1974年11月24日生まれ、兵庫県出身。高校在学中にテレビ界デビュー。NHK連続テレビ小説『ふたりっ子』(96年)、NHK大河ドラマ『新選組!』(04年)、映画『バトルロワイアル』(00年)、『GO』(01年)などの話題作に次々出演。11年度より反原発運動を開始。その軌跡を綴った本「ひとり舞台 脱原発 −闘う役者の真実−」(集英社刊)も出版している。13年7月の参議院議員選挙では、無所属の新人で唯一当選を果たした。
自然に囲まれた美しい町を見舞った突然の地震、そして原子力発電所の事故──東日本大震災の福島と同じ悲劇を描いた『朝日のあたる家』は、今もメディア業界のタブーとされている原発問題を真正面から扱っている。
監督は、これまで『ストロベリー・フィールズ』(06年)、『青い青い空』(10年)で青春群像をみずみずしいタッチで描き高い評価を得てきた太田隆文。そんな監督の熱烈なラブコールに応えた山本太郎が出演しているのも話題のひとつだ。
今夏、行われた参議院議員選挙に初当選し、政治家として脱原発運動推進を掲げる山本に、映画について、そして原発問題について聞いた。
山本:監督の熱烈なラブコールですよ(笑)。テレビ、新聞などのマスコミ、メディアのスポンサーへの気遣い、偏向報道で事実を知ることができない人たちも、もしかしたらこの作品を通して原発事故の悲惨さが疑似体験できるのではないか、脚本を読んでそう思いました。実生活で原発へのアクションをしているので、作品などで表現する必要はないと思っていたのですが、監督と話し合い、脚本を読んで自分の考え方が変わりましたね。
山本:自分と重なる部分もあったので、脚本のまま素直に光太郎に入っていくだけでしたね。
監督は、役者が納得できるまで現場で話し合ってくれるんで、僕らの「気持ち」や「感情」が現場で構築できるまで絶対本番にはいかないんですよ。役者の生理をよく理解されている監督だと思ったので、僕から特に何かをお願いすることはなかったですね。
山本:昔、波乗りをしていた時によくおじゃましていたエリアだったんですよ。その当時は原発の危険性など考えたこともなかった。どんな美しい景色も、豊かな暮らしも、美味しい食べ物も、一瞬で目に見えないモノに脅かされる恐怖。どうか映画の撮影で触れた湖西の美しさ、人々の優しさが理不尽な脅威で目茶苦茶にされませんように、と祈る気持ちがあります。
山本:この国に住む者にとって、全ての人々に起こり得ることです。原発がなくてもエネルギーは足りているわけで、ガス火力中心でこの国はすでに「脱原発」に成功している。99%の人を犠牲にしても、1%の人が地震の活動期でも金儲けを諦められないから、原発をまだまだ続けよう、というのがこの国の原発政策。事故が起こっても、電力会社や国は「事故隠し」以外何もしてくれないんです。東日本一帯にブチまけた毒物は、「無主物」として司法から責任を問われることはない加害者。電力会社の上層部は億単位の退職金を持って天下りする。
チェルノブイリ事故から27年経った今も「健康被害」は拡がり続けている。大人が今、本気を出して止めさせなければ、次の苛酷な事故は時間の問題。皆で一歩踏み出す勇気を持って、この窮地を乗り切りましょう。
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