1994年4月12日、アイルランド人の両親の下、アメリカのニューヨークで生まれる。3歳の時にアイルランドに移住し、9歳で子役としてキャリアをスタートさせる。ブッカー賞作家イアン・マキューアンの「贖罪」を映画化した『つぐない』(07年)でアカデミー賞にノミネート、一躍脚光を浴びる。その後『ラブリーボーン』(09年)、『ハンナ』(11年)などでも注目を集め、『ブルックリン』(15年)ではアカデミー賞主演女優賞及び作品賞にもノミネートされた。『レディ・バード』(17年)でゴールデン・グローブ賞主演女優賞を受賞。2020年には『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(19年)で4度目となるアカデミー賞、5度目の英国アカデミー賞、4度目のゴールデン・グローブ賞等にノミネートされた。待機作にウェス・アンダーソン監督の新作『The French Dispatch』がある。
ヴァンパイア映画の傑作『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(94年)のニール・ジョーダン監督の最新作『ビザンチウム』は、誰にも明かせない秘密を抱え永遠の思春期を生きる、哀しき少女の運命を描いた耽美作だ。
主人公エレノアは、神秘的なまでに謎めいた美しさに孤独の影をまとった“少女”。そんなエレノアを演じたのは、若き天才女優シアーシャ・ローナンだ。13歳のときに『つぐない』(07年)でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、またスティーブン・スピルバーグやピーター・ジャクソンといった大物監督がその実力を絶賛していることでも知られている。そんな彼女に映画について語ってもらった。
ローナン:エレノア・ウェブはヴァンパイアで、200年くらい生きている。1人で永遠に生きることはできないと悟った母親に、ヴァンパイアに変身させられるの。
エレノアはとても人間的なヴァンパイアだわ。思いやり深く、とても繊細なの。彼女は獲物を殺すたびに罪を詫びる。彼女には死にそうな人しか殺さないというルールがある。だから映画で彼女は何度も、もう生きたくないと感じ、死ぬ準備が整った人たちを殺すわ。だから(恋に落ちた)フランクとの関係を育みながら、彼が白血病で、世間にも人生にもうんざりして、次に進む準備が整っていることを彼女は知っている。
ローナン:ええ。そして2人はずっと場所を移動しながら生活し、どこにも落ち着かない。彼女たちは動き続けなくてはならず、どこにも長く留まることができない。誰とも知り合いになれないし、家も持てない。彼女たちの生活は、人間的でも自然でもないから。
さっき、エレノアは繊細だと言ったけれど、クララは違うわ。クララはもっと凶暴にならざるを得ないの。
ローナン:クララは辛い人生を送り、多くのことを経験し、悪い怪物のような人たちの仲間になる。クララの人生に対する取り組み方はエレノアのそれとは大きく違っている。彼女たちはお互いのために強くなり、お互いのためにこれほど長く持ちこたえてきたの。
ローナン:クララはビザンチウムを安住の地にできるかもしれないと思っていて、そこを売春宿に変えようとするの。でもエレノアはそのアイデアに反発する。こういうことは前にも起こったと思う。観客は映画を見ている間ずっと、エレノアとクララがどれほど違うか絶え間なく気づかされる。エレノアはかなり古めかしくて、クララは今を生きているの。エレノアは家を持つことに憧れるけれど、決して家を持つことはないわ。エレノアが持っている唯一の家が母親なの。
ローナン:自分の獲物を憐れむところだわ。彼女は自分がしていることは悪いことだと知っていて、生き残るためにそういったことをやらねばならないことを嫌悪している。でも結局、彼女の天性の本能は殺すことなの。そのために彼女は同時に自分自身を嫌悪し、母親が自分をヴァンパイアにしてしまったことを嫌悪しているの。
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