1994年2月6日生まれ。愛知県出身。06年に雑誌「ニコラ」主催のモデルオーディションでグランプリを受賞し、同雑誌の専属モデルに。その後、女性ファッション誌「non-no」のモデルとして活躍する一方で、10年にテレビドラマ「ハンマーセッション!」で女優デビュー。翌11年には『七つまでは神のうち』で映画初出演にして初主演を果たし、主題歌「Save me」も担当。音楽活動にも力を入れている。
江戸時代を代表する狂言作者・四世鶴屋南北が生み出した歌舞伎作品「桜姫東文章」。これまで数多くの有名歌舞伎役者が演じてきたスキャンダラスなこの作品に、新しい解釈を加え、現代に蘇らせたのが映画『桜姫』だ。
本作でメガホンを取ったのは、映画『探偵はBARにいる』(11年)や『相棒シリーズ X DAY』(13年)などヒット作を連発している橋本一監督。そんな彼が、お姫さまから遊女へと堕ちていく主人公・桜姫役として白羽の矢を立てたのが、女優・モデル、そして歌手として活躍する19歳の日南響子。激しい濡れ場や壮絶なバトルシーンなど、極限の難役に挑んだ日南が、本作に込めた思いや自身の未来予想図を語った。
日南:私は音楽活動もしていて、歌詞を書いたりするのですが「花魁」とか「遊女」を題材にした曲を作りたいと思っていたんです。それで歌舞伎の「桜姫」の映像を見つけて、素敵なお話だなって思っていたら、2〜3日後に「こんな作品があるんだけど」って言われたのがこの映画だったんです。すごい驚きましたし、運命を感じて「ぜひやりたいです」って(笑)。
日南:最初、台本を読んだときは、弱々しいイメージで、かわいそうな女性だなって思ったんです。でも演じてみて、受け身だった桜姫が、どんどん変わっていく姿が体感できて、最終的には女性の強さなども表現されているんだなって感じましたね。
日南:最後の殺陣のシーンですね。作品の空気がガラッと変わるというか……。今まで受け身で、自己主張をしなかった桜姫が、初めて自分の意思で、敵に向かって牙をむく場面。その切り替えの部分で、私なりにいろいろと遊ばせてもらいました。
日南:監督はとても穏やかな人で、演技について細かい指示はあまりなかったですね。でも、現場でとっさに監督が思いついたアイデアを、みんなで表現したりというのはありました。あとは、自分のなかでも、どうやってシーンの空気感を変えていくかというアイデアは持っていたのですが、そういう部分に関しても、結構自由に演じさせていただけたので、現場はとても楽しかったです。
日南:一人ひとりみんな個性が強すぎてバラバラなんですよ(笑)。でも、そんな個性が、作品のなかでうまくぶつかっていって、映画のスピード感と世界観にマッチしていったと思います。とても面白い作品になっています。それぞれが演じたキャラクターもみんな適役だったと思います。別の人が演じていたら、まったく違う作品になっていたかもしれませんね。
日南:やっぱりラスト付近の桜姫が刀を持つシーンですね。これまで、何でも人にやってもらっていたお姫様が、自分の意思で、酷いことをした男を追いかけ、遊女にまで堕ちる。そして女郎たちに何を言われても顔色を変えなかった姫が、刀を持ったところで、今まで心に秘めていた気持ちが一気に吹き出てくるんです。この感情って女性的なのかなって思うんですよね。覚悟を決めた女性の変化の一瞬というか……。私のなかではとても好きなシーンで、演技も頑張りました。
日南:この映画のキャッチフレーズに「恋に狂わない人生は狂っている」というのがありますが、最初は「何だろう、このキャッチフレーズは」って思っていたのですが、桜姫を演じ終わって、作品を見たあとにもう一度見ると「なるほど!」って理解できましたね。少し恋愛観は変わったかもしれません。あとは、今の女性って、周囲に流されてしまうことが多いと思うのですが、私は人に流されないで、何があっても自分の意思を貫けるようになれればいいなって考えるようになりました。
日南:そういうことってあると思います。でも、私はまだ完全には理解できていないと思いますが(笑)。愛情と憎しみって正反対なんですが、とても近い感情なんだと思うんです。だからオセロのようにある日突然、ひっくり返ることってあるのかなって……。この映画はそんな感情が上手く表現されていると思います。
日南:歌がとても好きなので、そちらに力を入れていければと思っています。作品というと大げさですが、私はモノづくりが好きなので、絵を描いたり、服をデザインしたりとか……。もちろん女優という仕事も、作品を作る上で大切な役割だと思っているので、やっていきたいです。
日南:はい、カメラを回したりするのも大好きですし、色々なことを学んで、そこまで行けたらいいですよね。今はスチールを撮ったり、映画も構成を考えたりするのは好きですね。
日南:そうなんですよ! 色彩とか、照明の感じとか、本当に素晴らしいなぁって思っていて、自分もセットに入って色々なことを学びました。女性が視覚的に見てもとても楽しめる作品だと思います。
日南:ストーリーを見ると、桜姫って可哀相だなって思うかもしれませんが、運命に立ち向かい、成長していく、女性ならではの強さが描かれています。今後の皆さんの恋愛観に大きな影響を与えられる作品になっていると思うので、ぜひご覧になってください。
(text&photo=磯部正和)
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