シリーズが成功している理由のひとつは、手に触れることのできそうな現実性にある
大ヒットしたヒーローアクション映画の第3弾となる『アイアンマン3』。億万長者にして天才発明家のトニー・スタークが、自ら開発した無敵のマシーン、パワードスーツをまとい戦う姿を描いた作品だ。今回のテーマはスタークの“最後の戦い”。前2作をはるかに超えるスケール感とドラマ性で、見る者を深く引き込む。
主演は前2作品に引き続きロバート・ダウニーJr.。傷ついたヒーローを演じた彼に、この人気シリーズについて聞いた。
ダウニーJr.：このシリーズが成功している大きな理由のひとつは、手に触れることのできそうな現実性にあると思うんだ。この映画に出てくるすべてのテクノロジーは、遺産も含めて、それを作り出しているのはすべて人間だ。だから、まるで手を伸ばせば触れられそうに思える。そういう感覚が、映画が続編から続編へと続いていくうちに、徐々に集合意識の一部になっていく。だから、あるレベルにおいて、このテクノロジーがリアルで実現可能なものに見える。それが成功の理由だと思うよ。
スタッフに優秀な人材が揃っているから、私たちは、荒唐無稽な設定の多いスーパーヒーローのジャンル映画と、実際に起こっても不思議ではない設定で描かれる『007』シリーズや『ミッション：インポッシブル』のようなタイプの映画のギャップを埋める架け橋的な作品を実現させることができたんだ。
今回は（恋人である）ペッパーとの関係が中心に据えられている
──『アイアンマン』（08年）から5年が経ち、主人公トニー・スタークに対するアプローチの仕方が変わりましたか？
『アイアンマン3』
(C) 2013 MVLFFLLC. TM & (C) 2013 Marvel. All Rights Reserved.
ダウニーJr.：5歳分、年をとったわけだからね。最初に気にしていたことと言えば、ヒーローらしく見えるように腕の筋肉がきちんとついているか、チャーミングで面白い人物になっているかどうかということだった。
でも今回は間違いなく、（恋人である）ペッパーとの関係が、ある意味この映画の中心に据えられている。自分自身がどう見えるかではなく、今回は、格好つける気持ちがずっと減って、もっと別のことを考えるようになっているんだ。自分のことではなく他の登場人物たちのことを考えているよ。
──本シリーズでは主人公の“心の旅路”が大きなテーマとして描かれていると思うのですが。
ダウニーJr.：そもそもは、トニー・スタークの心臓に爆弾の破片が突き刺さったことから始まった。そして、（パワーを保つために）体内に電磁石を埋め込んだ。さらに、スタークは、亡き父親の導きでミステリアスな試練を受け、自分の心臓（そして心）を完成させる術を見つけたんだ。
『アイアンマン3』の出だしでは、彼は、この「心を完成させる」という作業を、自らの心の傷と向き合うことなく進めているんだ。そういう状態のときに、さまざまな事態が発生するので俳優としての私は、「オーケイ、同時に様々なことが起こっているなかで、彼は一体何をするべきだろうか？」と考える。実際に彼がやるべき事はひとつしかないと思うけれどね。
（映画を製作する上で）私たちは様々なことを試し、様々なストーリーを書き、様々なアイデアを話し合い、その結果として選んだ内容について心から良い選択だったと喜んでいるよ。
『アイアンマン3』
(C) 2013 MVLFFLLC. TM & (C) 2013 Marvel. All Rights Reserved.
──最後に映画の見どころを教えてください。
ダウニーJr.：驚きに次ぐ驚きを期待できると心から言えるよ。この映画は、敢えて意識的に、別の方向に導き、方向転換し、向きを変え、おとりのトリックを使い、注意をそらしながら描いているんだ。それと同時に、感情の上でも満足のできる作品であり、技術面やアクションの面、さらにはヒーロー映画という意味でも、とても楽しめる映画に仕上がっていると思うな。とても楽しい作品だよ。
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