはなかった役柄だし、これからもそういった挑戦しがいのある興味深いキャラクターを模索していきたいね。
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