1983年10月16日生まれ、ニューヨーク出身。メトロポリタンオペラの総帥ピーター・ゲルブを父にもち、南カリフォルニア大学映画制作過程を卒業。音楽ビデオ、短編映画、ドキュメンタリーなどの制作に携わり、『二郎は鮨の夢を見る』で初の長編映画監督に挑戦した。
世界に名だたる食通たちをうならせてきた鮨店・すきやばし次郎。銀座のオフィスビルの地下にあるわずか10席ほどのこの店が、世界中から高く評価され続けるのはなぜなのか。
初代店主の小野二郎の職人の技と人物像に惹かれたアメリカ人監督デヴィッド・ゲルブが、二郎とその息子たちの姿を通じ、彼らが作り出す“食”の芸術性、仕事への情熱をあますところなく描いたのが『二郎は鮨の夢を見る』だ。ドキュメンタリー映画としてアメリカで異例の大ヒットを果たしたこの映画について、来日したゲルブ監督にインタビューした。
監督:アメリカではお鮨は誤解されているんです。アメリカ人はアメリカにある日本鮨店でもクリームチーズの乗ったフィラデルフィアロールをオーダーしたり、江戸前鮨店でネタだけをシャリから剥がして食べたりして、お鮨を食べることに慣れていないんです。そこで、お鮨とは本当はどういうものなのかを世界に伝えるべく、この作品を撮りました。ヒットの理由は、二郎さんの鮨に対する情熱がアメリカ人にインスピレーションを与えたからだと思います。職人たちの仕事への姿勢や技を究める情熱、またそれだけでなく、偉大な父と息子たちの家族の物語として見てもらえたからではないでしょうか」
監督:私は子どもの頃から家族旅行で何度も日本に来てお鮨を食べてきました。そしてあるとき、「世界最高の鮨職人をテーマにしたドキュメンタリー映画を作ったらいいのに」と思ったんです。私は、鮨は視覚的にも最も創造的な料理で、鮨職人は最高のショーマンだと思っていたんです。
二郎さんとは、山本益博さんを通じて出会ったのですが、二郎さんに出会う前は、5〜6人の鮨職人の映画にしたかったんです。でも、お鮨の味のバランスの素晴らしさ、二郎さんの人間性に感銘を受け、彼だけの映画を撮りたい、二郎さんという人間を撮りたいと思うようになりました。
監督:オーラを感じました。インスピレーションを与える経験値、賢さが顔を見るだけで分かりました。
監督:2008年に初めて「すきやばし次郎」を訪れて、09年1月中旬に、映画を撮らせてほしいと店と交渉しました。一度は店が忙しいと断られてしまいましたが、情熱を伝え続け、10年1月に1ヵ月ほどの撮影が実現し、その後、アメリカで6ヵ月間編集作業をしました。10年8月にまた来日し、競りのシーンの撮影が実現しました。
監督:撮影中もお店は営業していたので、不便をかけたと思います。決して広くはない店内、二郎さんの仕事場である板場でカメラを持って撮影するわけですから、とにかく僕は邪魔にならない距離を取るようにしました。そして、二郎さんとの信頼を築く為にも、いつも礼儀正しくしているよう努めました。後は、例えば朝会ったときはできるだけ大きな声で「おはようございます」と挨拶したり、私たちの努力を感じてもらえるようにしました。
監督:(鮨には)ネタがあってシャリがあるだけではないと思っていましたが、あそこまで膨大な準備をしていることに驚きました。例えばタコを1時間以上も揉み続け仕込むこと。そして(鮨を)出すタイミングの確かさ。業者間のネットワークがあることにも驚きました。
監督:映像、そしてストーリーを通じて味を届けようと思いました。トロだったら脂肪分でお腹がすくように、コハダは銀色が美しく映るようにしました。どんな鮨でも視覚的に食欲がそそられるように心がけました。客は(職人たちが)裏でどれほど準備しているのか見当がつかないので、例えば玉子焼きを客に出すまでのストーリーも撮ろうと思ったんです。
監督:職人文化を知る日本人には、職人の奥深さを感じて欲しいですね。最近の若者は忍耐せずにお金ばかりを重視する人がいますが、努力することに価値を見出し、何かを極めていくことに価値があることを知って欲しいですね。
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