『ある会社員』ソ・ジソブ インタビュー

人気俳優が作品に込めた、希望へのメッセージ

#ソ・ジソブ

仕事を一生懸命頑張っているのに、幸せな人ってあまり多くないんじゃないかと思うんです

表向きは、貿易商社の営業部長。だがその会社で日々取引されている本当の“仕事”は殺人。そう、営業部長の“本職”は契約殺人を行うプロのヒットマンだった……。

会社員として殺人を請け負う殺し屋の姿を描いた『ある会社員』で、10年の忠実な勤務の後に、普通の生活を夢見るようになっていく主人公を演じたのはソ・ジソブ。人気、実力を兼ね備えた彼が、映画の見どころなどを語った。

──設定が面白い作品ですが、出演の一番の決め手は何だったのでしょうか?

ジソブ:シナリオを読んですぐに、出演したいと決めました。暗殺者のはずなのに普通の会社員のように仕事をしているという設定にもとても惹かれたし、なによりこの作品には独特の雰囲気があるんです。

──演じていて、心に残ったセリフなどはありますか?

ジソブ:今、みんなが仕事を一生懸命頑張っているのに、幸せな人ってあまり多くないんじゃないかと思うんです。だから、僕が演じる主人公ヒョンドがフン(キム・ドンジュン)に言う、「仕事ばかりしていないで、楽しみながら、誰かを愛しながら幸せに生きなさい」というセリフが心に残りましたね。これは私が監督に頼んで入れてもらったもので、自分自身にも、そして観客のみなさんにも強く伝えたかったセリフなんです。

思ったような演技ができないとき「辞めたい」「逃げ出したい」と思います
ソ・ジソブ

──ジソブさん自身は、今幸せですか?

ジソブ:好きな仕事ややりたい仕事ができるよう、今も努力中です。そして、幸せを感じられるように、まずは、今この瞬間を楽しく仕事することに努力しています。

──劇中、主人公の殺し屋は仕事を辞めたいと思います。ジソブさんも仕事を辞めたいと思ったことはありますか?

ジソブ:よくありますよ。自分の思ったような演技ができないとき、自分が空っぽだと感じるときは「辞めたい」「逃げ出したい」と思います。自分のなかにある程度いろんなものが満たされていてこそ、良い仕事、演技ができると思うので。みんなも同じですよね。

──ジソブさんはモデル出身でファッションセンスに定評がありますが、劇中でもスーツ姿が決まっていましたね。

ジソブ:ありがとう。でも、普通の会社員という役なので、モデルが着るようなスーツではなく、ワイシャツは白。そして、すり減った靴やカバンという普通の会社員スタイルに気を配りました。

ソ・ジソブ

──最後に、映画の見どころを教えてください。

ジソブ:映画を見た方々に、今頑張って取り組んでいる仕事をもう一度振り返ってみて欲しかった。「自分は今、本当に楽しみながら仕事をしているのだろうか? そして幸せなのだろうか?」ということを改めて考えてほしいと思いました。エンディングには私からのメッセージも込めました。監督にお願いして変えてもらったのですが、希望のメッセージを込めたつもりなので、それを受け取ってほしいですね。

ソ・ジソブ
ソ・ジソブ
So Ji Sub

1977年11月4日生まれ、ソウル出身。95年にモデルデビュー。97年にドラマ『モデル』、『男女6人恋物語』に出演し注目を浴びる。その後、ドラマ『おいしいプロポーズ』(01年)、『ガラスの靴』(02年)、『バリでの出来事』(04年)などに出演。04年『ごめん、愛してる』でKBS演技大賞などを受賞しブレイク。05年2月〜07年4月の徴兵期間を経て、映画『映画は映画だ』(08年)で釜山映画評論家協会賞新人男優賞などを受賞。その他の出演映画は『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』(08年)、『ただ君だけ』(11年)など。

ソ・ジソブ
ある会社員
2013年6月1日より新宿ピカデリーほかにて公開
[監督]イム・サンユン
[出演]ソ・ジソブ、イ・ミヨン、クァク・ドウォン、イ・ギョンヨン、キム・ドンジュン
[英題]A COMPANY MAN
[DATA]2012年/韓国/ポニーキャニオン/96分

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