1941年3月16日生まれ、イタリアのパルマ出身。『殺し』(62年)で監督デビュー。以後、『革命前夜』(64年)、『暗殺の森』(70年)などの話題作を発表。72年にはスキャンダラスな性描写で話題を呼んだ『ラストタンゴ・イン・パリ』を発表しアカデミー賞監督賞を受賞。『ドリーマーズ』(03年)を発表後、病魔にむしばまれ現場から遠ざかった。その他、監督賞をはじめアカデミー賞10部門を受賞した『ラストエンペラー』(87年)、『魅せられて』(96年)などを監督。
スキャンダラスな性描写で物議を醸した『ラストタンゴ・イン・パリ』(72年)、清朝最後の皇帝の生涯を描いた『ラストエンペラー』(87年)をはじめ、数々の傑作を放ってきた巨匠ベルナルド・ベルトルッチ監督。
青春映画『ドリーマーズ』(03年)を発表後、病に倒れ、一時は引退も考えた彼の10年ぶりとなる監督復帰作が『孤独な天使たち』だ。
同作は、1人の時間を愛する内向的な少年と腹違いの姉が2人きりで過ごす7日間を描いた作品で、思春期の不安定な内面がみずみずしく綴られていく。この映画で若者たちの可能性、再生と成長を描きたかったというベルトルッチ監督。監督デビュー作『殺し』(62年)から50周年を迎えた節目に本作を撮影し、それが30年ぶりの母語イタリア語作品となったベルトルッチ監督に話を聞いた。
監督:病魔にむしばまれ動けなくなったとき、映画監督としての日々は終わりを告げたと思った。もう映画を作らないという思いは、ひとつの章が幕を閉じ、別の章が幕を開けたことを意味する。だが私にはそれが何かわからなかった。自分が動き回るのに車椅子が必要だという事実を納得して受け入れるために、私は苦悶した。そして少しずつ自分の状態を受け入れる“方法”を学んでいった。けれど次第に、いつもとは違う位置から映画を撮ることは可能ではないかと思い始めた。立っているのではなく座ったままで。この映画を撮影した私は、また自分が走り出したことを、そして早急に次の映画を作るための準備ができていることを感じている。
監督:(原作の)ニッコロ・アンマニーティの小説を読んで、すぐに恋に落ちた。おそらく10代を描いた小説だからだろう。私はカメラの前で現実が変化していくのを見るのが好きだ。だから変化する俳優を選んだ。(主人公ロレンツォを演じた)ヤコポ・オルモ・アンティノーリはカメラの前で成長している。
監督:オリヴィアはとても複雑で、とてもドラマティックだ。それは私が作った映画のすべての若い女性たちに共通するものかもしれない。これから数年の将来のうちに、あまり自暴自棄ではない若い女性を撮ってみたいと思う。そういう映画を考えている。
監督:私は14歳の少年の精神性を本当に共有しているのだろうか? おそらく私は本当に、完全に同一視しているのだと思うし、それはそんなに難しいことではないんだ。それに小説にも果てしなく助けられた。私は小説を読んで、すぐにこの映画を作りたいと思った。この小説が大好きなんだ。
カメラを通じて光や俳優たちと戯れていた撮影中、私は“生への回帰”を感じた。病に倒れてからの10年は、私にとって活気のない時代だった。しかし今、再び目覚めたかのようだ。健康ではなくなった肉体の障害を受け入れたときに目覚めたんだ。身体の障害をいったん受け入れると、ずっと楽になる。そうでなければ、とても難しい。
監督:この歌は、イタリア人作詞家モゴールによって69年に書かれたものだ。はるか昔にこの歌を聴いた。ロサンゼルスだったと思う。オープンカーで街をドライブしていたときのことだ。そしてモゴールに電話をしてこう言ったんだ。「この歌を使いたい」とね。たぶん彼は忘れてしまっていただろう。何千もの歌を書いた人だからね。そしてこの歌詞は、まるでこの映画のために書かれたようだけれど、実際にははるか昔に書かれた歌詞なんだ。
監督:『ラストタンゴ・イン・パリ』はミラノで撮影できただろう。『ラストエンペラー』もナポリで撮影できたかもしれない。でも、そうしなかった。長い間、私はイタリアで見たことを拒否し、拒絶した。私は一般的な政治情勢が好きではなかった。まるでイタリアという国が、いつも病魔に冒されているようだった。イタリア人の大多数が、私が忘れたいような人間に投票する。でも、それが民主主義だ。
ある時点で、本当にイタリアに戻りたいと思ったことがあった。私の思い出と現実が融合する場所だからね。でも私はイタリア語での撮影を恐れた。『孤独な天使たち』は、過去30年で初めてイタリア語で撮影した映画なんだ。
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