1977年8月22日生まれ、神奈川県出身。93年にテレビドラマ『ツインズ教師』で女優デビュー。95年にNHK連続テレビ小説『走らんか!』の準主役に抜擢され注目を集める。主な出演作は、映画『さくらん』(07年)、『パーマネント野ばら』(10年)、『ジーン・ワルツ』(11年)など。
人気マンガを映画化し大ヒットした『大奥』。その映画第2弾『大奥〜永遠〜[右衛門佐・綱吉篇]』が、12月22日より公開される。
男女の役割が逆転した江戸時代を舞台に、1人の女将軍に3000人の美男が仕える大奥の愛憎劇を描く本作。女将軍・綱吉を菅野美穂が、大奥の権力者である大奥総取締・右衛門佐を堺雅人が演じている。
1人娘の松姫を亡くし、政治から遠ざけられ世継ぎ作りに専念させられることとなる綱吉の孤独と苦悩を熱演した菅野に、映画について聞いた。
菅野:原作の綱吉は、華麗奔放で支離滅裂。現場では、彼女の色気をどうやったら出せるかと思いながら演じていました。綱吉は女性ですが、仕事をするときは将軍であり男。反対に男の人の前では女に変わり、その変化を演じるのが難しかったです。演技をするうえで、女性らしさや女の業を表現するのは、これから先も自分にとって課題だと思いました。いまだにあのシーンはこうだったかなとか、なかなか自信を持てないまま終わってしまったような気もするんですが、監督の「OK」の言葉を信じてやってきました。
菅野:今回初めての共演だったんですが、お会いする前は、今まで堺さんが演じられた役柄のせいか、正か悪かで言うと正のイメージでした。時代劇の所作が美しくたたずまいがはまっていらっしゃって、すごく勉強なさって現場に臨まれる方だと感じました。冷静さの内側にキビキビとした情熱を感じました。歴史の本をずっと読んでいらして「学者肌なのかな」とも。そうやって時代背景などを研究されて、堺さんなりのやり方で役に還元してらっしゃるんだなと思いました。
菅野:はい、尾野真千子さんとも今回初めてで、本当に素敵な方だなと思いました。普段は愛らしい方なんですが、役に入ると迫力と色気が出ていました。尾野さんが普段お持ちのものとは違うものがパッと出てくるんですよ。一緒にやっていて、面白かったです。
菅野:西田さんとも初共演だったのですが、本当にチャーミングな方で、こういう大人になりたいなと大好きになりました。
菅野:どれだけ豪華な衣装かというのをチラッと聞いて、引きずるのがもったいないくらいの値段のものばかりだったので、素晴らしさを噛みしめながら撮影していました。たくさんの打掛も綱吉のためにデザイナー画からおこしていただいたもので、その思いが伝わってきて袖を通すのが楽しみな衣装が多かったですね。
菅野:きれいな男性がきれいな色の着物を着てきれいにしているところを、存分に楽しんでいただけると思います。大奥は閉ざされていて、ちょっと秘密めいている場所。そこを男女逆転させることによって歪みを持たせて、そのなかに一滴の純粋なひたむきさとか愛情が見える。歪んでいる世界をもっと歪ませることによって浮かび上がる何かがあるのだと思いながら演じました。
綱吉で言うなら、お父さんの呪縛。右衛門佐(堺雅人)も綱吉に思いを寄せながら距離を置き、綱吉が好きになりそうな男性を送りこむことで満足感を得る──そういったあたりも歪んでいると思います。吉保(尾野真千子)が綱吉に尽くすために桂昌院(西田敏行)に身を捧げるというのも歪んでいる。歪ませることで、より一層濃い純粋な思いや愛情が見えるのだと思いました。
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