王妃の手紙から、王妃と主人公が情熱的な恋愛関係にあったことがはっきりとわかる
18世紀後半に起きたデンマーク王室最大のスキャンダル──王と王妃、そして王の侍医の3人の複雑な恋愛関係を映画化したのが『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王室』だ。
侍医は、侍医は、王妃と恋に墜ちる一方、精神的に不安定な若き王の信頼を得て、自らが信じる啓蒙思想をもとに国の改革に乗り出す。だが、それに強く反発する保守派貴族たちにより、死へと追い詰められていく……。
2012年ベルリン国際映画祭で銀熊賞（脚本賞＆男優賞）をW受賞した本作で主人公・侍医のストルーエンセを演じたのは『007／カジノロワイヤル』（06年）などにも出演し国際的に活躍するデンマーク人俳優マッツ・ミケルセン。“北欧の至宝”とも称えられる彼に、本作について話を聞いた。
──あなたが演じた国王の侍医・ストルーエンセの人物像について教えてください。
ミケルセン：彼はドイツ人で、当時、多くの思想家たちが支持していた啓蒙思想を広めようとしていた人物だが、バリバリの活動家ではなく、革命を起こそうと思っているわけじゃない。彼は医者で、立派に仕事をこなしていた。そして精神を病んだデンマークの若き国王クリスチャン7世と出会い、彼の治療を通じて打ち解け合い、自分の代弁者にしたいと考えたんだ。
けれど、国王が改革に乗り出すと、周りの者たちが国王に入れ知恵しているのに気づく。そしてこう思うんだ「どうして彼らは国王に入れ知恵するのに、何故私はしない？ 私もするべきだ。1回か2回……いやもっと。いや1年……」。こうして、彼は、気づかないうちに自分が嫌っている、王の取り巻きたちと全く同じことをしていた。まあ、強いて言うなら、良い動機からなんだけどね。
──その一方で、彼は王妃と恋に落ちますね。
ミケルセン：彼は王妃に熱烈に恋をして、王妃もまた彼に恋をする。そんなわけで、王・王妃・侍医の3人の人物がそれぞれのやり方で愛し合う。そこで、デンマークの国を治め、その一方で王妃との関係や2人の間に子どもが生まれたことを隠すわけだから、とても複雑になっていく。これが実際に起きた出来事で、王妃の手紙から、王妃とストルーエンセが情熱的な恋愛関係にあったことがはっきりとわかるんだ。
デンマークに戻ってデンマーク語を喋ることができてとても嬉しかった
『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王室』
(C) 2012 Zentropa Entertainments28 ApS, Zentropa International Sweden and Sirena Film Prague
──デンマークでは有名に事件だそうですね。
ミケルセン：そう、この出来事はデンマーク人ならみんなが知っている。ただ、僕らが知っていることは、ドイツ人の医者がやって来て王妃と関係を持ち、この国を支配し、殺されたということだけだ。本作は、この出来事をもっと掘り下げて、もう少し詳しく、もう少し二元的に描いているんだ。
──本作は2013年のアカデミー賞外国語映画賞デンマーク代表作にも選ばれましたが、出演した感想は？
ミケルセン：デンマークに戻ってデンマーク語を喋ることができてとても嬉しかった。ただ、当時の宮廷ではデンマーク語を喋っていなかったから、事実とは違うんだけどね。宮廷ではフランス語やドイツ語、そして英語も少し使われていた。でも、色々な理由で、そうしたくなかった。第一に、俳優たちにフランス語で会話をさせたくなかった。だから、デンマーク語にしたんだ。
『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王室』
(C) 2012 Zentropa Entertainments28 ApS, Zentropa International Sweden and Sirena Film Prague
──ハリウッドでも活躍されていますが、デンマークを離れて寂しく思ったりしますか？
ミケルセン：デンマークを離れているときに第一に思うのは、家族のことだ。僕が外国にいるとき、家族はだいたいデンマークにいるから。次に思うのは、母国語のデンマーク語、僕の帽子、食べ物。デンマークは僕の拠点だから、戻るとどこかほっとする。美しい国かどうかは関係ない。拠点を持つ者は誰でも、その拠点が好きだと思うよ。僕もそうだ。
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