1968年3月2日生まれ、イギリスのチェスター出身。ナショナル・ユース・シアターとギルドホール音楽演劇学校で学び、1991年に卒業。1992年に『パワー・オブ・ワン』で映画デビュー。『愛の悪魔/フランシス・ベイコンの歪んだ肖像』(98年)でエディンバラ国際映画祭最優秀演技賞を受賞。02年にサム・メンデス監督作『ロード・トゥ・パーディション』に出演、その演技が高く評価される。6代目ジェームズ・ボンドに抜擢され、『007/カジノ・ロワイヤル』(06年)、『007/慰めの報酬』(08年)に出演。主な出演作は『ミュンヘン』(05年)、『ドラゴン・タトゥーの女』(11年)、『カウボーイ&エイリアン』(11年)など。
世界中で愛され続け、映画のシリーズ作品として世界最長を誇る『007』シリーズ。その23作目となる最新作『007/スカイフォール』が12月1日から公開される。
すでにイギリスを始め世界各国で公開され、“母国”イギリスでは第1週の週末興行成績が約2010万ポンド(約25億7280万円/1ポンド128円計算)を記録するなど、世界中でシリーズ史上最高のオープニング成績をたたき出している。
ショーン・コネリーがジェームズ・ボンドを演じた『007/ドクター・ノオ』(1962年)から50年の記念すべき年に公開されることとなった本作について、主演ダニエル・クレイグに語ってもらった。
クレイグ:サムにはものすごく大きな可能性があると思ったんだ。彼は初めて監督した映画(『アメリカン・ビューティー』99年)で、“帽子一杯分”ものアカデミー賞を獲得した。そして、サムとボンドを組み合わせるには、タイミングもちょうどいいと思ったんだ。あなたにも経験があるんじゃないかな。何杯か飲んだ後だと、タイミングが整うような気がする(笑)。あるパーティで僕は何杯か飲んでいた。同じように出席していた彼と、バルコニーで葉巻を吸いながら、伝統や映画作りについて話していたんだ。そのときに、「次のボンド映画を監督したいと思う?」と、ついポロッと口にしてしまったんだ(笑)。でもその言葉が口からこぼれた途端、それが実に理にかなったことだと確信したんだ。
もちろん、僕は仕事をオファーする立場にはない。それは(プロデューサーの)マイケル(・G・ウィルソン)とバーバラ(・ブロッコリ)の領域だからね。でもすごくいいアイデアだと思ったし、幸いなことに2人も賛同してくれた。サムはこの映画の監督に最適だとわかっていたし、彼は僕と同年代なんだ。だから僕と同じようにボンド映画を見ながら育ってきた。彼が僕と同じくらいボンド映画に情熱や強い想いを抱いていることがわかっていたんだ。
クレイグ:『カジノ・ロワイヤル』と『慰めの報酬』には伝えるべき物語があった。何よりも良かったのは、『カジノ・ロワイヤル』が007小説の1作目だったことだ。そのおかげで、自分たちは最初から出直すんだ、とちょっといい気分になれたんだ。そういうチャンスを与えてもらえた。それに、ボンド映画は『オースティン・パワーズ』にいじくりまわされただろう? ボンド映画のギャグやジョークやコミカルさ。それを、あのシリーズがすべて台無しにしてしまった。だから僕は、できる限り真実味を持たせるという目的を持ってボンド作品に取り組むことになった。
傲慢に聞こえるかもしれないけれど、僕はずっと以前から、このシリーズををある特定の形でスタートさせ、そこから昔の形に戻るような形で展開していくべきだ、と考えていた。その昔の形というのをこの作品で実現できたと思う。Qをはじめ、昔のキャラクターが戻ってきているし、他にもいくつかの要素を盛り込むことができた。たとえば、悪者の巣窟とか──それができたのは、『オースティン・パワーズ』と本作、そして『カジノ・ロワイヤル』と『スカイフォール』の間に十分な時間が経ったから、そしてユーモアに富んだセリフの入った素晴らしい脚本があったからだ。そんな風にすべてが進化している。僕は進化を感じることができた。どんな映像の作品に仕上がるのかわからないけれど、いい方向に変化したと感じている。
クレイグ:アストン・マーチンDB5で、あれは美しいクラシックカーだよ。最近の車に比べて少し運転しづらいとうか、なだめながら運転してやらないといけないけれど、素晴らしい車だ。それにおかしいほどにシリーズを象徴している。今回は、ただ単に過去作品へのオマージュとしてではなく、(アストン・マーチンが)プロットの一部になっているんだ。ちゃんと役割を果たしている。
クレイグ:ショーン・コネリーだよ。
面白いことに、彼が起用されたときは、彼の起用を疑問視する人もいたんだ。彼はスコットランド人だからね。デヴィッド・ニヴェンなど純粋なイギリス人俳優を起用すべきだという声もあった。(当時のプロデューサーである)カビー・ブロッコリはアメリカ人で、(同様に当時のプロデューサーである)ハリー・サルツマンはカナダ人だったけれど、長年イギリスに住んでいた親英派だったし、イギリス人的な一面もあった。ショーン・コネリーを見たとき、2人の目には、おそらくイギリス人のプロデューサーには見えないものが見えた。彼らには可能性が見えたんだ。そしてショーンは、アクションヒーローに対する人々の考えを根底から変えてしまった。もちろん他にも理由はいろいろあるけれど、ボンド映画がこれほど長く生き長らえている理由のひとつは、ショーンの演技のおかげだと思うよ。
クレイグ:難しい質問だね。でも本当の答えは、“長生きさせること”を考えないことだと思う。観客に好かれようと努力することでもないし、流行に乗ろうとすることでも、時代に合わせようとすることでもない。ボンドはボンドだ。誰に好かれようと、嫌われようとね。ボンドを好きな人は、彼の悪びれないところが好きなんだと思う。彼は頑固というわけではないけれど、無情に感じられるほど自立している。そこにあらゆる世代の人たちが魅力を感じるんだと思う。
クレイグ:彼女はとにかくいつも笑っているんだ。彼女は共演者を笑わせようとするんだけれど、ダメなんだ。彼女自身がくすくす笑い始めてしまうからね。僕もジュディとしょっちゅう一緒に笑っているよ。
クレイグ:『007/ロシアより愛をこめて』(63年)と『007/ゴールドフィンガー』(64年)だね。
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